菅官房長官が東京新聞の望月衣塑子記者の質問を「取材ではなく決め打ち」と表現するとともに、内閣記者会に申し入れを行った。
官房長官が「決め打ち」の例として挙げているのは、「辺野古埋め立てに使用している民間埠頭の所有企業が、沖縄県の立ち入り調査をを拒んでいる」とした質問が、事実誤認に基づくものであり正確な事実について質問して欲しいと申し入れたものである。申し入れに対しては当事者の内閣記者会が声明すべきであるが、望月記者が内閣記者会に所属しない社会部記者であることから、新聞労連が反論の声明を出した。新聞労連の声明の要旨は、共産党関連団体のHPに拠ると「官邸の意に沿わない記者を排除するような今回の申し入れは、明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもので、決して容認することはできません。厳重に抗議します」とするものであり、申し入れの「正確な質問」から「特定記者の排除・知る権利」へ見事に論点をすり替えて望月記者を擁護する内容となっている。望月記者が共産党のシンパであることは紛れもない事実で、共産党が主催若しくは共催する教育研修会を始めとする各種の集会に、度々講師として参加している。望月記者の発言を見る限り、ジャーナリストと云うよりも日本共産党のプロパガンダを担任するオルグと見るべきであろうと思う。ちなみにオルグ(オルガナイザー)は、広辞苑では「大衆の間に派遣されて、組合や政党を組織したり加入を促したりする人。組織者。また、その活動」と解説されている。一方、東京新聞は、中日新聞東京本社が発行する日刊一般紙で、関東地方もしくは東京都のブロック紙であるが、同じ中日新聞社が発行する中日新聞・北陸中日新聞と記事を共有する新聞で、中日新聞の関東版と見なすこともできる。東京新聞自体の発行部数は50万部弱とされるが、中日新聞傘下の総発行部数は280万部を超え、毎日・日経・産経を上回る規模で、全国的には少なからぬ影響力を持つものと思われる。ネット上で望月記を中日新聞記者と紹介されていることにも首肯できる背景である。
かって、TVのニュースキャスターとして芸能人が起用されることに関して、櫻井よしこ氏や木村太郎氏が「取材しない人はジャーナリストとは呼べない」と発言されたことに対して反論を書いたことがあるが、取材はするであろうが知り得た事実を隠して政治的思惑で行動する記者と、そのような記者を雇用し続ける新聞社を先の両氏は、ジャーナリスト・ジャーナリズムと呼ぶのだろうか。活字媒体である新聞は社会の公器と称されて国民・読者から信頼されていたが、媒体の多様化に伴って「売らんかな」記事に堕し、大向こうを唸らせる特集記事も減少し、宅配の定期購読者数が減少する現状。東京新聞(中日新聞)は生き残りをかけて、共産党機関紙としての路を模索しているのだろうか。そういえば、中日ドラゴンズの経営母体が中日新聞であることも・・・。