Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

過酷な雇用状況を描いた「限界にっぽん」という本を読んで

2015年03月02日 | 読書

 3月2日(月)

 今、「限界にっぽん」という本を読んでいる。これは過酷な雇用状況やリストラについて特集した記事を、朝日新聞が一冊の本にまとめたものです。

 グローバル化・IC化・機械化が進む今の世は私が働き始めた頃と状況が全く異なり、現状に適応する才能や技術を持たぬ者には生き辛い世の中になっている。

 とは言え読み進むうちに、ンー?と異に思う事もある。大阪のある一人の男性派遣社員(49歳)は「稼ぎが悪くてアパート何か借りられませんわ」と言って、マクドナルドなど深夜営業の店を渡り歩いて夜を明かす日々を過している。こういう人達は「マクド難民」と呼ばれ、非正規社員の採用が拡がるにつれ、その数を増しているという。

 この派遣社員はカメラ用品の工場に勤め、時給800円で一日6時間、週3~4回しか仕事が無いので月収は6万円ほどしかないという。確かにこの収入ではアパートを借りる事はできないだろう。

 でもこの人、空いてる時間は一体何をしてるのだろう。最近の情報では、運輸、建設、介護、外食の現場は人出不足が深刻な状態だと聞いている。ではこの仕事が無いと言う男性と人出不足のギャップはどうして何だと腑に落ちない。

 又、「日通」の管理職だった40代の男性は、インターネット通販アマゾンの巨大倉庫に出向させられ、一日中ピッキング作業に明け暮れるそうだ。

 この男性は「朝8時半から夕方5時まで商品を探して端末機を品物に当てカートに入れる単純作業の繰り返し、サッカー場二面は取れる広さのフロアで数百人がカートを押しながら棚と棚の間を何度も行き来する。作業員の大半は契約社員や派遣の若者で、端末の指示だけで動き人との会話も無い。まるで機械になったような気分」と嘆く。

 それから「リコー」で研究開発一筋だった50代の男性は、グループの物流子会社に出向させられ倉庫で部品チェックの仕事に携わる。重いものでは数十キロにもなる段ボール箱を上げ下げし、作業は立ちっぱなし、夕方には足が痛くなる。週の後半は本当に辛い。何時まで続けられるか」と嘆く。

 又こうも言う。「周りは殆ど派遣社員、皆時給1000円くらいですかね。私も派遣だと思われている。僕らの給料聞いたら彼等怒るでしょうね。」

 正社員の座を不当に奪われようとする抑圧され差別された弱者と声を上げるこれらの企業マン、では彼等は同じ労働条件で時給1000円程の低賃金で働く契約社員や派遣の人達についてはどう思っているのだろう。彼等とは階層が違うのだから仕方ない事とでも思っているのだろうか。

 又労働の過酷さを言うのなら、朝8時半から夕方5時まで冬は寒風吹きすさび夏は炎天下の野外で、休憩時間以外は立ちんぼ且つ低賃金で働く私らの現場の方が遥かに過酷ではないだろうか。

 雨風凌げる倉庫内で何度も行き来できるなら「金を貰って良い足の運動になるわい」、又重い荷物を何度も上げ下げするなら「これ又良い筋トレになるわい」と、多分私なら思うだろう。

 この本に登場する人物達について、私は本に載せられた情報しか知らず、それは彼らの窮状の一部に過ぎないだろう。だからもの申せば独断・偏見と返されても仕方ない。でも私は彼らの主張の中に、自分本位な偏重と覚悟の甘さを感じて、何か同調できぬ思いがある。

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