適格退職年金を他の制度に移行する時、積立不足はどうするか?
これは、移行先制度に何を選ぶかによって、違います。
実は、この質問も、「これからの企業年金・退職金制度」にお越しいただいた
社労士の方からの質問です。
まず、積立不足とは、適年の責任準備金と年金資産(積立金)との差額です。
この積立不足をどう処理するかは、移行先制度によって違います。
DB(確定給付企業年金)では、積立不足も含めて移行します。
積立不足は、一定の年数で償却していくことになります。
企業型DC(確定拠出年金)では、積立不足を穴埋めしてもしなくてもいいのです。
穴埋めする場合は、積立不足全額でもいいし、そのうちの一定額だけとすることも
可能です。
⇒ここが間違いやすい点です。適年の移行においては積立不足があってはならな
いと教科書では書いてありますが、DCの場合は上記の取り扱いができます。
中小企業退職金共済へは、適年の積立金しか移せません。
また、簡易型のDBでも同じ取り扱いで、やはり適年の積立金しか移せません。
さて、以上のうち、企業型DCで全額積立不足を穴埋めしない場合や中退共、簡易
型DBでは、適年の時と移行後の制度では、積立額が違ってきます。
適年で予定していた定年時の支給額が1,000万円なら、その金額が700万円とか
500万円になるということです。つまり積立不足の部分は、退職一時金となります。適年の積立不足を補わない移行は、あくまでも適年を移行するための便宜的な
方法です。退職金規程を変更するのではないということです。