武蔵野美術大学(小平市)出身のデザイナーらが、視覚障害者と健常者が一緒に遊べるボードゲーム「アラビアの壺」を制作し、今月から販売を始めた。音を聞き分けたり、重さを比べたりして楽しめるゲームで、作り手の濱田隆史さん(30)は「障害の有無にかかわらず、多くの人が楽しめる娯楽を増やしていきたい」と話している。
アラビアの壺は、手のひらサイズの九つの壺を九つの升目が書かれたボードに置き、並び替えて遊ぶ。壺には鈴かビー玉、玩具の弾のいずれかが入っており、同じ音が鳴る壺を升目の縦か横、斜めに並べた人が勝ち。2人から6人で遊ぶことができる。視覚に頼らないため、視覚障害者と健常者が共に楽しめる。
発案した濱田さんは同大造形学部工芸工業デザイン学科卒。映像ゲーム会社の企画担当を経て今春独立し、国分寺市に事務所を構えた。子どもの頃から大のゲーム好きで、卒業制作で耳が聞こえない人のためのキーボードを作った経験などから、障害者が楽しめるゲームを増やしたいと、会社員時代から100のアイデアを温めていた。
同大の同級生の佐藤仁さん(29)、後輩の梶川晴香さん(26)も仲間に加わり、10月に第1弾商品としてアラビアの壺を完成させた。濱田さんは「障害者も参加できるゲームを考えると、結果的に今までにないアイデアが生まれ、健常者にとっても面白いものができる可能性がある」と話し、今後もゲームを通じた交流会の開催や新作の開発を予定している。
アラビアの壺は当面、税別5800円で販売。問い合わせや購入は専用ホームページ(http://arabianotubo.com/)から。