無所属の細野豪志衆院議員が無所属のまま二階派(二階俊博会長)入りすることが報じられた。
細野氏は自民党二階派に特別会員として入会したもので、将来的には自民党入党の可能性も取りざたされている。政治家として無節操と評する向きもあるが、50歩100歩の所業とは言え、安保関連法の対応で正反対の対応を主張する民進党→希望の党→立憲民主党と渡り歩く議員に比べれば、まだましかとも思う。細野氏の動向はさておき、彼の政治姿勢を決定付けたであろう「松下政経塾」について改めて勉強した。云うまでもなく松下政経塾は、松下電器の創業者・松下幸之助氏が、昭和54年(1979年)に約70億円の私財を投じて神奈川県茅ヶ崎市に政治家育成塾として設立した財団法人であり、22~35歳の応募資格で選抜された1期数名の英才が、衣食住保証の全寮制環境下で3年間の研修を行うものである。卒塾生は約250人で、現職の衆議院議員は24名、参議院議員は10名で議員定数707人の3%強を占めている。現在の入塾者36~39期生の入塾動機を読ませてもらったが、外交・安全保障・地方創生・働き方改革・性差別撤廃・IT開発と多岐に及んでいるが、いずれも現状改革の意欲に満ちたもので明日の日本を託すに十分な見識を備えている若者と観た。さらには現職の国会議員である卒塾性を党派別に眺めると、自民(19名)、国民民主(7名)、希望の党(1名)、立憲民主党(3名)、無所属(3名)、維新(1名)となっており、入塾選考の過程で急進リベラルを排除した結果かもしれないが、どちらかと云えば中道より保守色が強いことが窺える。両者を併せ考えると、塾生は自分の主張を具現化するためには、政策遂行能力のある政権与党で活動し政権内部に地歩を築くことが必要で、何でも反対の野党では理想の達成はできないという思惑が見て取れると見るものである。ネット上には松下政経塾不要論や卒塾者の線の細さを無能と評する書き込みもあるが、卒塾者である野田佳彦氏や高市早苗氏の主張は明快で、政局・政争に拘泥しない姿勢は評価すべきであると考える。かっての政党では、田中角栄氏に代表される様に自分の力だけでのし上がった「党人」、官僚や組合幹部としての看板と政策策定能力によって選ばれた「官僚」に議員を色分けしていたが、現在ではそれに世襲議員が加わり3色になっている。今後は、論理的・理性的・抑制的な政治活動が期待できる松下政経塾出身議員が加わって独自の存在になることを期待するものである。
ここまで松下政経塾と卒塾者に好意的に書いたが、トンガリ気質丸出しで「諸事反対」の旗振り役の福山哲郎参議院議員も卒塾者であることを考えれば、松下政経塾の卒寿者というだけで信頼することは問題があるとも思う。ともあれ、稀代の「経営の神様」が私財を後世に託した遺志が、今後も生かされることを願うところである。