ゴエモンのつぶやき

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障害者差別:解消へ政府基本方針案 内閣府委が了承

2014年11月12日 01時48分05秒 | 障害者の自立

 障害の有無にかかわらない共生社会の実現を目指す障害者差別解消法(2016年4月施行)に基づき、国が定める政府の基本方針案が10日、内閣府の障害者政策委員会(委員長・石川准静岡県立大教授)で大筋で了承された。法が禁じる障害者差別の内容やどう対応するかなどについて考え方を示した。

 それによると、「不当な差別的取り扱い」について、有価物やサービスの提供を巡り▽正当な理由なく拒否や制限すること▽障害のない人につけない条件をつける−−などと説明した。「正当な理由」については、障害のない人と違う扱いをすることが客観的にみて正当な目的に照らしてやむを得ない場合としている。

 また、過重な負担にならない限り公共機関に義務付け、民間には努力義務を課す「合理的配慮」についての捉え方を提示。障害者の権利や利益を侵害する要因は、障害そのものではなく社会とのやりとりの中で生じるとの見方を示した上で▽段差をなくす▽筆談や読み上げ、分かりやすい表現を使う−−などの配慮が状況に応じて柔軟に図られるべきだとした。

 相談・紛争防止体制については、地域ごとに関係機関で設置できる「障害者差別解消支援地域協議会」で適切な窓口につなぎ調停などに取り組む。また「複合差別」を受けやすい障害女性や、大人とは別の対応が必要な障害児への支援には特に注意すべきだとした。

 政府は基本方針案のパブリックコメントを公募後、年内の閣議決定を目指す。

 ◇障害者差別解消法

 公共機関(公立学校、福祉施設含む)と民間事業者に対し、障害を理由とした「不当な差別的取り扱い」を禁じ、過重負担にならない限りは施設のバリアフリー化を進めるなどの「合理的配慮」を求めている。国連障害者権利条約批准のための国内法整備の一環として、改正障害者基本法で障害者への差別禁止が定められたことを受け、2013年6月制定された。

権利条約は14年1月批准された。

毎日新聞 2014年11月10日 21時47分


阪神大震災:障害者の声を映像化 教訓を東日本被災地へ

2014年11月12日 01時40分11秒 | 障害者の自立

 阪神大震災の被災者支援に取り組むNPO法人「よろず相談室」(神戸市)は9日、後遺症を負った「震災障害者」の自宅を訪問し、証言を映像で記録する活動を始めた。倒壊家屋の中で死線をさまよい、思うに任せない体で生きてきた障害者は、高齢化で後遺症が強まるばかりという。ビデオカメラの前で語られた証言は、阪神からのメッセージとして、東日本大震災被災地に伝えていく。

 「医者に何回も言いましたわ。『こんな手、切ってくれ』って」。兵庫県西宮市の復興住宅に夫婦で暮らす野田正吉(まさよし)さん(67)は、まひした両手をカメラに向け、声を絞り出した。

 あの日、自宅アパートで長女をかばい、倒れてきた机が背中にぶつかり、脊髄(せきずい)を損傷。首から下の神経が徐々にまひし、手でつかむ物をぽろぽろと落とした。湯船に入ろうとすると、手足の力が抜けて顔から落ち、何度もおぼれかけた。経営していた警備会社は弟に譲った。外出時は車椅子で、妻千代さん(59)の付き添いが欠かせず、自宅に引きこもりがちになった。

 後遺症の相談窓口が市役所になく途方に暮れ、手続きを知らなかったため、等級2級の障害者手帳の取得は震災から7年後。兵庫県などが震災障害者の実態調査に着手したのは震災の15年後だった。

 十分な社会的支援を受けられなかった野田さん。この日、自宅を訪れた同NPOメンバーら4人とビデオカメラに「東日本でも多くの人が行政から支援が受けられず、苦しんでいるはず。私の姿を伝えてほしい」と訴えた。

 同NPOは2007年3月から毎月1回、震災障害者同士が交流する「集い」を神戸市で開催。20人以上が参加していたが、ここ1、2年は数人にとどまる。足を運べない人が多くなったためだ。そこで、メンバーや支援者が障害者宅に出向き、近況を直接聞き、カメラで録画することにした。映像は、東日本大震災の被災地で、行政関係者らに紹介し、震災障害者の実態や支援を訴える方針だ。

