

2007年も残り僅かの時期に、パキスタンから大変ショッキングなニュースが飛び込んできました。
ベナジル・ブット元首相が、パキスタンの首都・イスラマバード近郊のラワルピンディで暗殺されました。ブット氏は27日、リアカット・バーグ公園で行われたパキスタン有力野党の「パキスタン人民党」の集会に参加。演説後車で移動する際、爆発が発生。この後何者かに銃撃されました。銃弾はブット氏の首に直撃、救急車に搬送されましたが間もなく死亡しました。元首相暗殺を狙ったテロは30人が死亡、ブット氏を狙った犯人は自爆しました。
ブット氏の暗殺に関して国内外からコメントが相次ぎました。ムシャラフ大統領は「国家の大きな悲劇だ」と延べ、3日間の服喪期間を設けると発表。ブッシュ米大統領は「パキスタンの民主主義を傷つける過激派の卑劣な行為を強く非難する」と声明を発表、「イスラム教徒連盟ナワズ・シャリフ派」総裁・シャリフ元首相は「ベナジル・ブットは私の妹だ。私はあなたたちと共に、彼女の死に対し報復をする」と怒りを示しました。また、国連のパン・ギムン事務総長は「衝撃を受け、憤慨している」、「パキスタンの安定と民主主義プロセスに対する攻撃を意味する」と批判しました。
パキスタン国内では暴動も発生しています。ジャコババードではブット氏支持者たちが裁判所と銀行、選挙管理内閣首相の親族の所有しているビルを焼き討ち、道路や鉄道を封鎖する騒ぎを起こしています。また、シャリフ元首相率いる野党の集会でも発砲があり、4人が殺害されました。
最近のパキスタンは、10月18日に帰国したばかりのブット元首相のパレード中に爆発が2回発生、130人以上が死亡しました。11月3日、パキスタン全土に非常事態宣言が出されましたが12月15日に解除。21日にはペシャワル近郊のチャルサーダのモスクでシェルパオ前内相を狙った自爆テロが発生し、54人が死亡しました。来月8日の総選挙を前に治安が悪化したパキスタン。治安回復で平穏な生活に戻れるのは、まだ先となりそうです。




