Patrick Melrose Episode 2 "Never Mind"
Based on Patrick Melrose by Edward St Aubyn
Written by David Nicholls
Directed by Edward Berger
Previous → パトリック・メルローズ 「Never Mind」その4
Patrick Melrose:PM(パトリック・メルローズ)
David Melrose:DM(デイヴィッド・メルローズ パトリックの父)
Eleanor Melrose:EM(エレノア・メルローズ パトリックの母)
Nicholas Pratt:NP(ニコラス・プラット デイヴィッドの親友)
Anne Moore:AM(アン・ムーア ヴィクターの恋人?)
Sir Victor Eisen:VE(ヴィクター・アイゼン デイヴィッドの大学の友人?アンの恋人?)
Bridget Watson Scott:BS(ブリジット・ワトソン・スコット ニコラスの愛人)
Johnny Hall:JH(ジョニー・ホール パトリックの友人)
ブリジットとニコラスがフランスに到着します。
着陸した飛行機のトイレでブーツからたばこを取り出し火をつけるブリジット。
先に降りたニコラス。
ブリジットも降りようとしたその時、男から声をかけられます。
BA:ブリジット?ブリジットだよね?
BS:バリー!驚いた。
BA:今朝、ちょうど君の事を考えていたんだよ。
共時性ってやつだな。
BS:ここで何してるの?
BA:アルルでジャズフェスティバルがあるんだ。みんな参加するんだよ。
面白ぞ。来なきゃダメだよ。ね、来なよ。
BS:無理よ。私はメルローズ家に滞在するの。
BA:そうなんだ。
BS:電話番号教えて。
空港でスーツケースをピックアップしているニコラス。
EM:ニコラス!
エレノアとアンが迎えにきます。
EM:ごめんなさい。
観覧車が止まっちゃって降りられなかったの。
NP:君らしいね、エレノア。楽しんだようだ。
ちょっと失礼するよ。
遅れて出てきたブリジットに近寄ります。
NP:何をしていたんだ。私は君を探してスーツケースを持ち歩いていたんだぞ。
怒るニコラスにバリーが話しかけます。
BA:カートを使えよ。おじさん。
僕はバリーだ。
NP:二度とバカなまねはするなよ。
EM:ニコラス?
近づくエレノアとアンにブリジットを紹介するニコラス。
NP:彼女はブリジット・ワトソン・スコットだ。
エレノア・メルローズ。
EM:こちらは?
バリーを見るエレノア。
NP:知らないやつだ。さ、行こう。
畑を歩くパトリック。
葉巻を吸うデイヴィッド。
飲み物が乗っているトレーに蟻が数匹歩いています。
葉巻で蟻を焼くデイヴィッド。
イヴェットが外にいるパトリックを呼びます。
Y:ランチは?
PM:いらない。
Y:おなかすかないの?
PM:お父さんといたくないんだ。
ふたりの様子を窓から見ているデイヴィッド。
Y:どうしたの?
PM:ママがいい、ママに会いたいんだ。
Y:私にはどうすることもできないの、ごめんね。
イヴェットに抱きつくパトリック
その様子をじっと見ているデイヴィット。
イヴェットが去ったあと、たくさん落ちているイチジクを次々と踏みつけていくパトリック。
イチジクを手に取り放り投げようとするパトリックにデイヴィットが怒鳴ります。
DM:やめなさい。二度とやるんじゃない。
そのまま固まるパトリック。
PM:僕、何かした?
DM:今すぐ私の部屋に来るんだ!
パトリックは星の名前を唱えながらゆっくりとデイヴィットの部屋に向かいます。
Mercury, Venus, Earth, Mars Jupiter, Saturn, Uranus, Pluto.
ベッドに座っているデイヴィット。
パトリックは部屋の入り口に立つと小さな声で聞きます。
PM:僕が何をしたの?
DM:こっちに来なさい。
一歩中に入り泣きそうな声でもう一度聞きます。
PM:でも僕何か悪い事したの?
DM:お前が一番よくわかっているだろう。
もっと近くに来なさい。
不安そうに黙ったまま立っているパトリック。
DM:キング・シャカを知ってるか?
PM:ううん。
DM:キング・シャカは軍隊を大地に生えるヤブを踏み鳴らさせ、熱いとがった岩を何日も行進させた偉大で無敵なズールー族の戦士だ。
彼らの足の裏は切りつけられ焼かれていった。
その時は憤りや痛みがあったが皮膚が固くなりできたマメのより傷がつくことはなくなった。
何の痛みも感じなくなったんだ。
その時には虐待のように感じていたことは実はギフトだった。
愛だったんだよ。
靴を脱ぐデイヴィット。
DM:今は私に感謝するとは思っていない、
だがお前が大人になった時に私が教え込んだタッチメント(*)の技術に感謝してくれればいい。
ドアを閉めてこちらに来なさい。
(*)ヒトが世界における物事、人物、価値観などへの愛着欲求を克服し、それによってより高い視点を獲得するという概念。
パトリックは壁についているヤモリを見ます。
DM:私に閉めさせるつもりか?
立ったまま動かないパトリック。
デイヴィットが立ち上がります。
DM:ズボンをおろしなさい。
ドアを閉めるデイヴィッド。
ひとしきりの静寂。
ひとりベッドに座るデイヴィッド。
ベッドのシーツは乱れていました。
立ち上がりガウンの紐を締めるデイヴィッド。
畑を全速力で走るパトリック。
ベッドをなおし身だしなみを整えるデイヴィッド。
ランチを食べるデイヴィッド。
イヴェットがサーブをしています。
Y:パトリックの昼食はどうされますか?