 牧秀一・同NPO理事長は「阪神の震災障害者は高齢化で後遺症も深刻化している。東日本で同じ思いをさせないためにも、教訓を語る証言の記録は急務だ」と話している。

阪神大震災で障害者となった野田正吉さん(右)にビデオカメラを回しながらインタビューする「よろず相談室」理事長の牧秀一さん(左)ら。野田さんは話しながら涙をぬぐった        =兵庫県西宮市で2014年11月9日

毎日新聞 2014年11月10日 15時14分


障害者の旅の足 ひまわり号30年 減存続望む声 切実

2014年11月12日 01時36分11秒 | 障害者の自立

 障害者と家族らが貸し切り、周囲に気兼ねなく利用できる臨時列車「ひまわり号」が、各地で運行している。1980年代に東京で始まって全国に広がり、最近は運営を担う人材難などから運行本数はピーク時より半減したが、存続を望む声は根強い。30周年を迎えた東京都国分寺市の実行委員会主催の列車に同乗した。 (竹島勇)

 「諏訪湖は初めて。紅葉が美しい」。車いすの服部実さん(78)が笑顔を見せた。三日午前七時半、東京・JR国分寺駅から長野・上諏訪駅に向けて出発したひまわり号。諏訪湖への日帰り旅行に、車いすの五人を含む六十五人の障害者と家族、ボランティアら計百八十三人が参加した。

 服部さんは九年前、頸椎(けいつい)を痛めて下半身が不自由になった。妻の文江さん(72)と一緒に楽しむ、ひまわり号の旅は四回目。「ボランティアが助けてくれて、不安がない。ひまわり号でないと、私たちは旅行ができない」と口をそろえる。

 車内ではゲームやギター伴奏の歌で盛り上がった。諏訪湖では湖畔で弁当を食べ、遊覧船や足湯などを楽しんだ。知的障害の八歳の息子を連れた母親(37)は「周囲からじろじろ見られ『おかしな子』と言われることもあった。周りの目を気にせず外出したかった」と話す。今回の会費は、往復運賃や保険料を含めて大人四千円、高校生以下二千円と比較的安く抑えた。JR運賃は団体割引などがあるほか、主催した国分寺市民らでつくる実行委が集めたカンパもある。ただ、実行委の収支は七万円程度の赤字になる見込みだ。

 全国連絡会によると、全国初のひまわり号は一九八二年。九八年には延べ七十二本が走ったが、運営スタッフやボランティア不足などから実行委が減少。今も実施するのは全国で三十五団体程度とみられ、都内で今年の実施が確認できたのは三本だった。

 近年はバリアフリーの広がりなどで、車いすの若者の参加が減った。しかし、「高齢になってから車いすを利用した方、知的障害のある方の参加が目立つようになっている」(実行委)。一方で運営側の人材難が深刻で、関係者は「スタッフを引き継ぐ若手や、旅費を自己負担するボランティアを見つけるのが難しくなった」と明かす。

 ボランティアに家族、学校に施設…。大勢の協力があって続く善意の列車。国分寺実行委の春口明朗(あきお)委員長(71)は「運営は大変でボランティア集めに苦労するけど、みんなの笑顔を見ると続けようと思う」。

◆継続する工夫を

 障害者の旅行を研究テーマにするノースアジア大学(秋田市)法学部の井上寛准教授(社会学)の話 ボランティアに国鉄が協力した「ひまわり号」運動は障害者に旅行を体験させることに大きな貢献があり、その後のバリアフリー拡大にも大きな影響を与えた。バリアフリーが進んだとの認識から一般の関心は薄れているようだが、今もひまわり号を必要とする障害者はいる。地域で継続させるための工夫が求められる。

 <「ひまわり号」> 初の列車は1982年11月3日、国鉄(当時)上野-日光駅間を障害者160人らを乗せて走った。階段やトイレなどの問題から、障害者にとって鉄道旅行は困難だったが、東京都北区の北病院職員と国鉄職員らが協力して実現。翌年は9本が走るなど全国に拡大した。国鉄は83年に「公共交通ターミナルにおける身障者用施設ガイドライン」を定め、バリアフリー化を進展。JR東日本では現在、いわゆるバリアフリー法に基づいて、エレベーターなどを2020年度までに1日の乗降客が5000人以上の駅に整備し、3000~5000人の駅でも国などの支援を前提に整備を進めている。

