ありふれた日常生活の悲喜こもごもを描いた作品で定評のある垣谷美雨さんは、私の大好きな小説家の一人です。彼女が書いた「もう別れてもいいですか」という小説が図書館に在ったので、早速借りて読んでみた。
小説の主人公原田澄子」は定年間際の夫と暮らす熟年世代の主婦、外面こそ良いけれど、夫の孝男は妻を召使いのようにこき使う思いやりの無いモラハラ男。澄子はそんな夫を心底嫌い別れたいと思うだが、老後の生活不安や狭い世間の噂、夫に対する恐怖心などの難関を前にして中々離婚に踏み出す事ができない。
そんな澄子を救ってくれたのは、親しい女友達との絆だった。彼女達の友情と支援で澄子は幾多の障害を乗り越えて、めでたくモラハラ夫とオサラバする事ができ、新たな人生に希望の光が見えたのだった。・・という熟年離婚のサクセスストーリーです。
こんな感じの熟年夫婦、世間にはゴロゴロ転がっていそうです。私が昔居た職場にも、「頭に来たから、女房をぶん殴ってやった」と、自慢げに話すバカな男が居ました。そいつがその後どうなったかは知らないが、間違いなく惨めな老後を彷徨っているでしょう。
翻って我が家も、超がつく熟年夫婦です。孝男みたいなモラハラ夫に比べたら私は遥かにモラルのある夫という自負はあるのだが、正直なところ妻がどう思っているかは分からない。聞いてみたい気もするが「藪をつついて蛇を出す」では困るし、世の中には知らない方が幸せ・・って事も多々あるので、「知らぬが仏」でいる方が良さそうです。
日本の熟年離婚件数を少しでも減らす為、世の熟年男性にぜひこの本を読んでいただきたいと思います。