オリンピックが開催される夏といえば・・・
僕が青春時代に通い詰めたレコード屋さんについて、今日が最終回。もう少しお付き合い下さい。
僕は、「音質が悪い、高額、法律違反」と3拍子揃った海賊盤は嫌いでした。今はブートレグと呼ぶ方が一般的のようですが、昔は海賊版と呼びました。しかし友人はこれが大好きで、よく購入していました。それを嫌いと言いながらも、借りて聴いていたのが僕です。(笑)
その友人と必ず行ったのが「HOGG(ホッジ)」でした。ここはイギリスからの輸入レコード屋でしたが、海賊盤も扱っている店で、エリック・クラプトンのMSGのコンサート音源である「TOUR ‘74」を友人が買いました。「クラプトンが好きなら、今度日本公演の音源も出しますので」と、店員が声を掛けて来ました。その意味が分からなかった僕に、友人が教えてくれました。「コンサートを隠し録りしたものをレコードにするんだ」と。
友人はお金持ちだったので、後日74年11月2日の武道館公演と、11月5日の大阪公演のそれぞれ2枚組のLPを各6,800円で購入しました。75年の始めにこの値段。いかに高額なものかお分かりだと思います。5月と11月がバーゲンでした。そう、この店とスタッフが伝説の海賊盤「OGレーベル」でした!ここまで紹介させて頂いた3店は、全て木曜が定休日でしたね。たまに定休日を忘れて出かけてしまったこともありました。(笑)
写真は友人が買った上記の海賊版。ジャケットは白黒のコンサート写真を使っただけのシンプルなものでした。
他には関西の人は知っているでしょうか?輸入盤・中古盤の「フォーエヴァー・レコード」や、御堂筋沿いの「ソレイユ」、その近くには「リバーサイド」。御堂筋を挟んで向いには中古盤店「イーストレコード」も一緒にまとめて廻りました。まるで回遊魚のように元気に。(笑)海賊盤専門店「キニー」の大阪店がオープンした時は、店員が東京の大名商売のような横柄な態度をそのまま大阪に持ち込んだ為、すぐに閉店!あれでは大阪では通用しないでしょう。知っている人はここで笑うハズです。(笑)
京都に行った時には、「十字屋」、「プー横丁」に立ち寄りました。80年代半ばになり、CDが普及し始めると同時に、「タワーレコード」や「HMV」などが進出して来た為、これらの店は店を閉めたり、場所を移転したり。つい最近まで頑張って来たのに店を閉めた所もあり、寂しいものです。今のCD店とこれらの店には大きな違いがありました。それは、こういうレコード屋の店長、スタッフがとてもよく音楽を知っていて、楽しそうにお客と話をいつもしていたということ。タワーやHMVのように、レジにCDを持って行き、お金を払うだけの店とは根本的に違ったと言う事です。
店長達が教えてくれた情報や、裏話、「これは聴かないと・・・」と教えてくれたレコード。そういうことを僕は今も忘れていません。懐かしい話に終わるのではなく、こういうお店に復活してもらいたい。でもそれには若いアーティストに余りにも魅力が無い&最近の若者の洋楽離れが大きな障害になり、2度とああいうお店が繁盛する時代は来ないと僕は知っています。寂しいことです。
コロナを吹っ飛ばせ、ストーンズ!