勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

黄昏

2006-02-08 21:50:43 | Weblog
 夕暮れの街に明りが灯り始め、落日に燃える西の空がやがて茜色に染まる黄昏時は、何故かもの悲しく、感傷的になり、ものみな美しく見えてくる。

 そんな黄昏時の人影はぼんやりとして、誰かわからない。
「誰(た)そ彼(かれ)」が「黄昏」になったという。

 『黄昏』とは「夕方の薄暗いとき・夕暮れ」をいうのであり、また人生の盛りをすぎた年代をたとえていう、と大事林にある。僕のことか?

 昔、「黄昏」という映画があった。
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  ニューイングランドの静かな湖畔を舞台に、老夫婦とその娘との交流を描いた家族愛のドラマ。

■出演 ヘンリー・フォンダ/キャサリン・ヘプバーン/ジェーン・フォンダ

 ご覧になった方も多いと思うが、この映画は実の親娘の競演で、J・フォンダが不仲だった実父ヘンリーのために用意した作品であり、スクリーンの裏側でも映画同様の葛藤が行われていたらしい。
父と娘の絆は現実でも虚構でも復活し、ヘンリーはオスカーを受けて永眠したというエピソードもある。
 
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 僕が好きなもう一つの「黄昏」という映画がある。

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■監督:ウィリアム・ワイラー
■出演:ローレンス・オリヴィエ/ジェニファー・ジョーンズ

 シカゴでも超一流のレストランに働きに来た田舎娘に惹かれたこの店の支配人は、妻子ある中年男。
彼女を追って家を出た彼は、やがて彼女にも去られ落ちぶれていく。
女優として成功した彼女との再会は、やりきれないほどの悲しみに満ちた結末へ。

 中年男の人生の黄昏を描いた、絶望的な孤独の悲劇は、シェークスピア劇でその名を馳せた「Sir」の称号を持つ名優、ローレンスオリビエと、初出演映画でアカデミー主演女優賞を獲得した、「終着駅」のジェニファージョーンズの二人の名演によって、見終わった後、すぐには立ち上がる事のできないほどの悲劇となって心に突き刺さる。

 僕にとって『黄昏』には常にこの映画のイメージがつきまとう。
 
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 写真は黄昏時の隅田川です
 
 
 


 清少納言は、夕暮れは秋がいいと言うが、春まだ浅い川面を渡る夕風に吹かれながらの黄昏時もまたいいものだ。
昼の暖かさも日暮れには冷たい風になった今日ですが・・・。
2006.02.08