DM:食べないからいいよ。
古い建物の中で横たわり泣いているパトリック。
現在。
ベッドの上で離脱症状に苦しむパトリックを解放するジョニー。
続きます。
Based on Patrick Melrose by Edward St Aubyn
Written by David Nicholls
Directed by Edward Berger
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Patrick Melrose:PM(パトリック・メルローズ)
David Melrose:DM(デイヴィッド・メルローズ パトリックの父)
Eleanor Melrose:EM(エレノア・メルローズ パトリックの母)
Nicholas Pratt:NP(ニコラス・プラット デイヴィッドの親友)
Anne Moore:AM(アン・ムーア ヴィクターの恋人?)
Sir Victor Eisen:VE(ヴィクター・アイゼン デイヴィッドの大学の友人?アンの恋人?)
Bridget Watson Scott:BS(ブリジット・ワトソン・スコット ニコラスの愛人)
Johnny Hall:JH(ジョニー・ホール パトリックの友人)
ブリジットとニコラスがフランスに到着します。
着陸した飛行機のトイレでブーツからたばこを取り出し火をつけるブリジット。
先に降りたニコラス。
ブリジットも降りようとしたその時、男から声をかけられます。
BA:ブリジット?ブリジットだよね?
BS:バリー!驚いた。
BA:今朝、ちょうど君の事を考えていたんだよ。
共時性ってやつだな。
BS:ここで何してるの?
BA:アルルでジャズフェスティバルがあるんだ。みんな参加するんだよ。
面白ぞ。来なきゃダメだよ。ね、来なよ。
BS:無理よ。私はメルローズ家に滞在するの。
BA:そうなんだ。
BS:電話番号教えて。
空港でスーツケースをピックアップしているニコラス。
EM:ニコラス!
エレノアとアンが迎えにきます。
EM:ごめんなさい。
観覧車が止まっちゃって降りられなかったの。
NP:君らしいね、エレノア。楽しんだようだ。
ちょっと失礼するよ。
遅れて出てきたブリジットに近寄ります。
NP:何をしていたんだ。私は君を探してスーツケースを持ち歩いていたんだぞ。
怒るニコラスにバリーが話しかけます。
BA:カートを使えよ。おじさん。
僕はバリーだ。
NP:二度とバカなまねはするなよ。
EM:ニコラス?
近づくエレノアとアンにブリジットを紹介するニコラス。
NP:彼女はブリジット・ワトソン・スコットだ。
エレノア・メルローズ。
EM:こちらは?
バリーを見るエレノア。
NP:知らないやつだ。さ、行こう。
畑を歩くパトリック。
葉巻を吸うデイヴィッド。
飲み物が乗っているトレーに蟻が数匹歩いています。
葉巻で蟻を焼くデイヴィッド。
イヴェットが外にいるパトリックを呼びます。
Y:ランチは?
PM:いらない。
Y:おなかすかないの?
PM:お父さんといたくないんだ。
ふたりの様子を窓から見ているデイヴィッド。
Y:どうしたの?
PM:ママがいい、ママに会いたいんだ。
Y:私にはどうすることもできないの、ごめんね。
イヴェットに抱きつくパトリック
その様子をじっと見ているデイヴィット。
イヴェットが去ったあと、たくさん落ちているイチジクを次々と踏みつけていくパトリック。
イチジクを手に取り放り投げようとするパトリックにデイヴィットが怒鳴ります。
DM:やめなさい。二度とやるんじゃない。
そのまま固まるパトリック。
PM:僕、何かした?
DM:今すぐ私の部屋に来るんだ!
パトリックは星の名前を唱えながらゆっくりとデイヴィットの部屋に向かいます。
Mercury, Venus, Earth, Mars Jupiter, Saturn, Uranus, Pluto.
ベッドに座っているデイヴィット。
パトリックは部屋の入り口に立つと小さな声で聞きます。
PM:僕が何をしたの?
DM:こっちに来なさい。
一歩中に入り泣きそうな声でもう一度聞きます。
PM:でも僕何か悪い事したの?
DM:お前が一番よくわかっているだろう。
もっと近くに来なさい。
不安そうに黙ったまま立っているパトリック。
DM:キング・シャカを知ってるか?
PM:ううん。
DM:キング・シャカは軍隊を大地に生えるヤブを踏み鳴らさせ、熱いとがった岩を何日も行進させた偉大で無敵なズールー族の戦士だ。
彼らの足の裏は切りつけられ焼かれていった。
その時は憤りや痛みがあったが皮膚が固くなりできたマメのより傷がつくことはなくなった。
何の痛みも感じなくなったんだ。
その時には虐待のように感じていたことは実はギフトだった。
愛だったんだよ。
靴を脱ぐデイヴィット。
DM:今は私に感謝するとは思っていない、
だがお前が大人になった時に私が教え込んだタッチメント(*)の技術に感謝してくれればいい。
ドアを閉めてこちらに来なさい。
(*)ヒトが世界における物事、人物、価値観などへの愛着欲求を克服し、それによってより高い視点を獲得するという概念。
パトリックは壁についているヤモリを見ます。
DM:私に閉めさせるつもりか?
立ったまま動かないパトリック。
デイヴィットが立ち上がります。
DM:ズボンをおろしなさい。
ドアを閉めるデイヴィッド。
ひとしきりの静寂。
ひとりベッドに座るデイヴィッド。
ベッドのシーツは乱れていました。
立ち上がりガウンの紐を締めるデイヴィッド。
畑を全速力で走るパトリック。
ベッドをなおし身だしなみを整えるデイヴィッド。
ランチを食べるデイヴィッド。
イヴェットがサーブをしています。
Y:パトリックの昼食はどうされますか?
DM:食べないからいいよ。
古い建物の中で横たわり泣いているパトリック。
現在。
ベッドの上で離脱症状に苦しむパトリックを解放するジョニー。
続きます。