「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ステップ3

2009年08月03日 09時25分39秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

*「あなた自身を大切にし、 自分が BPDを引き起こしたのではなく、

 コントロールはできないし、 治すこともできないと 受け入れましょう。」

 BPDの人を 変えることができる 唯一の人は、 BPDの人本人だけです。

 あなたがするべきことは、

 BPDの人が 自分で自分の面倒を 見るようにさせ、

 自分でできることを あなたが代わりにしないことです。

 あなた自身の幸せを 後回しにするのはやめましょう。


 以下は、 人生を取り戻すための いくつかの提案です。

・ お互い熟考のための 時間をとりましょう。

(なす術がなくなったときは、 いったん離れましょう。)

 あなたたち二人は 別個の人間です。

 BPDの人は、 一時的に離れても 生き延びられること,

 そして、 あなたが戻ってくるときは

 まだ愛情を持っているのだ ということを知るでしょう。

 勇気を持って 引き下がることも、 関係を構築する上で 必要なのです。

 距離を置けば 状況を客観的に見つめ、

 適切な判断を することができるでしょう。

・ BPDの人の セラピストになることはやめましょう。

 それは専門家の役割です。

・ あなた自身の 自尊心とアイデンティティを 補強するため、

 あらゆることをしましょう。

 リフレッシュしたり、 色々な活動に参加したり、 勉強したりしましょう。

 何よりも、 楽しみましょう! 

・ 孤立を避けて、 家族や友人と接しましょう。

 BPDの人のことで 全ての時間を 費やさないようにしましょう。

・ BPDの人に対する 現実的な期待を 持ち続けましょう。

 BPDの人の 赤ちゃんの一歩のような 進歩でも祝福し、

 BPDの人について 楽しめることを大切にしましょう。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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ステップ2 (2)

2009年08月01日 22時32分03秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

 BPDの人は、 ある成長段階で 行き詰まってしまっています。

 知的には 普通、 または平均以上でも、

 感情的には 実年齢より 若い振る舞いをするのです。

 BPDの人の 「見捨てられ - 飲み込まれ」 という問題は、

 「もっと近くに距離を保つ」 防衛機制と 言うこともできます。

 これは、 幼児がひとりで 冒険を始める時の 行動に類似しています。

 周囲の探索をしては、 安全である母親のもとに 駆け戻る、

 ということを繰り返すのです。

 BPDの人の アイデンティティの問題は、

 ティーンエイジャーが 直面する問題の、 大いなる名残とみられます。

 またスプリッティングは、 子供のいくつかの成長過程で 自然に発生します。

 醜い魔女と 親切な妖精の 母親役の話で 強化されるのです。

 幼児やティーンエイジャーの 親の苦労は 誰もが理解します。

 でもBPDの人の家族は ほとんどサポートがなく、

 現実確認の 相手もいないでしょう。

 八方塞がり。

 勝つ方法なし というシナリオ。

「勝てない。 引き分けにも持ち込めない。

 ゲームをやめることもできない。」

 本当にやめてしまったら、

 自尊心がズタズタのまま、 ひとりぼっちになってしまいます。

 不幸なのは、 それに慣れてしまい、

 それが当たり前と 思ってしまうことです。

 ランディ氏はこの理由から インターネット上に、

 「ようこそオズへ オンラインコミュニティ (WTO)」 という

 サポートグループを創立しました。

 自分たちの話を分かち合い、 自分たちの感情について 語ります。

 ほとんどの人たちにとって、

 自分の経験を 親身に理解してくれる 誰かと接したのは 初めてのことでした。

 BPDの人の行動が 自分たちのせいではないと、

 心の奥で理解するのに 役立ったのです。

 ひとりぼっちではないと知ることは、

 どれほど安堵感の 得られることでしょう。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(日本でも ネット上の繋がりはありますし、

 「BPD家族の会」 があります。
http://www.geocities.jp/bpdmt/index.html)

(次の記事に続く)
 
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ステップ2 (1)

2009年07月31日 19時35分46秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

*「BPDの人の行動を 個人的に受け取ることは やめましょう。」

(BPDがさせる行動であって、

 その人個人が、 あなた個人に していることではない。)

