【函館】障害のある子供や若者の水泳サークル「函館つくしんぼの会」が結成30周年を迎え、12月に記念事業を行う。函館市民プールを活動の場に、健康づくりと仲間づくりを支えており、小祝良介代表(77)は「本人と保護者の熱心さ、忍耐力に頭が下がる。周囲の理解をいただきながら、研さんを重ねて活動を続けたい」と話す。
同会は、当時道立高校の教員で水泳指導員の資格を持っていた小祝さんが、知的障害児の親から相談を受けたことが結成のきっかけ。障害児に対応する指導教本がないため、小祝さんらは実践報告を読むなどして勉強し、1984年に会を設立した。
機能と動作の改善や、健康と体力の増進などを目標に、知的障害がある幼児と小学生合わせて5人、ボランティア指導者6人でスタート。親子一緒にプールに入ることを原則に活動を始めた。設立当初は小祝さんらが指導経験を積もうと交代で指導に当たったため、子供が不安を感じるなど手探り状態だったが、時間をかけて心を伝えあった。
現会員は設立時から通い続ける5人を含め、幼児から30代までの55人。指導員は20人にまで増え、設立時から指導する吉岡幸子さん(75)は「保護者から『仲間もできて、通って良かった』と聞かされた。指導をしてきて良かったと感じます」。当初は毎週水曜日の午後だけだったが、会員側から「社会人になっても通いたい」との要望があったため現在は月2回の土曜日にも活動し、指導員の資格を取った保護者もサポートに当たっているという。
12月には会員や保護者、指導員で30周年を祝う会を函館市内で開き、記念誌も作る予定。北海道ハンディキャップ水泳連絡協議会の理事長も務める小祝さんは「障害のある子供たちの健康増進と機能回復に少しでも役立てば」と活動の継続に意欲を燃やしている。
函館市民プールで水泳の練習に励む「函館つくしんぼの会」の会員と指導者たち
(11/21 16:00) 北海道新聞