僕はそもそも、ロックはザ・ビートルズさえあればいいという少年で、音楽よりも洋画に重きを置く、映画マニアでした。最初にレコード屋に通い出したのは、実はサントラ盤の発掘の為でした。それがいつの間にか映画音楽好き少年が、ロック少年へと変わって行ったのです。両親も僕が聴く音楽がガラリと変わり、驚いたと思います。
1977年~80年にかけて、映画のマニア向け季刊「映画宝庫」という本がありました。このシリーズで78年に「サントラレコードの本」が発売。この本にサントラレコードを扱っている専門店が紹介されており、そのお店に順番に足を運びました。
最後は東京・渋谷の「すみや」にまで足を延ばしたのですが、まずは大阪からスタート。お店に行ってみると、本で紹介されていたのは「輸入レコード屋」で、サントラよりもロックの輸入盤を数多く扱っているお店ばかりでした。
最初のお店が、阪急東通り商店街にあった「DUN(ダン)」。ディスコ「ボトムライン」の斜め前にありました。
おばさんが1人でやっているお店で、普通のレコード屋と違い、ダンボール箱にLPレコードが詰め込まれていて、「バーゲン!」という紙が、いつ行っても店内に貼られていました。輸入レコードの独特の匂いがするお店は新鮮でした。
在庫は1万枚。ロック、ブルース、ソウル、ジャズ、カントリーと幅広いジャンルを扱っており、「好きなだけいて、好きなだけ選んで下さい」というセルフサービスの店で、会員システムがあり、購入ごとにスタンプを押してくれました。2万円分買うと、3,000円のレコード券が貰えました。通い始めてしばらくした時、バーゲンセールを頻繁に開催し、閉店しました。グローバー・ワシントン・Jrの「ワインライト」を、大ヒットの真っ只中の時期に、何と半額で買ったのが最後でした。
DUNを知ってる人・・いるかな?