透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

「君の椅子」プロジェクト

2014-03-13 20:58:16 | 日記

曇り時々晴れ。最低気温-6.4℃、最高気温1.1℃。真冬日から脱して、暖かさを感じる。

昨日(2014年3月12日)の日刊紙に、「君の椅子」プロジェクトの取り組みについて書かれた本が刊行されたこと、これに関連して講演と朗読の会が催されたとの記事が掲載されていた。

「あの日に生まれた命にお祝い」との見出しだった。「君の椅子」プロジェクトは上川管内の東川町など4町と旭川大学などで構成され、磯田憲一氏が代表を務めている。東日本大震災の当日に宮城、福島、岩手の3県で生まれた子ども98人に木製の椅子を手渡しで贈る活動をされていたそうだ。こうした活動の経緯や椅子を受け取った家族からの手記をこの本に纏めたとのこと。

講演の中で磯田氏は「あの日が、多くの命が失われた日ではあっても、生まれた命にはお祝いの言葉を伝えたかった」と。また、椅子を受け取った子の父親から「初めてわが子の誕生を『おめでとう』と祝われた」とのエピソードを紹介したとあった。

この記事を読んで、真っ先に思い出したのは、ナチュラリストで詩人、エッセイストのヘンリー・デイヴィッド・ソローの言葉だった。彼の著作『森の家』の中にあった「私の森の家には椅子が三つありました。ひとつ目は独り居のため、ふたつ目は良き友のため、三つ目はみんなのためでした。」という箇所。訳す方により、表現は多少異なるでしょうが。

誕生を祝福するために作られた一つひとつの椅子はそれぞれの子が自分の居場所を確かにするために生かされることだろう。その子たちが、大きくなったときに、良き友や他のみんなのことを考えることができるようになるかもしれない。「君の椅子」プロジェクト、暖かで夢がある活動だ。

   

コメント
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