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札幌の北海道立文学館では昨日から賢治生誕120年を記念するイベントが始まりました。
童話「グスコーブドリの伝記」を中心に、作品の原稿や資料などから、農民救済という賢治の願いを読みとく特別展「2016年の宮沢賢治―科学と祈りのこころ」で、9月17日(土)~11月16日(水)まで、北海道立文学館特別展示室(中島公園内)で開催とのことです。
昨日、さっそく、文学館へ足を運び、特別展を見学し、その後、14時から15時半まで、岡田弘(ひろむ)氏の講演に耳を傾けてまいりました。
地球科学者で北大名誉教授の岡田弘氏の専門は、火山物理学、火山噴火予知、火山災害で、現在、NPO環境防災機構理事とのことです。
北海道の有珠山の噴火を予見し、迅速かつ的確に火山に対処したおかげで、周辺地域の被害を最小にし、犠牲者を1人も出さずに済んだという、まさにブドリたちの行動を地で行った方だそうです。
岡田氏は賢治がこの作品の中で実現しようとした試みが現代においても、有効な面があることや、ヒントとなった事柄についてのいくつかを解明してくださいました。
また、クーボー博士のモデルやブドリのように火山に関係する中で命を落とされた方々の名を具体的に挙げられてその活動を話されていました。
専門分野でのお話しとしては、火山の予知は地道な地震の計測などで、ある程度「できる」ということを話されていたのが、私には意外でした。火山の噴火などは人知の知りえることではないと思っていたからです。でも、過去の様々なデーターを示して話されていた内容から、ある程度はできるのかなと納得させられました。
また、データーの数値を情報としてただ伝えるだけではなく、そのデーターを基に話し合える環境を作ることが、硬直化せずに、現場を救うことにつながっていくという考えを述べられていました。
賢治の思いはまさにこういうことだったのではないかと私には思えたのでした。
北海道立文学館を擁する中島公園
北海道立文学館
北海道立文学館
北海道立文学館講堂(地下1階)