アニメ映画『JOJOの奇妙な冒険 ファントムブラッド』を見てきました。
『JOJOの奇妙な冒険』は、週刊少年ジャンプで1987年に連載がスタートして以来、今もなお続いている超絶おもしろ漫画です。単行本は第1部~5部が全63巻、タイトルが若干変った6部が全17巻、ウルトラジャンプに掲載誌を変えての第7部が10巻(以後続刊)と、トータルで90巻にもなります。
しかも、内容がとにかく濃い。キャラ、ストーリー、内容、どれも過剰なまでに濃い。惰性で生かされ続けているどこかの警察人情漫画とはえらい違いです。
恐らく20~30代の男性で読んだことのない者は皆無であろうこの作品が、20年目にして初めて映画化されるという。これは行かずにおくべきか。最後に見たアニメ映画は『キン肉マン 正義超人vs戦士超人』という僕は、実に21年ぶりのアニメ映画に胸をときめかせて、劇場へと向かいました。
んが、しかし、なんだこれは。そりゃ、あの濃密なボリュームを2時間弱に収めれるわきゃあない。ないのだけど、そんな常識ごときに屈してまで製作すべき作品ではないのです。20周年という言葉に踊らされた製作者サイドによって、作品は見事なまでに汚されてしまいました。『JOJO』の良さを広めようという気持ちは伝わってきたけど、その後ろに見え隠れする、「この作品を理解して広めようとしてる俺等もすごくない?」的深層心理に虫唾が走りました。このビチOソが~~。
スピード・ワゴンがいない、ストレイツォがいない、ダイアーもいない、エリナはアニメ顔、タルカス&ブラフォードは数コマのみの登場、DIOが超能力で異次元空間(?)を作り出し、JOJOの波紋はもはやSFと化していました。そういうお子ちゃま向け描写は『ワンピース』でやれや。
いや、所詮はアニメ、お子ちゃま向けになるのもやむをえないでしょう。それならそれで納得します。三十路手前でアニメ映画に期待するほうが恥ずかしいのは自明の理。しかしこの映画、PG-12指定なのだ。極端に子供向けでもなく、かと言ってこの作品の本来の肝、残酷でない残酷描写も極力排除。喧嘩売ってんのか。
主要キャラ、主要シーンがことごとくカットされている惨状のため、無論、第2部への伏線らしきものは一切排除されていました。明らかに今作限りで打ち止めとなるでしょう。万が一大人気で無理やり第2部を作ったとしたら、むちゃくちゃな続き方になってしまう事間違いありません。
1部あたり2時間×3話構成で、全7部まで15年がかりで製作。それほどの覚悟と情熱がなかったら、手を出して良い作品ではないのです。
製作者が皆、一斉に石仮面(覚醒効果なし)をかぶり、自分たちの行いを悔い詫びなながらあの世に旅立つことを、心から、真に心から願います。