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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

統計職員数の多寡を考える

2019年02月10日 | 社会・政治問題

 厚労省の統計データ改竄問題に関連して、統計職員の数が少ないことが報じられた。

 報道では人口10万人当たりの統計職員数が、先進国では最低に近いとされている。統計職員とは誰を指すのだろうかと思い主要省庁の組織図を調べてみたが、統計を扱うことを主要な任務にしているであろうと思えるのは、総務省統計局、厚労省統計情報部くらいで、国民生活に大きく影響する諸統計を出している財務省、経産省、文科省には専門部局が見当たらなかった。想像であるが、それらの省庁では関係する部局がルーティーンワークの一環として素データの収集と分析に当たっているのであろうが、国の舵取りの基礎となるべき諸統計が恒常業務の片手間に行われているの感が強い。新聞報道では、カナダが各省庁から独立した統計部局を置く「集中型」であるのに対して、その他の国では日本と同じ関係省庁が独自に統計を作成する「分散型」であるとされていいる。それぞれの方法には一長一短があり、専門家でも意見が分かれるところと報じられているが、統計の信頼性や予算の有効活用を考えれば「集中型」に軍配を上げたくなる。日本で統計職員の数が少ないのは、公務員の定数削減対象として統計職員が充てられることが原因で、過去10年間で統計職員の数が1割も減少していることによるらしい。少ない予算と人員で目に見える成果を挙げようとすれば、一般の目に触れ易い箇所や問題点に投入することが手っ取り早い方法であり、重要性を認識しつつも陰に隠れているような基礎データの収集分析は後回し、軽視の憂き目にあったものかと思う。そのような風潮の蔓延が統計職員の昇任や昇給にも影響して、統計職員を窓際族化し物言えぬ部署にしたのかも知れないし、腰かけ的にデータ作成の責に充てられた公務員は所属部局のしがらみに配慮した可能性もあり、そう考えるならば、今回の厚労省のデータ改竄に似た症状は他省庁のデータにも存在する可能性も考える必要がある。

 国の基礎データの信頼性を回復するためには、抜本的に総務省統計局を拡充して、統計学を修めた指導者の下に、各省庁の統計実務経験者を結集するよう改組して「集中型」を目指すことが、最も近道ではないだろうか。人事的に「腰掛」的な処遇ではなく、統計で飯を食う公務員が現れない限り真の改革は実現できないと思うのだが。