2014年11月11日 夕刊     東京新聞


東京大学とHAL東京が提案する、“話しかた”が学べるゲームとは

2014年11月12日 01時07分57秒 | 障害者の自立

●東京大学とHAL東京が提案する、“話しかた”が学べるゲームとは

 2014年10月26日、東京大学 本郷キャンパスにて、発達障害を抱えた若者の就学・就労を支援するシンポジウムが開催された。講演では、テクノロジーの活用や社会的な取り組みなど、発達障害を抱えた人へのさまざまな支援について提案されたほか、専門学校HAL東京(hal.jp)の学生チームと東京大学が協力して制作した会話練習ゲーム『こみゅけん! いまさら聞けない友達の作り方』(以下、『こみゅけん!』)が紹介された。発達障害の人を対象にした会話練習ゲームとはどのようなものか、ここでお伝えしよう。

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 まず、発達障害とは何か、ということに触れておきたい。一般で定義されている範囲は広く、たとえば読み書きに困難があること、“空気を読む”ことが苦手ということ、特定のことにこだわりが強いこと、ものごとの優先順位をつけにくいことという特徴があるそうだ。その程度は人によってさまざまで、大人になっても発達障害があることに気付かず、仕事上のやりとりやコミュニケーションの問題に悩まされたり、ひきこもりやうつ病といった二次的な問題を引き起こすこともあるらしい。

 

 『こみゅけん!』は、発達障害の特徴などによりコミュニケーションに苦手意識がある人々を対象としており、友だちとうまく会話をする方法を学ぶことを目的とした、ブラウザ上でプレイできる会話練習ゲーム。本作の主人公は、友だちを作ろうとしているが、どう話しかればいいかがわからない高校2年生の男の子。彼が友だちを作るため、4つの選択肢からよりよい内容の会話を選ぶというのが基本のゲーム内容だ。

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▲第1ステージでは、“フツメン”の男の子に話しかける。制限時間も設けられている。

 このゲームの大きな特徴となっているのが、性格がツンデレな妹“つむぎ”ちゃんから、よりよいコミュニケーションのアドバイスがもらえるということだ。つむぎちゃんにはちょっと怒られることもあるが、基本的には“デレ”成分が多めに含まれているので、失敗してもそれほど落ち込まずにつぎのステップに行けそうだ。さらに、本作には選択肢に制限時間が設けられている。これは現実の世界でも、会話ではある程度のテンポが必要なことを反映したものだそうだ。

 『こみゅけん!』の制作を手掛けたHAL東京の学生チームでリーダーを務めたWEB学科の篠原佳奈美さんと、サーバー構築を担当した高度情報処理学科の松谷勇希さんによると、コミュニケーション面で発達障害を抱えた人には、“会話を学べない”悪循環があるという。人と話すことに自信がなくなると、人とあまり関わろうとしなくなり、そのことでより自信がなくなってしまい、さらにうまく話すための方法がわからなくなってしまう……という状況に陥ってしまうとのこと。

  そうした悪循環から脱出するために、チームはクイズ形式で話しかたのコツを習得できるゲームを提案し、サポートキャラクターがよりよい話しかたを教えてくれるようにするアイデアも取り入れられたらしい。この“話しかたを学ぶ”ということのゲームならではのいいところは、自分のペースで進められること、何度もくり返しプレイできること、うまく選択肢を選ぶことができなくても現実の対人関係に影響が出ないということだそうだ.

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▲「その時計格好いいね」という選択肢を選ぶと、つぎの会話にもつなげそうな雰囲気となった。こうしてコミュニケーションのコツを掴むことができるのだ。

 以下に『こみゅけん!』の制作を担当した、東京大学院 臨床心理学コース 博士課程2年の大学院生である高岡佑壮さんと大上真礼さん、HAL東京の学生チームへの、ゲームへのインタビューをお届けしよう。なお、話を聞いたHAL東京の学生チームは、以下のメンバーとなる。

・チームリーダーでありWEB学科の篠原佳奈美さん
・キャラクターデザインを担当したグラフィックデザイン学科(現CGデザイン学科)の赤羽南穂さん
・ロゴとサイトのデザインを担当したグラフィックデザイン学科(現 CGデザイン学科)の一ノ瀬正太郎さん
・サーバー構築を担当した高度情報処理学科の松谷勇希さん
・サーバー構築を担当したWEB開発学科の久保勝也さん
・データーベース構築を担当した高度情報処理学科の加藤満男さん

