本日は「建国記念の日」で、昭和41(1966年)の祝日法改正によって国民の祝日に加えられて以来、早いもので50年以上が経過した。
2月11日を「建国記念日」ではなく「建国記念の日」としたのは、天皇制が確立した神武天皇即位年が歴史的・学術的に特定できないために、建国記念の日として「建国をしのび、国を愛する心を養う」ために制定されたとされている。戦前は「紀元節」として神武天皇即位を根拠としていたが、現行の祝日法では皇統の起源である神武天皇即位とは一線を画した「精神的な休日」としている。制定以来半世紀を経た今も、建国記念の日には反対集会が報じられるので、その主張をネットで調べてみた。そのうち「質問者への回答」という形で日本共産党が載せているものが、平均的な反対意見であろうと思う。曰く「建国記念の日は、もともと天皇を神格化し、その政治を美化した戦前の「紀元節」を復活させたもので、主権在民を定める憲法の民主主義の原則に反している。日本共産党は憲法の国民主権の原則と言論・思想・信教・学問の自由を守る立場から「建国記念の日」に反対する。(紀元節自体)明治政府の説明どおりだとすると、紀元前660年2月11日が神武天皇即位の日であるが、そのころの日本はまだ縄文時代であり、神武天皇が実在しない人物であることは歴史学の常識である」としている。この文面からは、建国記念日を設けることには反対でなく、2月11日に比定することに反対としていることと思う。ちなみに代表的な国の建国記念日を見ると、アメリカ:独立宣言、フランス:共和制移行、ロシア:ソ連邦脱退、ドイツ:東西統一、中国:共産党建国、等々に見られるように現政体樹立の日を建国記念日としている。また、複雑な要素が絡み合うイギリスには建国記念に該当する日は設けられていない。日本の神話すら自国神話の引き写しと主張する偉大な韓国は、紀元前2300年には国家形態を樹立したとする神話を史実とする歴史学者もおり、国民も李朝にも限りない愛着を持っている割には、建国記念日を1948年の大韓民国樹立とするか、1919年に上海で樹立した亡命臨時政府を建国とするかで論争している。日本においても政権の移動を政体の変化と捉えるならば、建国記念日は大政奉還の日とすべきであると思うが、神話か史実かの決着は置いて、2月11日を「建国を偲ぶ日」としたのは意義あることと思う。
また、反対意見には「紀元節」の復活が「大東亜戦争に至る一連の軍国主復活・アジア侵略に繋がる」との意見もあるが、そもそも大東亜戦争は経済摩擦から生起したもので、日本の皇国史観伝播を目的としたものではない。その点において、漢民族の中華思想を世界基準に昇華させようと試みる中国共産党の「一帯一路」「孔子学院」「ファーウェイ」を先兵としたハイブリット植民地戦略とは根本的に異なるものと考える。