思い出の詰まったぬいぐるみをきれいにして途上国へ-。クリーニング業者らでつくる社団法人「MAS(マスト)T支援会」(大阪市淀川区、小川隆久代表)が全国からぬいぐるみを集めて海外へ送る事業を進めている。今月上旬には、タイの障害者施設などに寄贈。日本の障害者就労支援も兼ね、国境を超えて互いに喜びを分かち合う取り組みの輪が広がっている。
同法人は、人に関わる支援事業に取り組もうと、クリーニング業経営者や通信販売業者らで4月に立ち上げ、大海で船を進めるマスト(帆)のような存在になろうと命名。東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方の小学生を招いた柔道大会などの取り組みを展開している。
■広がる支援の輪□
人を支援する取り組みのうち、捨てられないぬいぐるみを途上国で多くの困難と戦う子どもたちへ贈る「クラブポールスター」もその一つ。企業戦略を手がけるアルトスターの石尾雅子社長が、思い入れのあるぬいぐるみを捨てられずに困っていたところ、法人メンバーと話し合って実現した。
さらに海外だけではなく、地元の障害を持った人たちの工賃アップにもつなげようと、クリーニング作業は障害者就労支援を行う「加島友愛会Lin(リンク)k」(同区)に委託。工賃や送料をまかなうため、送り手に決まった金額を負担してもらう仕組みになっている。
8月にスタートするや、プロジェクトの趣旨に賛同した関西や関東、四国から200体近いぬいぐるみが届いたほか、多くの企業が社会貢献にと協賛。今月5日、きれいになったぬいぐるみにLinkで作業した人や前の持ち主のメッセージカードを添え、プロジェクトの運営責任者を務める小野悦子さんの友人に支援してもらい、タイに運び込んだ。
■3団体に寄贈□
現地では、障害を持った0~7歳の子どもたちのケアや、スラム街の子どもたちに勉強を教える施設を運営する3団体に寄贈。同会から小野さんと加藤隆昭理事が運び込むと、待ちかねていた子どもたちが競うようにぬいぐるみに手を伸ばす。施設の人からリハビリなどに有用だとして「もっと子どもたちに触れさせたい」との声もあったという。
こうした取り組みに「工賃だけではなく、作業へのやりがいが生まれる。社会貢献に参画できることはメリットが大きい」とLinkの玉城由美子支援課長。同法人の小川代表は、まだまだぬいぐるみが足りないとし「今後も微力ながら人を支援する活動を続けていきたい」と意気込んでいる。
問い合わせは「クラブポールスター」のホームページで。
同法人は、人に関わる支援事業に取り組もうと、クリーニング業経営者や通信販売業者らで4月に立ち上げ、大海で船を進めるマスト(帆)のような存在になろうと命名。東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方の小学生を招いた柔道大会などの取り組みを展開している。
届いたいぐるみを抱きしめて喜ぶタイの子どもたち(MAST支援会提供)
2014年11月23日 大阪日日新聞