8月12日(水) 天気=曇り後一時雨
09:05登山口駐車場→ 10:15尾根乗越→ 10:35~45伐採地分岐→ 11:46ペテガリ山荘
ペテガリ岳登山口へは元浦川林道を約1時間余遡るのだが、これが大変な悪路で3年前神威岳登山でこの道を通った時は、途中でタイヤがパンクしてエライ目にあったのです。しかし道路状況が良くなったようで今回は意外と楽に走る事ができた。
林道終点の神威山荘間近で左折するとすぐにペテガリ岳登山口で、路肩に5~6台の駐車場スペースがある。既に2台の車が駐車しており、水戸ナンバーの車から若い男性が出発するところだった。私も渓流シューズを履き彼の後を追うように出発する。
登山口の駐車スペース
出発してすぐにシュオマナイ川を渡渉する。普段は大した水量でないが、大雨で増水すると渡渉困難となり登山口へ戻れない。この先は登山コースとなっている支沢を遡って行く。先行した男性は普通の山靴のせいか歩みが遅く後方に遅れてしまった。
シュオマナイ川の渡渉地点
沢沿いの道は目印も多く、途中にある10m滝を左側から巻く時だけ注意すれば他に危険個所は無い。最後は滑り易い急登の踏み跡を登り出発から約1時間余で尾根乗越に着いた。乗越は笹薮の中だが目印を伝って行けば迷う事はない。
途中にある10m程の滝
尾根乗越地点
乗越から再び滑り易い急な踏み跡を降り、しばらく沢を降ると広々とした伐採地に出る。ここからは明瞭な道となりベッピリガイ沢川を渡渉すると、後は川沿いの林道を約1時間程歩いてお昼前にペテガリ山荘へ到着した。
広々とした伐採地
ベッピリガイ沢川の渡渉地点
無人小屋ながらペテガリ山荘は大変綺麗で快適な小屋だ。北海道は最近天気が安定せず今日も午後から雨が降り始めた。幸い夕方には上がったけれど、どうか明日は降らないでくれと祈るような気持になる。
大変綺麗なペテガリ山荘(右側に登山口)
今夜の同宿者は水戸から着た40代の男性と50代のご夫婦そして沢登りをやるという20代の男性二人の計5名、話を交わすと50代のご夫婦は何と我家のすぐ近くの人達だった。こんな所でご近所さんに会うとは思わず互いにビックリした。
8月13日(木) 天気=曇り後雨
04:15ペテガリ山荘→ 05:30~401050mピーク→ 06:281293mピーク→ 07:24~331301mピーク→ 08:42~09:03ペテガリ岳→ 09:50~10:051301mピーク→ 11:00~101293mピーク→ 11:47~541050mピーク→ 12:43~13:10ペテガリ山荘→ 14:14伐採地分岐→ 14:38尾根乗越→ 15:27登山口駐車場
祈りが通じたようで曇り空ながら天気は悪くない。水戸の男性、ご近所のご夫婦とほぼ同時の4時過ぎに出発する。しばらく小沢沿いに進んで右折し急な山腹をジグザグに登って行く。
昨日の雨で道を覆う笹がグッショリ濡れ、雨衣を着用しなかった私はすぐに全身びしょ濡れになってしまった。今更着ても遅いから濡れたままで歩き続ける。今年は地元山岳会の人達がコースの刈り払いをしてくれたので所々歩き易くなっているが、それでも大半は笹を掻き分けながらの登りが続く。
1050mピークからピリガイ山方面
出発して1時間余で1050mピークに着いた。山荘が標高400mだから650m標高を稼いだ事になる。僅かながら展望も効き良い休憩ポイントだ。ここから一旦降って次の1293mピークを目指して登って行く。コースの大部分は笹に覆われているがその下の踏み跡は明瞭だ。又所々刈払されているので以前よりは歩き易くなってるようだ。
1293mピークは緩やかでいつの間にか通り過ぎてしまった。ここから標高差200mを降り再び同じ標高差を登って1301mピークに着いた。もう目前にペテガリ岳の山頂が聳えている。生憎山頂は雲に覆われ山腹しか見えない。中ノ岳の鋭いピークがチラリと遠くに見えた。
遠く中ノ岳の鋭いピーク
ここから100m程標高を下げ、いよいよペテガリ岳へ向けて標高差500mの急登が始まる。此処が我慢のしどころで、ハイ松帯に突入すると山頂までは遠く無い。ハイ松を掻き分けながら進んで行くと遠くに山頂標識と山頂に佇むペアのエゾ鹿の姿が見えた。
ペテガリ岳への長い登り
山頂に佇む2頭のエゾ鹿
ペアのエゾ鹿は私が近づくとサッと姿を消してしまった。8時42分ペテガリ岳(1736m)到着、山荘を出発して山頂まで約4時間半の登り、きつかったけれど念願の山だったから感無量である。晴れていれば素晴らしい眺めのはずだが雲に覆われ残念ながら殆ど展望は無い。
ペテガリ岳山頂
そろそろ下山しようと思った頃50代のご夫婦が山頂に到着した。お互いに写真を撮り合い登頂の喜びを分かちあう。ご夫婦とお別れし、ハイ松を掻き分けながら降って行くと水戸の男性が登ってきた。「もうチョイだから頑張れ」と声を掛けると「早いですねぇ。修行が足りないなあ。」何て言いながら彼は登って行った。
ペテガリ岳からのハイ松の降り
降りの道も長いけれど明日は天気が悪そうなので、何とか今日中に下山したいから殆ど休まず降って行く。1293mピークへの登り返しはそうでもなかったが、1050mピークへの登りはきつくピークの上で一息いれる。
鞍部から1301mピーク
1293mピーク付近の道
ここから山荘までは一気の降りで転がるように降って行く。12時43分山荘に戻ってきた。軽く腹ごしらえした後、荷物をまとめ登山口へと出発する。林道を30分程歩いた頃であろうか、雨がポツリポツリと降り始めその後は夕立のような降り方に変わった。
1050mピークから下山コース
ここまで来て今更山荘に戻る気持ちにはなれぬ。登山口近くのシュオマナイ川が増水しないうちに渡らねばと必死の思いで歩いて行く。尾根乗越からの降りでは泥道に靴を滑らせ2度程転んでしまった。降りの沢はみるみる増水し茶色く濁ってくる。
それでも歩みを緩めず降って行き、辿り着いたシュオマナイ川は大して増水しておらず思わず安堵の吐息が洩れた。車に戻ると濡れた衣服を全て着替える。降ってる最中は夢中で気付かなかったけれど、岩角にでもぶつけたのだろうか左足親指が黒く変色し疼くような痛みを発していた。
元浦川林道を慎重に運転し、明るいうちに人里へ降る事ができた。最寄りの「みついし温泉」に車を停め、さっそく暖かい温泉に浸り、まるで地獄から天国へ逃れたような心境だ。憧れのペテガリ岳にも登れたし、加山雄三じゃないけれど「シアワセだなあ。」と叫びたい気分、その夜のビールの実に美味かった事、美味かった事。