五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

クラーナハ展

2017年01月06日 | 第2章 五感と体感
クラーナハ展2017年1月6日

西洋美術館で開催中の(そろそろお終い)クラーナハ展を観ました。
正月の決まり事から開放され、私の役割も一段落。
表装教室の打ち合わせで元気で明るい大師匠とほろほろと笑い、神宮前のお気に入りのカフェにて一人でのんびりとランチをし、山手線を半周し上野に向かいました。
お正月の上野は大勢の人。西洋美術館は駅のまん前なので歩くのが楽です。
ようやくクラーナハと向き合うことができました。

1517年、神聖ローマ帝国最全盛の時代、ローマカトリックの現状に思いを抱いたアウグスティヌス修道会の神父マルティンルターが宗教改革を行い、新派を結果的に作ることと成りました。
1500年代前後に絵画工房を構えたクラーナハは、息子や弟子達と工房制作で活躍するのです。
ローマンカトリックに不満を持つ人々の動きは大きな流れと成り、その動きが現代に繋がっています。
つまり、キリスト教徒がローマンカトリックとプロテスタントに別れ、新教であるプロテスタントが独自の形を作り上げてゆくのです。
聖職者が結婚する事を認め、偶像崇拝をやめ、簡素化することと信者が自ら聖書の学びをすることは、とても画期的な事でもあり、ある意味学問や文化、芸術が庶民のものになるきっかけだったかもしれません。
私が中学生の頃学んだ歴史の授業で、やけにマルティン ルターに加担した気分になり、折しもプログレッシブ ロックの音楽が流行り、1500年代前後の改革に興味津々となったことを思い出すのです。
日本では室町文化が栄華を極めている時期であり、江戸時代に落ち着くまでの戦国時代の始まりの頃でもありましょう。

クラーナハは、鬼才の画家でもあり、その工房で育った子供たちや弟子たちは、改革派とローマンカトリックのパトロン達の狭間で時代の流れの事象のまま絵画を描いてゆきます。
改革派が好んだギリシャ神話や女性を描き、時にはローマンカトリックが大事にしている聖母マリア、母子像を描き、数々の聖人たちを描いてゆくのです。
勿論、肖像画もパーフェクトです。絵画のデザイン性も素晴らしい。

神聖ローマ帝国のキリスト教徒の中での諸々な戦いの中、上手に生き延びていった画家でもあったかもしれません。

クラーナハが描く聖画やギリシャ神話の中に描く悪魔たちは、古代キリスト教以前のミトラス教的な怪獣が多く描かれており、ヨーロッパの7つの神託と言われている一つの教会、パリ郊外の「シャルトル大聖堂」に刻まれている怪獣たちを思い起こし、ギリシャ神話、多宗教を土台に呑み込んでいったローマンカトリックの意匠、そして象徴をクラーナハは絵画の中に実に上手に入れ込んでいます。
見れば見るほど面白いクラーナハ。

ローマンカトリックの宗派イエズス会の神父たちが大海を渡り、日本を目指すのは、その少し後の事です。

人の一人一人にに与えられた召命が、時代の流れと成ってゆくことを歴史を学ぶと手に取るように見えてくるのが本当に面白いのです。

クラーナハ展は、1月半ばまで。

遠藤周作の小説「沈黙」をマーティンスコセッシ監督が映画化され、日本でいよいよ上映します。
マーティン スコセッシと言えば、「タクシードライバー」ですし、「シャッターアイランド」は、心理学を学ぶ人にとっては必見の映画でありましょう。(怖がり屋さんにはお勧めしません^^;)
この小説を私が初めて読んだのは中学生の時。そこからイエスの生涯を読み、遠藤周作の連作を中学生の私なりに読みました。それから30年数年後の40代後半にもう一度沈黙を再読した時に、日本人である私が持つデジデリウム(見神欲)から湧きあがる精神性が自分の奥深いところで相合わさるものを感じました。打ち寄せる波に架けられた人から湧く思いこそが、つまり沈黙なのだということに納得した時に、自分の内にある答えとは、他者から応えられるものではない事をしみじみと納得したのです。

クラーナハから映画「沈黙」に至るまで、多分、それなりの思いが湧きあがるプロセスを体験しそうです。

クラーナハから見えるヨーロッパの古層をご堪能あれ。
マーティンスコセッシ氏が「沈黙」をどう読み解いたか、それも楽しみです。

......



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