秋の中距離王決定戦・第146回天皇賞・秋(GI・芝2000m 18頭立て)が28日、東京競馬場で行われました。今年は「近代競馬150周年記念競走」の副称がつけられ、天皇・皇后両陛下が観戦に訪れたため、2005年以来の「天覧競馬」として開催されました。今回の秋天は、デビューから5連勝中、史上初の「無敗天皇賞馬」に挑む⑯カレンブラックヒル、ダービー2着の④フェノーメノの3歳馬2頭が参戦。迎え撃つ古馬勢は、昨年の秋天覇者⑮トーセンジョーダン、雪辱に燃える⑬ダークシャドウ、香港GI馬⑥ルーラーシップ、2010年ダービー馬⑫エイシンフラッシュ、2011年宝塚記念馬⑦アーネストリー、他にも①ナカヤマナイト、⑱トゥザグローリー、⑤サダムパテックなどが出走しました。
直前の単勝オッズは、フェノーメノが1番人気(3.4倍)、2番人気ルーラーシップ(4.5倍)、3番人気がカレンブラックヒル(4.7倍)、4番人気のダークシャドウ(5.3倍)までが10倍を切り、5番人気以降はエイシンフラッシュ、ナカヤマナイト、トーセンジョーダン、⑪ジャスタウェイ、⑭トランスワープと続きました。
注目のスタートで、②シルポートが好ダッシュを見せ、カレンブラックヒルも好スタートを切る。しかし、ルーラーシップは出遅れてしまった。1コーナーポケットからの先行争いで、シルポートがいつものように先手を取り、ブラックヒルが外から押し上げるような感じで2番手につけ、⑨ダイワファルコン3番手。その後ろにフェノーメノが単独4番手。5番手の位置にアーネストリー、ジャスタウェイ6番手。中団グループにはトランスワープ、⑩フェデラリスト、サダムパテックは9番手の辺り。10番手にダークシャドウ、外にトゥザグロ、12番手付近にフラッシュとジョーダンがいる。中団より後ろの位置に⑧ジャガーメイル、ルーラー、ナカヤマナイトが控える。後方は⑰マイネルスターリー、③ネヴァヴションがしんがりと言う展開。
縦長の状態で3コーナーに入り、先頭を行くシルポートは前半1000mを57秒台前半で通過。2番手以降を10馬身以上引き離しての大逃げ。2番手のブラックヒルは懸命に前を追いかける、フェノーメノ依然として4番手、ダーク、ジョーダン、フラッシュなどは中団、ルーラーシップは外に持ち出して追い上げ開始。
最後の直線に差し掛かり、シルポートはラスト400mでもまだ大差のリードを保ったまま逃げ続ける。しかし300m辺りでスピードが落ちて、差が徐々に縮まる。最内エイシンフラッシュ、真ん中カレンブラックヒルとファルコン、外からフェノーメノが追い詰め、残り200を切ってエイシンフラッシュがシルポートをかわして先頭に躍り出る!フェノーメノがカレンブラックヒルを抜いて2番手に上がったが、フラッシュには届かない。エイシンフラッシュは後続の追い上げを抑えて先頭でゴールイン!2010年のダービー馬が古馬の意地を見せ、秋の天皇賞で復活勝利!
全着順&払戻金
1着⑫エイシンフラッシュ 1分57秒3
2着④フェノーメノ 1/2馬身
3着⑥ルーラーシップ 1馬身1/4
4着⑬ダークシャドウ 3/4馬身
5着⑯カレンブラックヒル アタマ
6着⑪ジャスタウェイ クビ
7着⑧ジャガーメイル 3/4馬身
8着⑤サダムパテック ハナ
9着①ナカヤマナイト 1馬身1/2
10着⑨ダイワファルコン クビ
11着⑦アーネストリー 1馬身1/4
12着②シルポート 1馬身3/4
13着⑮トーセンジョーダン 1/2馬身
14着③ネヴァブション 1馬身3/4
15着⑩フェデラリスト クビ
16着⑰マイネルスターリー 3馬身1/2
17着⑭トランスワープ 1/2馬身
18着⑱トゥザグローリー 4馬身
払戻金
単勝 12 1660円
複勝 12 370円 4 140円 6 190円
枠連 2-6 1850円
馬連 4-12 3250円
馬単 12-4 8980円
ワイド 4-12 1190円 6-12 1350円 4-6 380円
3連複 4-6-12 3990円
3連単 12-4-6 39520円
「最強3歳勢VS実力派古馬」となった今年の秋天は、5歳馬・エイシンフラッシュが、フェノーメノ、カレンブラックヒルを抑えて優勝。2010年の日本ダービー以来2度目のGI制覇を成し遂げました。1番人気だったフェノーメノは、半馬身差の2着惜敗。これでGI2戦連続の2着です。3着のルーラーシップは大外から一気に追い上げを見せましたが、スタートでの出遅れが痛かった…。そして史上初の無敗天皇賞馬の期待がかかっていたカレンブラックヒルは、道中2番手で追走していましたが、最後は伸びきれず5着と言う結果に。デビュー6戦目で初めての敗戦を喫し、連勝も5でストップしました。2000mの距離は長かったし、外枠が大きく影響しましたのもあるでしょう。
優勝したエイシンフラッシュに騎乗したミルコ・デムーロ騎手は、天皇賞は春夏通じて初勝利で、JRA・GI通算7勝目。レース後にはスタンドで観戦している天皇陛下に向かい、ヘルメットを脱いでひざまついて敬礼されていました。レース後のインタビューではファンに対し「I Love Japan!」と述べておりました。短期免許で来日している外国人騎手はたくさんいるけど、ミルコ騎手はその中でも一番の親日家といえるでしょう。
エイシンフラッシュは2年前のダービーで勝って以降は勝ち星に恵まれず、昨年春の天皇賞で2着、有馬記念でも2着と惜しいレースもありました。今年に入ってからは、ドバイワールドカップで6着、宝塚記念で6着、毎日王冠では9着と惨敗し、「力が衰えてきからエイシンフラッシュは終わりだろう」と思っていました。しかし、天皇賞でミルコ・デムーロ騎手に導かれて優勝。実に2年5か月ぶりの復活Vでした。レース前日の輸送中に起きた中央道の渋滞に巻き込まれなかったのも大きかったかな。GI2勝を挙げ、名馬の仲間入りを迎えつつあるエイシンフラッシュ。次は「打倒オルフェーヴル」をテーマにジャパンカップに挑みます。
来週・11月4日はGI競走がありません。東京競馬場ではアルゼンチン共和国杯、京都競馬場ではダート重賞のみやこステークスが行われます。翌日の11月5日には川崎競馬場で地方競馬の祭典「JBC(ジャパンブリーディングファームカップ)」があり、JBCクラシックにはトランセンドとテスタマッタが出走を予定しています。11月11日のエリザベス女王杯には、ヴィルシーナ、フミノイマージン、ホエールキャプチャ、マイネイサベルが出ると思われます。特に3歳牝馬GIで3戦続けて2着のヴィルシーナは、エリ女で初GI獲得といきたいところです。2012年も残り約2か月。競馬界も年末へ向けた熱い戦いは続きます。