「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

思考と感情のバランス (1)

2016年12月05日 22時05分41秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 現実の一部にしか 目を向けないために、 感情に圧倒されてしまうことがあります。
 
 この考え方を  「フィルタリング」 といいます。
 
 例を挙げます。
 
・ XさんはオールAで、 第1志望の大学の 奨学金を得ています。
 
  しかし数学のテストで 悪い成績をとったとき、
 
  「私は駄目な人間だ」 と思い、 感情に圧倒されてしまいました。
 
・ Yさんの両親は親切で、 彼女にベストなことをしてくれました。
 
  しかしYさんが5才のとき、 彼女の父親は、 彼女が口答えしたのを叱り、
 
  1週間外出禁止にしました。
 
  Yさんが大人になって、 子供時代を考えるとき、
 
  思い出すのはそのでき事だけでした。
 
 思考のバランスと 感情のバランスをとり始めるには、
 
 でき事の両面を 検討するのが必要です。
 
・ 自己批判を支持する証拠と、 あなたが良い人間だという証拠
 
・ 誰もあなたのことを気にかけていない という証拠と、
 
  人々があなたを 気にかけているという証拠
 
・ 何もまともにできない という証拠と、 過去の成功の証拠
 
・ ひどい状況だという証拠と、 思ったほどひどくはない という証拠
 
・ 概して、 悪いことの証拠と、 良いことの証拠
 
 苦痛な思考と感情に 反する証拠を検討することによって、
 
 全体像が見えるようになるでしょう。
 
 練習を積めば、 それほどフィルターをかけなくなり、
 
 感情に圧倒されることも少なくなります。
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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