BPDには 単一の原因があるのではなく、 幾つかの危険因子があります。
生物学的な脆弱性に、問題の多い環境が組み合わされると、
BPD発症の可能性が出てきます。
○ 生物学的な要因
神経伝達物質レベルの機能不全は、
衝動性や不安定な感情などの 問題を引き起こすことがあります。
脳の組織に 障害が起こることもあります。
扁桃体は 感情のコントロールを司りますが、
ボーダーの人は この働きに支障があります。
BPDを引き起こす 単一の遺伝子があるわけではありません。
BPDのリスクを高める遺伝子は、
双極性障害, うつ病, 物質使用障害, 外傷後ストレス障害などを持つ
人々の間で 受け継がれているようです。
BPDは 脳の神経経路の不安定性によるものであり、
問題行動は 意図的でも計画的なものでもありません。
○ 環境的な要因
BPDは 子供時代に受けた 虐待の結果だという神話があります。
確かに ボーダーの人の多くが、
虐待, 見捨てられ, ネグレクトなどの 犠牲者である場合がありますが、
全てのBPDの人ではありません。
研究されているのは 自殺や自傷傾向のあるBPDの人で、
高機能の人々が抜け落ちています。
また、 虐待を受けたというのは 自己報告であり、 客観性が欠けています。
しかし 環境的な要因は、
遺伝学的にBPDになりやすい人の、 発症のきっかけとなるようです。
これを 「環境的な負荷」 といいます。
環境的負荷には 以下のものが含まれます。
・ 効果的でない子育て
不適切な育児スキルや 精神疾患など、 あらゆるもの
・ 安全でない、 混沌とした家庭環境
・ 子供と親の気質が 衝突すること
・ 養育者が突然いなくなったり、 世話されなくなること
新しい赤ちゃんが 生まれることなども含む
子供は 自分が見捨てられたと感じる
〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