記録は破られるためにあると言われます。現在の世界一や日本一は広く知られていても、かつての日本一は次々と忘れられて行きます。日本一と言えば「富士山」は今も昔も同じですが、「東京タワー」と言うと今では子供に笑われます。でも、僕の記憶の中では「東京タワー」は今も価値があります。スカイツリーには行ったことも、実物を見たこともありませんから。
そういう意味で、このビルは大阪では多くの価値があり、多くの大阪人がそれを知っています。
これは大阪にある、「第一生命ビル」です。昭和28年(1953年)5月20日、梅田にこのビルが完成した時、第一生命ビルは日本一の高層建築物でした。12階建てで、高さは40.75メートル。この記録が破られても、このビルはその後もいろんな記録を持っています。
屋上でオープンした「アサヒ・ビアガーデン」は、日本で最初の屋上ビアガーデンとして大人気を誇りました。
こちらは現在の建て替わった第一生命ビルですが、1990年に完成しました。この新ビルも記録を持ちました。2007年(平成19年)から2012年(平成24年)まで、大阪府内の地価最高地点だったのです。現在はグランフロント大阪に、その座を譲りました。
「記憶の長嶋、記録の王」という言葉もありますが、記憶に残るもの・・意味があるから僕たちの心に刺さるのでしょうね。