 ここでは、 BPDの人の 過剰で非現実的な 反応を扱います。

 ただし、 BPDだけが原因と 決める前に、 次のことを考えてみてください。

 起こった出来事に対しては、 双方が役割を演じています。

 あなたの言動の 責任を無視して、

 BPDの人の感情を 否定することは反生産的です。

 また、 BPDの人は 非常に勘がいいので、

 あなた自身が気付いていない あなたの思いを 見つけることがあります。

 それが真実かどうか、 自問してみてください。


 物事を個人的に受け止めるな という助言は、

 与えるのは易しくても、 従うのは難しい助言です。

 では、 救急医の場合を 想像してみてください。

 交通事故に遭った 子供の命を 救おうとしますが、

 運び込まれてきた時点で すでに瀕死の状態でした。

 懸命の努力の甲斐もなく、 子供は亡くなってしまいます。

 父親は 医師に向かって叫びます。

「この無能の馬鹿野郎!  お前が殺したんだ!  当局に訴えてやる!」

 救急医は、 父親が 子供の死のショックで 罵倒していると認識するでしょう。

 彼の反応は 過酷な状況のなせるもので、 医師とは無関係なのです。

 反応の刺激となったのは、 子供の死という 外的なものでした。

 けれども BPDの場合、 刺激は 出来事への BPDの人の内的解釈です。

 外的現実とは 似ても似つかないか、 全く異なっているかもしれません。

 刺激はBPDの人には 明白で劇的かもしれませんが、

 私たちにとっては 目に見えない (故に非論理的な) ものです。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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ステップ1

2009年07月30日 21時03分35秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

*「BPDの人に 治療を強制することはできないと 受け入れましょう。」

 あなたには あなたの意見, 思考, 感情の 全てに対して 権利があります。

 良くても悪くても、 正しくても間違っていても、 あなたのものです。

 一方、 他の皆も 意見, 思考, 感情に対する 権利があります。

 あなたが 同意できないかも知れませんし、

 他の人も あなたに同意しないかもしれません。

 それは それでいいのです。

 あなたの役割は、 あなた自身が 何者であるかを知ることで、

 自分の 価値観や信念に従って 行動することです。


 BPDの人にとって、 治療に向かうに当たり、

 自分が完璧でないと 認めることは、

 恥と自己疑惑の渦に 巻き込まれることです。

 存在するのを やめてしまうような感覚です。

 それを回避するため、 BPDの人は 「否認」 という 自己防衛を行ないます。

 自分には 何も悪いところはないと 主張するでしょう。

 自分自身を失うよりは、 自分にとって大切なもの

 -- 仕事, 友人, 家族 -- を 失うほうがマシなのです。

 そのことを理解すれば、

 BPDの人が 治療を求める時の勇気を、 心から 高く評価できるでしょう。

 BPDの人は 治療に向かう時、

 助けを求めたり、 自分の行動を 変えたりしようとするかもしれません。

 けれども あなたの思うようには いきません。

 変わるとしたら、 BPDの人なりの タイミングとやり方で変わるのです。

 あなたが BPDの人を変えたいと 思うのは、 悪いことではありません。

 でも、 あなたが 誰かを変えられるという

 ファンタジーは捨てなければなりません。

 そうする時、 あなたは真に あなたのものである 力をつかめるでしょう。

 あなた自身を 変えるパワーです。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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BPDの人との 「10のステップ」

2009年07月29日 12時49分35秒 | 「BPDのABC」より

 ランディ・クリーガーさんの 「BPDのABC」 (星和書店) に、

 「10のステップ」 という章があります。

 BPDの人と接するとき、

 自分をコントロールするための 10のステップを述べています。

〔 ステップ1 〕

 BPDの人に 治療を強制することは できないと受け入れましょう。

〔 ステップ2 〕

 BPDの人の行動を 個人的に受け取ることは やめましょう。

(BPDがさせる行動であって、 その人個人が していることではない。)

