映画『墨攻』を見てきた。
んむむ、なんというか、暗い映画だったなあ。
原作漫画は立ち読みでパラパラっと流し読みしただけなので、たいした印象はなかったのだけど、その元となった小説版の作者酒見賢一の作品が大好きだったのと(『陋巷に在り』は大傑作!)、久々に歴史作品好きの血が騒いだので、劇場へと足を運ぶことにしました。
世界観や合戦の迫力、臨場感はすんばらしいの一言。痛快この上なく、かつ悲惨な面もしっかり描かれていました(終盤の趙兵の城攻めの方法は笑ったが)。ほんまもんと比べてどうかはわかんないけど、素人目にはなかなかリアルに描かれていた気がします。キャストも、アンディ・ラウや他のサブキャラがなかなかいい味出していたので、この手のアジア映画ファンは要チェックかもしれません。
でも肝心のストーリーがかなーり暗いので、終了後僕の頭の中でモヤモヤが発生し、なかなか消えずに今も残りっぱなしです。嫌いじゃないんだけどね、こういうの。グロシーンも映像には出てこないものの、画面の見えないところで繰り広げられ、うめき声・叫び声だけがやたら響く拷問(刑罰?)シーンなどは、人間の想像力とあいまり、逆にプチトラウマになりかねません。
なんか最近、こう、バッドエンド的な悲しいシーンを見せつけて、どうだ考えさせられる作品だろ~、としたり顔で訴えてくる作品が、やたら多く感じるのは気のせいでしょうかか。個人的に、反戦映画やドキュメンタリー的な作品はともかく、ある程度空想を元にする映画には、ハッピーエンドもしくは救いのある結末にしてもらって、気持ちよく映画館を出たいものです。ただでさえカップルで見に来てる奴等にいつも心乱されてんだっつーのに(しみじみ)。
でも、そんな心のウダウダも、冒頭で流れた新作映画『蒼き狼 地果て海尽きるまで』の予告CMのインパクトが強すぎて、それどころじゃないのが本当のところだったりもします。どう見ても日本人のチンギス・ハーンが、なんの恥ずかしげもなく流暢に日本語でしゃべってるよ、これ!もう大爆笑です。下手したらこの映画、日本映画史上最強の黒歴史になるんじゃなかろうか、そんな心配が頭をもたげました。モンゴルの人達が『織田信長』を映画にしたら日本人にはどう写るか。それを考えたら、恥ずかしくて予告編ですら二度と目にしたくないなあ。・・・今でも思い出すと笑いがこみあげてきます。
話がそれたけど、『墨攻』。カップルや家族で見に行く映画じゃねーよなー、という感はあるけど、歴史モノ好きや、合戦モノ好きなら、見に行く価値はあると思います。ただ、なるべくテンションの低い日は避けるのをオススメする次第。「10万の兵にたった一人で挑む」という誇張キャプションを見て、戦術を駆使する痛快合戦物を想像している人は、悪いことはいわないのでやめとくのが吉です。