中小企業が主に加入する、総合型の厚生年金基金は、もし積立不足がそれほどでもなく、
掛金の負担も気にならないとしたら、今後も続ける方がいいでしょうか?
総合型の厚生年金基金のうち、解散すべきは、積立不足を償却するための特別掛金の
負担が重くなっている基金、積立不足が深刻な基金だけでしょうか?
私は、総合型厚生年金基金は、積立不足の割合や掛金の負担にかかわらず、解散した
ほうがいいと考えています。
理由は、厚生年金基金は、国の厚生年金の報酬比例部分を代行しているからです。
厚生年金の平均的な受取額は、40年会社勤めをした男性で、月額約16万円です。
このうち、報酬比例部分の月額を約10万円とすると、厚生年金基金はこの10万円の
支給に責任を負っている制度です。
厚生年金は終身年金ですので、当然、基金が支給する責任がある報酬比例部分の
毎月10万円の年金は、終身での支給です。
事業主は、1人の従業員を雇うと、定年後20年近くも毎月10万円の年金を支給する
責任を持つことになります。
そんな???と思われる事主のほうが多いと思いますが、そういうことです。
えっ、それは基金がやっていることだから。。。
いえいえ、違います。事業主が責任を持っているのです。
基金に加入している企業は、厚生年金の報酬比例部分の保険料を免除されていますが、
その分は、基本掛金として基金に納めています。
基金は、基金に加入している企業全体で構成され、運営されているのですから、当然
事業主が責任を持っている制度です。
この20年で、経済は右肩上がりの時ばかりではないということを経験し、少子高齢化が
進行する社会にあって、国に代わって毎月10万円の終身年金を定年後の従業員に支給
するという責任を、事業主は負うべきではありません。