――女の子に会話の方法をアドバイスしてもらえるというゲーム内容は、どのようにして決まったのでしょうか。
高岡佑壮さん じつは、初めは女の子と会話を進めて好感度を上げていくという、まっとうな恋愛ゲームにする意見もあったんです。しかし、それで最終的に“仲よくなる”で終わったら寂しすぎると考えて、ずっと主人公のことを見てくれるつむぎちゃんという妹キャラを設定したんです。
大上真礼さん 統計上から見ても発達障害の人は男性が多いので、男の子を主人公にしようと考えました。それで、話し相手が女の子だとハードルが高いので、第1ステージは話しかけやすい“フツメン”の男の子にしようというふうに決まっていきました。

----なぜ、主人公にアドバイスをする女の子をツンデレにしたのでしょうか。
高岡佑壮さん “アメとムチ”の使い分けのためです。つむぎちゃんにはやさしい顔ときびしい顔をバランスよく合わせ持って欲しかったんです。ただ、当初に私がシナリオを書いたつむぎちゃんはあまりにも毒舌すぎて、HAL東京のみなさんから「心が痛い」というツッコミをもらったりもしました(笑)。話し合いを進めていって、いまのように柔らかい感じのキャラクターになりましたね。

——つむぎちゃんの魅力について教えてください
松谷勇希さん 僕に妹がいたらこういう子がいいな、と思える理想的な妹です(笑)。表情ひとつひとつがかわいいので、ぜひ萌えてください。
赤羽南穂さん 私がキャラクターデザインを担当したのですが、つむぎちゃんは見た目からして、ツインテールでちょっとつり目という、いい意味でのステレオタイプなツンデレキャラになっていると思います。ぜひ、つむぎちゃんを愛でてください。

 

――制作期間はどのくらいなのでしょうか。
篠原佳奈美さん 制作期間は、これまでで3ヵ月です。そのうち1ヵ月くらいはコンセプトをHAL東京のメンバー全員と、東京大学のおふたりと話し合っていましたね。つむぎちゃんの性格はどうしようか、選択肢はどうしようかと、議論はものすごくヒートアップしました。チームのひとりひとりが自分の担当のところだけでなくて、ほかの部分でも積極的に意見を言ってくれたおかげで、ゲームがよりよいものになったと思います。なお、本作の公開は12月を予定しています。それまでにデバッグ作業をくりかえし行って、追加要素も増やしていく予定です。

――最終的にどのようなコンセプトになったのでしょうか。
高岡佑壮さん 会話がうまくいかないのは、本人の性格のせいではなく、あくまでも“会話の技術”の問題であるということを考えていました。目標としているのは、コミュニケーション上の困難を改善することです。このゲームでは、技術を遊びながら身に着けることができる“きっかけ”になるようにと、チーム一同で制作を進めていきました。

 

――実際に発達障害がある、またはそうかもしれないと感じている人に『こみゅけん!』をどのようにプレイしてほしいですか?
高岡佑壮さん 何より“気楽にやってほしい”です。現実でコミュニケーションがうまくいかないと、「自分がだめなんじゃないか」と否定してしまうところもあると思うんです。ゲーム自体が気軽にできる媒体ですし、かわいい女の子が出るだけでやる気がでると思いますので(笑)、ぜひ一度試してみてください。
大上真礼さん ゲームで「こんな言いかたもあるのか」と会話のバリエーションの多さに気付きながら楽しんでほしいです。
篠原佳奈美さん 私は人とのかかわり合いを悩んでいる人を間近で見ていた経験があったので、本作をプレイすることで、ちょっとでも会話に苦手意識がある人の不安要素がなくなればうれしいです。
加藤満男さん コミュニケーションが苦手な人たちの、チャレンジの第一歩にしてほしいです。
一ノ瀬正太郎さん 『こみゅけん!』はTwitter、facebook、Google+といったSNSと連携ができるようになっています。そこから、多くの人がこのゲームのことと、発達障害の人のことを知ってほしいです。
久保勝也さん ひと通りプレイしていると、『こみゅけん!』は会話が苦手な僕自身にも必要なものだと思いました。発達障害でない人にも、ぜひ遊んでもらいたいです。

