青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

大阪流エスカレーター作法は世界標準?

2020-12-02 | ぶらり散歩

皆さんご存知のように、関西と関東ではエスカレーターの「追い越し用レーン」は逆です。関西では左側が追い越し用。関東では右側が追い越し用となる。東西でなぜ違うのでしょう?

これは1970年の大阪万博が関係しています。万博開催の時、主に「右立ち左空け」が標準だった欧米諸国にならい、エスカレーターは左側を空けるようにしました。次いで阪急電車が梅田ターミナルにエスカレーターを導入。パリやロンドンにならい阪急が、「急がない人は右側へ寄るように」アナウンスをし、掲示板でも呼びかけたのが決定打になりました。だから関西式は実は「世界標準」(笑)なのです!

ちなみにパリ、ロンドン、ワシントン、ボストン、香港、ソウル、モスクワでは右に立ち左を歩行者に空け、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドでは左側に立ち右側を歩行者に空けている。必ずしも道路通行の左右とは一致していません。



なにしろ大阪人は歩くスピードが秒速1.6メートルで世界一!エスカレーターでじっと立っていられないのす!

右側を空ける東京式は、大阪より20年も遅い90年代に定着しました。理由は「駅の構内は左側通行」という原則が自然にそのまま使われているから。東京は武士の刀の鞘同士が当たらないよう、左側を歩く。だから追い越しは右側からという説は根拠がありません。なぜなら、武士は東京だけではなく、全国にいたのですから。

しかし最近、歩行者によってバランスを崩した人が転倒し、それによって将棋倒し事故を招くなどの恐れがある為、日本エレベーター協会ではエスカレーターでの歩行禁止をマナーとして呼びかけています。また、川崎駅前地下街「アゼリア」では過去の将棋倒し事故を教訓とし、歩行禁止を呼びかけています。もっと進んでいるのは名古屋で、市営地下鉄では構内放送で歩行禁止を呼びかけ。また都営地下鉄や横浜市営地下鉄でもエスカレーターでの歩行禁止を呼びかける掲示が出されていますが、全国どこでも普及しているとは言えません。恐らく歩行禁止は無理でしょう・・・・なぜなら、エスカレーターしかない場所。階段が併設していない所もありますので、急ぐ人はどうしても歩くでしょう。

しかし海外に目を向ければ、ロンドン地下鉄の駅など、交通の円滑化のため片側を空けることを積極的に呼びかけている国も有る。

日本だけではなく、世界中ルールが違うので、地域でルールを決定するのは混乱して余計に危険。せめて「日本はこう!」と、国内の統一くらい出来ないものかと思います。これはいかに行政が真剣に、これからの高齢化社会を考えていないかを示す証拠ではないでしょうか?ゴロゴロと転がす鞄を持った人や、お年寄りが増えているのに、右に左に追い越しを掛けられたのでは危険極まりないと思う政治家はいないのでしょうか?

"Escalator"という語は元々、アメリカ合衆国の企業オーチス・エレベーター社(Otis Elevator Company)の登録商標で、商品名です。しかし、当時この自動式階段を表す適当な語句が他に無く、一般に「エスカレーター」と呼ばれたため、普通名称化しました。太っ腹なオーチス・エレベーター社は、既に商標権を放棄しています。

ちなみに世界で最も短いエスカレーターは、この川崎駅前の地下街アゼリアと川崎岡田屋モアーズ地下2階を結ぶ下りエスカレーター(アゼリアはモアーズの地下1階と地下2階の間に接する)で、ステップ4段分しかありません。エスカレーターを降りてもさらに階段が続くため、結果的に存在意義はないのですが、その短さゆえにギネスブックに登録されています。

このエスカレーターは横浜のみなとみらい、ランドマークタワービルのエスカレーターです。僕が関東に来た時に「へえ~」と感心したのを覚えています。最初は何とも思わなかったのですが、友人に「ちゃんと見ろ!このエスカレーターは曲線型エスカレーターと言って、カーブしてるだろう?世界でここだけしか無いんだ!」と言われました。