厚生年金基金は、昨年12月1日現在、571(単連型80、総合型491)基金あります。
このうち、健全な基金は約5%といわれています。
95%の基金は、何らかの形で積立不足です。
昨年、厚生労働省から、厚生年金基金は10年かけて廃止するという方針がは発表
されたとき、運営がうまくいっている基金まで廃止というのはおかしいという意見も
出されました。
確かにそうかもしれません。
しかし、厚生年金基金制度は、廃止した方がいいと考えます。
基金を廃止した方がいいというのは、日本の経済・社会の構造的な問題が背景に
あるからです。
日本経済が右肩上がり、人口がピラミッド型であるならば、基金を維持することは
可能だと思いますが、右肩下がりの経済、人口は釣鐘型ですので、長期にわたって
健全な形で維持するのは、難しいといえます。
例えば、経済が上向きになり、運用環境が良くなったとしても、少子高齢化という
問題は、そうすぐには解決しません。
掛金収入より給付の方が多いという状態を、運用でカバーするというのと、かなり
リスクが大きくなります。では、掛金を大幅にアップできるかというと、これも企業へ
の負担が過大になりますので、厳しいと思われます。
例えて言うなら、株式投資で言う「損切り」が必要です。
損失を食い止め、新しく仕切り直すことです。