愛知県豊川市のデイサービス施設「アベニュー・リラ」が、半身不随の人を対象にした「片手でできる料理教室」の開設準備を進めている。講師は、耳が不自由な同施設職員の柴田梨衣(りえ)さん(20)=同県豊橋市。柴田さんは「自信を失っている人に『できる喜び』を伝えたい」と意気込んでいる。
7月、教室が試験的に開かれた。まな板の裏から打ちつけたくぎにニンジンを突き刺し、片手で握った包丁で切る。こんにゃくはコップを逆さまにして丸い口で切り分ける。2時間ほどで筑前煮が完成。右手が不自由な女性は、久々の料理に笑顔をみせた。
同施設は1日35人が利用している。教室開設は同施設の大塚昌明理事長の夢だった。昨年、山口県防府市の「夢のみずうみ村」デイサービスセンターの教室を視察し、参加者の生き生きとした姿が脳裏に焼きついていた。そんな時、知人の豊橋調理製菓専門学校長から「就職先が見つからない生徒がいる」と、紹介されたのが柴田さんだった。
柴田さんは豊橋聾(ろう)学校高等部を卒業後、1年間、専門学校に通い、調理師の資格を取っていた。まじめでひたむきな柴田さんに会い、大塚理事長はひらめいた。「彼女の頑張る姿は半身不随の人にも刺激を与えるはず。料理教室の講師をやってもらおう」
柴田さんは戸惑ったが、同村を視察して前向きになった。そこには、リハビリでつかんだ能力で生きることを楽しむ人たちがいた。「私も障害があるが、少しの手助けがあれば健常者と同じように生活できる。手が不自由な人も同じはず」
柴田さんは毎日、料理を作り、気付いたことを書き出している。腹と流し台の間に砂糖の袋を挟んで調味料入れに移し替える方法を考えたり、置いて量れる計量スプーンを100円ショップで購入したり。「片手でもできることを一つずつ増やし、喜びをいっしょに味わいたい」と教室開設を心待ちにしている。
教室は、9月1日から同施設で毎日開き、助手の職員の通訳や筆談で進める。
中日新聞
7月、教室が試験的に開かれた。まな板の裏から打ちつけたくぎにニンジンを突き刺し、片手で握った包丁で切る。こんにゃくはコップを逆さまにして丸い口で切り分ける。2時間ほどで筑前煮が完成。右手が不自由な女性は、久々の料理に笑顔をみせた。
同施設は1日35人が利用している。教室開設は同施設の大塚昌明理事長の夢だった。昨年、山口県防府市の「夢のみずうみ村」デイサービスセンターの教室を視察し、参加者の生き生きとした姿が脳裏に焼きついていた。そんな時、知人の豊橋調理製菓専門学校長から「就職先が見つからない生徒がいる」と、紹介されたのが柴田さんだった。
柴田さんは豊橋聾(ろう)学校高等部を卒業後、1年間、専門学校に通い、調理師の資格を取っていた。まじめでひたむきな柴田さんに会い、大塚理事長はひらめいた。「彼女の頑張る姿は半身不随の人にも刺激を与えるはず。料理教室の講師をやってもらおう」
柴田さんは戸惑ったが、同村を視察して前向きになった。そこには、リハビリでつかんだ能力で生きることを楽しむ人たちがいた。「私も障害があるが、少しの手助けがあれば健常者と同じように生活できる。手が不自由な人も同じはず」
柴田さんは毎日、料理を作り、気付いたことを書き出している。腹と流し台の間に砂糖の袋を挟んで調味料入れに移し替える方法を考えたり、置いて量れる計量スプーンを100円ショップで購入したり。「片手でもできることを一つずつ増やし、喜びをいっしょに味わいたい」と教室開設を心待ちにしている。
教室は、9月1日から同施設で毎日開き、助手の職員の通訳や筆談で進める。
中日新聞