冬ぼたん 乙女の細き 指を染め
馬糞 Bafun
2月17日に冬牡丹の庭苑を出て高雄の五月に渡り、四月の台
北を経て、20日の夜、福岡税関で不審者としてボディーチェックを受
けたあと、再び、祖国の二月に戻ってきた。
白足袋に雪駄、ユニクロのズボンにスコットランド生地のブレザー、
頭はガンダムのニット帽で、登山用リュックという、「文明の衝突」実
験的ファッションではあったが、金玉までチェックするのは行き過ぎ
ではないのか。
麻薬犬でさえ無関心だったのだから・・・。
22日の日曜日は、初めての戦闘機体験搭乗の予定だった。
ところが、悪天候のために中止となった。
戦闘モードに入っていただけに、なんとも残念なことであった。
20日の千葉沖で負傷者を出したノースウェスト航空機乱気流騒
動の余波が中止を後押ししたかもしれない。
確かに、台湾入国初日の17日には春一番のような突風が吹いて
いた。
帰国した20日にも再び、強風が吹き荒れていた。
台湾海峡波高し。
台湾問題を考えるには、戦闘機搭乗中止の余波も止むを得まい。
まずは、冬牡丹の大和の春に、心を和らげるとしよう。
今が、冬牡丹と梅の見ごろである。
同じ花を見ても、チャイナと日本では、思い浮かべる女性の姿は
中華料理と懐石料理ほどに違っていることであろう。
李登輝・元総統が、故・司馬遼太郎氏との対談で語った『台湾人と
して生まれた悲哀』という逆境と悲願の言葉がある。
そこから、時差1時間を隔てた祖国・日本の早春に戻って、つくづく
と、日本人として生まれたことの幸せと覚悟を思うことである。
台湾という国家の安全と繁栄は日本の生命線である。
一蓮托生の島国であり、かつ海洋国家である。
そのような確信を深めた旅であった。
【 『研修旅行に名を借りた観光』 という侮言の心得違い 】
観光といえば遊び旅行のように言われるが、果たしてそうか。
研修旅行と観光旅行は異質なのか。
そんな疑問を、言の葉に上った心無い「常識」への異議として考
えてみた。
確かに、酒池肉林型の下種な旅行もあるが、それを観光ということ
にも異議がある。
観光とは、光を観ると書く。
観光とは、まさに、異文化体験の旅なのである。
旅から得る文化的な発見や問題意識は、研修に他ならない。
文化研修こそは観光なのである。
観よ、台湾の光を!
観よ、九州の光を!
自治体も、国も、旅行企画会社も旅館・ホテルも、『観光』という言
葉に、文化的な誇りと知性を込めて用いてほしい。
観光政策として、観光ビジネスとして、プライドを持って異文化とし
ての光ある歴史、文化を語り、共感してもらえるように努力をするべ
きである。
そうであってこそ、観光に豊かな付加価値と楽しみが生まれるので
ある。
観光の本質を知らしめ、本物の観光ビジネスを開拓したいものだ。
梅士 Baishi