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退職金の減額について

2011-03-01 09:21:09 | 企業年金・退職金制度

退職金の減額について、今でも心が痛い経験があります。

正確にいえば、これは退職金の減額というより、制度変更に伴うやむを得ない
減額です。

適格退職年金と中小企業退職金共済に加入している企業から、適年を中退共
へ移行したいということで、コンサルティングさせていただきました。
中退共は全員加入ではなく、役職者への功労金として使っていました。

適年を中退共へ移行するには、既契約の中退共を解約する必要があります。
解約手当金は、一時所得です。
そして、解約手当金は、過去に掛金助成を受けている場合は、その分だけ減額
されることになります。

問題になったのは、この掛金助成の減額分でした。

事業主からは、従業員へ説明は自分で行うので、資料だけ作ってほしいという
ことでしたので、そのようにしました。

中退共の解約についての説明が終わった後、一人の役職者から抗議の電話が
掛かってきました。
「懲戒解雇でもないのに、なぜ減額になるのか」という内容です。

ですよね。

事業主との打ち合わせを終えて、事務所に戻る途中の電車の中で、電話をうけ
ました。
とりあえず、次の駅にでおりて、冬の寒い日の夕方、風の強いプラットホームの
端で、約40分間話しました。

大変寒かったのですが、それ以上に、この従業員の言葉が、今でも心に痛いです。
「懲戒解雇でもないのに、なぜ減額になるのか
そう、そのとおりです。

減額といっても、数千円です。中退共の制度上やむを得ないことです。
といっても、受け取る側はそうではないということです。

制度変更する場合、98%は理解してくれても、2%は快く思わないというのは、普通に
あることです。
だからといって、2%を無視することはできません。

まして、減額せざるを得ない場合はなおさらです。
「会社が連続赤字だから」だけで済ませようと思ったら、落とし穴が待っています。

「懲戒解雇でもないのに、なぜ減額になるのか
は理不尽な抗議だと思うのですが、その一方で、あの時感じた心の痛みは、忘れては
いけないと思っています。

今回の記事は、以前にも書いた気がします。
再度書いたのは、適年の移行コンサルティングで、退職金制度を減額することになる
コンサルティングが続くためです。

この記事の件は、ちょうど今頃の季節でした。