 最後に、高岡佑壮さんが提唱する“コミュニケーションが苦手な人でも、苦手さを持ちつつも意識して“話しかた”を身につけることは可能である”ということに触れておきたい。高岡さんのもとに訪れたクライアントのなかには、上司の「そこの椅子をどうにかして」と命じられたときに、「どうにか」という意味がわからず、何もすることができない、という人がいたそうだ。

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 発達障害がある人は、こうした会話に隠された“裏の意味”を想像することが難しく、ひとりで思い悩んで、仕事やコミュニケーションがうまくいかないことが多いのだそうだ。ところが、このクライアントの場合、高岡さんに「具体的に聞き返すこと」を提案され、話しかたを変えることで、問題が改善できたという。

 この例からわかる通り、会話がうまくいくかどうかは本人の性格とは別の“話しかたのスキル”によって決まる部分も大きい。『こみゅけん!』では発達障害がある人が、このようなつまずきやすい会話のポイントをストーリーに組み込んでいるため、遊びながら技術を学ぶことができるようだ。

 東京大学による臨床心理の知見や、HAL東京のプログラミングとWebサイト制作スキルという両者の得意分野が活かされた『こみゅけん!』の公開は12月を予定しているとのこと。発達障害のことを知るためのいい機会ともなるので、興味のある方はプレイしてみてほしい。

 

 


群馬)障害者に安定した仕事を パンが評判のみやま園

2014年11月12日 01時02分56秒 | 障害者の自立

 桐生市川内町5丁目の障害者福祉施設「桐生みやま園」が作るパン、中でも「こだわり食パン」が好評だ。1斤280円だが、桐生市役所での月2回の即売会では、売り切れる前にと毎回開店と同時に買う市職員も。市街から離れた店舗まで来る客も増えた。このパンは、障害者の自立度を高めるための戦略商品だ。

 パンは、園が設けた「しごと工房みやま」で作る。パン屋の3代目で東京や横浜で修業した神長義広さん(50)が取り仕切り、職員1人と自宅から通う障害者9人の計11人で、毎朝5時ごろから焼く。

 作り始めたのは2001年。職員1人がパン屋で半年ほど学び、中古のオーブンやミキサー、パン生地を寝かせる焙炉(ほいろ)を100万円ほどでそろえた。当初は週3日、職員や障害者の家族に販売した。小山田敏昭園長(57)は「パン作りなら障害者も能力に応じてどこかの工程に入れるのでは、と考えた」と振り返る。

 積極的にパンで園を知ってもらおう、と動いたのは04年のことだ。すぐ近くの川内北幼稚園が統廃合で空き、建物利用の市の公募に応じた。「園を売り出すには味を一流に」と神長さんを雇用し、その年の11月、ここで開店した。神長さんは最高級の小麦粉を使い、添加物ゼロで焼き始めた。障害者もパン作りや袋詰め、販売などで働く。

 こだわりの味が徐々に評判を呼び、02年度に575万円だった売り上げが昨年度は2800万円に。みやま園のパンならと売らせてくれる企業や老人ホーム、学校が増えた。障害者に月1万円から3万円の賃金を払え、「仕事をすると、他の人に気を使い、優しくなるといった効果も出た」と小山田園長は語る。

 パン工房に加え、09年には市総合福祉センター内にレストラン「キッチンみなみ」を開いた。今年4月には同センターの清掃業務も引き受け、「しごと工房みやま」に衣替えした。障害者が働ける場所を増やして収益力を上げる狙いだ。

 みやま園はいま、就労継続支援B型に分類される施設だ。働いた障害者に賃金を払うが、雇用契約は結ばない。最低賃金は適用されず、健康保険雇用保険もない。

 小山田園長には「できればもっと安定した職場にしたい」という思いがある。まず工房で採用できる障害者を育てたい。さらに、雇用契約を結び、社会保険料などの負担も生じる就労支援A型へ移行できれば理想だ。だが、まだそこまでの収益力はなく、夢に至る道は遠い。

 県によると、いま県内にA型施設は13ある。しごと工房みやまの北澄貴子所長は「ハードルは限りなく高いが、できたらすばらしい」と話した。

2014年11月11日03時00分     朝日新聞