〔 ステップ3 〕

 あなた自身を大切にし、 自分が BPDを引き起こしたのではなく、

 コントロールはできないし、 治すこともできないと 受け入れましょう。

〔 ステップ4 〕

 あなた自身と ふたりの関係を 検査しましょう。

 他の誰の行動でもなく、 自分自身の行動だけに 責任を持ちましょう。

〔 ステップ5 〕

 BPDの人の言動の 引き金を見極めても、

 生活にもっと 予測可能性を生み出しましょう。

〔 ステップ6 〕

 あなたの 個人的な境界を 明確にするため (境界設定)、

 あなたの思考や感情に 注目しましょう。

〔 ステップ7 〕

 BPDの人との コミュニケーションを取るための

 一般的ガイドラインを学びましょう。

〔 ステップ8 〕

 適切な時には、 「DEAR」 や 「PUVA」 という

 コミュニケーションツールを用いて、

 BPDの人の 思考, 感情, 行動に対する責任を、

 BPDの人に返しましょう。

〔 ステップ9 〕

 安定でない行動に 事前対処する方法を計画し、

 必要な場合は 実行しましょう。

〔 ステップ10 〕

 子供の 特別なニーズを 意識しましょう。

 子供の環境を、 できるだけ安全で 予想可能 かつ

 支援的, 教育的なものにするため、 早急に手段を講じましょう。

 以上について、 ひとつずつ 詳しく書いていきます。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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境界性パーソナリティ障害の原因 (3) --- 環境的要因, 「リスク因子」

2009年02月15日 21時17分05秒 | 「BPDのABC」より
 
(前の記事からの続き)

 DSM-Ⅳでは、 BPDの人の75%が 虐待を受けていると言います。

 実際、 非常に多くのBPDの人が 虐待の犠牲者です。

 しかし、 BPDの25%の人は

 虐待を受けていないのに 発症しています。

 そして、 虐待された 全体の人たちのうち、

 BPDの人は ごくわずかな一部でしかありません。

 75%という数字は、 BPDの人の 自己報告に依存しています。

 BPDの人の 偏った知覚や 論理的推論によるとすれば、

 根拠が薄い数字です。

 一方、 他の多くの環境因子が、

 生物学的要因と重なって、 BPDを発症させる 状況を生み出します。

 BPDの要因を 強化するものとして、 次のようなものがあります。

・親の非効果的な育て方

・親と子供の相性

・BPDの人のネガティブな知覚を 強化する家庭環境

・突然の喪失や 見捨てられ体験

・頻繁な引っ越しによる核家族化

・その共同体の 文化的,宗教的慣習 (性的偏見,人種差別など)

 上記の幾つかが組み合わさって BPDに繋がります。

 例えば、 虐待を受けただけで BPDになるとは限らないのです。
 

 何かひとつの原因が BPDを引き起こすのではありません。

 「原因」 ではなく、

 「リスク因子」 という 考え方をしたほうが正確です。

 例えば 心臓病なら、 遺伝, 食生活, 急激な運動など、

 色々な リスク因子があります。

 どれもが “原因” となり得ますが、 どれがひとつの原因とは 言えません。

〔「BPDのABC」 ランディ・クリーガー, E・ガン (星和書店)より〕
 
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境界性パーソナリティ障害の原因 (2) --- 生物学的要因

2009年02月14日 15時14分07秒 | 「BPDのABC」より
 
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/57801589.html からの続き)

 今まで多くの人が、BPDの原因は

 親の育て方の問題だと 思ってきたでしょう。

 他ならぬ 僕もそうでした。

 けれども 脳についての研究が進むほど、 BPDの原因は 生育歴よりも

 むしろ生物学的な要因が 優位にあるということが 分かってきています。

 生物学的要因は、 物理的脳, 化学的脳, 遺伝の 3つに分けられます。

 物理的脳は 「ハードウェア」、 化学的脳は 「ソフトウェア」、

 遺伝は 「青写真」 に当たります。

( 実際には 物理的脳と化学的脳は不可分です。 )

・物理的脳

 MRIやPETなどの 診断装置によって、

 BPDの脳の働きが 調べられるようになりました。

 BPDの人の脳では、 感情の中枢が活発で、

 論理的中枢が不活発である ということが分かりました。

 この分野は今後も 成果が期待されています。

・化学的脳

 BPDの人は 様々な理由で、 セロトニンなど 神経伝達物質のレベルが

 アンバランスだったり、 阻害があったりします。

 感情, 衝動, 思考を制御する回路に 変調があります。

・遺伝

 BPDの特性を 引き起こす遺伝子が、

 4~5個あるのではないか と言われます。

 遺伝子は 衝動性・感情の規制、

 思考や知覚を コントロールする可能性があります。

 厳密に言うと、 遺伝するのはBPDではありません。

 攻撃性, うつ, 興奮しやすさ, 怒りやすさ, 嗜癖への脆弱性などの、

 BPDの特性です。

 これらが組み合わさると、 BPDを 構成することになります。

 BPDには 数個の異なる遺伝子が 関与しているでしょう。

 従って、 同じ家族の中でも、 BPDの人と そうでない人がいるのです。

〔「BPDのABC」 ランディ・クリーガー, E・ガン (星和書店)より〕

(次の記事に続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/57826883.html
 
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