厚生労働省は25日、2013年度に全国の自治体などが確認した障害者への虐待が2280件あったと発表した。被害者は2659人で、このうち3人は死亡に至った。加害者の8割近くを家族ら養護者が占める一方、施設職員らによる虐待の増加がうかがえる結果となった。
調査は12年の障害者虐待防止法の施行を受けて始まり、今回が2回目。市町村や都道府県、労働局が通報などをもとに事実確認し、結果をまとめた。加害者を①家族ら養護者②施設や事業所の職員ら③雇い主ら――の三つに分類している。初の調査となった12年度は下半期の6カ月間が対象で、虐待が1524件、被害者は1699人だった。
今回の調査で最も多かったのは養護者からの虐待(1764件)で、全体の8割近くに上る。被害者の障害別(複数回答)では、知的障害が最多の51%。精神障害36%、身体障害26%と続く。加害者の66%が男性で、逆に被害者の63%は女性だった。
虐待の種類(同)を見ると、暴行など身体的虐待が63%、暴言を吐くなど心理的虐待32%、不当に利益を得るなど経済的虐待が26%の順だった。
職員からの虐待は263件。半年分を集計した前年度(80件)を単純に倍にした数と比較しても、1・6倍だった。知的障害者の被害者が8割と高いのも特徴だ。
正確な実態把握にも課題を残す。職員らの虐待の相談・通報は認定件数の7倍あるが、約400件は判断がつかなかったという。厚労省の担当者は「施設などでは外部の目が届きにくく、虐待の証拠を確認していくのが難しい面もある」と話す。
2014年11月25日23時57分 朝日新聞デジタル