1980年代と現在の障害者を取り巻く社会の変化を追ったドキュメンタリー映画「明日の風」を、富山市の市民団体「あほう鳥社」が自主制作した。環境や制度が改善され、障害者の社会参加が進んだ様子を日常生活や働く姿を通じて描いた。来春から県内各地の学校や公民館で上映会を開く予定だ。
あほう鳥社は、脳性まひがある富山市の八木勝自さん(60)、八木さんの介護をしていた大学生らが集まり、障害者・健常者を問わず語り合う場を作ろうと80年代に結成された。一時休止していたが、映画制作をきっかけに活動を再開。富山市を舞台に、上映時間約1時間の「明日の風」を1年半かけて制作した。
映画は、80年代から始まる。車イスの男性が、バスや電車に乗る度、段差を越えるために車イスごと抱えてもらって移動する。
現在に切り替わると、病院や飲食店、コンビニなどの入り口にスロープが設置され、入り口近くに身体障害者らのための駐車場を設けた施設も多い。
働く障害者も登場し、先天性四肢障害の森田知恵さん(45)は、電動車イスに乗って1人でバス通勤。足を使って職場ではパソコンを操作し、家では野菜や豆腐を炒めて食事をする。
八木さんは「かつては社会環境や制度が整ってなくて、地域で生活するといってもボランティアに頼るしかなかった。今は、障害者でも普通に暮らして働き、自己実現できるようになった。多くの人にそれを知ってほしい」と話している。 「あほう鳥社」では、映画の制作、ポスター作りなどに協力してくれる人を募集している。問い合わせは、八木さんが理事長を務めるNPO法人「文福」(076・441・6106)。
「明日の風」を自主制作した「あほう鳥」の八木勝自代表=富山市安住町
2014年11月25日03時00分 朝日新聞
障害者総合支援法に基づき、障害のある人たちに働く機会を提供する就労継続支援事業のうち、就労者と雇用契約を結んで最低賃金を保証する「A型事業所」が12月1日、名張市で初めて開所する。オープンに先立ち24日、亀井利克市長らも出席して開所式があった。
開所するのは「赤目の森作業所PLUS(プラス)」。特定NPO法人「赤目の里山を育てる会」が開設、運営する。
育てる会は宿泊施設「エコリゾート赤目の森」(上三谷)内で、すでに2010年9月からB型事業所「赤目の森作業所」を運営してきた。B型は工賃などを支払うが、雇用契約は結ばない。A型で障害者の生活がより安定し、自立につながることが期待される。
当面は、育てる会が現在手がけるシイタケ、キクラゲなどの生産、販売で賃金などをまかなうが、数年先にはクリ栽培で経営を軌道に乗せる考え。
背景には、育てる会が20年以上にわたって取り組んできた30ヘクタールにも及ぶ山林の整備で、クリの植林にも適した里山が復元されていることがある。すでに今月15日、パナソニックES労働組合津支部の約50人が、クリの苗20本を植樹した。今後100本を追加する。
PLUS就労者の作業は、クリの木の世話のほか、収穫した実の皮むきなどが想定される。クリの名産地である岐阜県恵那市の生産者や、伊賀市内の和菓子店の協力は、すでに取り付けた。実の加工機械の開発なども考えられ、「農・商・工」と福祉が連携し環境保全まで、かなえてしまおうという壮大な「伊賀(毬(いが))栗」作戦だ。
還暦を迎えたNPOの伊井野雄二理事長(60)には、節目となる挑戦でもある。「責任は重大。志を高く掲げて頑張りたい」。就労者の確保が一番の課題との認識だ。
亀井市長は「獣害に注意が要るが、クリは比較的、作りやすい。市もお手伝いできることは協力する」。市議会の吉住美智子議長も「人が輝くのは働いている時。素晴らしい施設になりますように」と激励した。
2014年11月25日10時11分 朝日新聞