コンサルティングは自転車に乗って⇒企業年金総合プランナーのブログです。

企業年金・退職金制度全般に関するご相談を行っています。
お気軽にご連絡下さい。

「仕事は退職金規程を作ることですか?」という質問について

2009-01-08 09:31:50 | 企業年金・退職金制度

時々、「仕事は、退職金規程を作ることですか?」と聞かれることがあります。
そう質問されるのは、ほとんどが保険会社の方です。

質問の背景には、適格退職年金の移行に際して、必要な計算は金融機関=
運営管理機関がやるのだから、企業年金コンサルタントといっても、やることは
せいぜい退職金規程を作ることだけだろう、といった勘違いがあるようです。

確かに、金融機関は、適年の移行に関する、様々な計算を行います。
が、私たちも行います。

金融機関の計算と私たちの計算には、違いがあります。
どこが違うのか?

退職給付制度は、企業ごとに様々です。
その企業にとって退職金とは、いかなる意味、位置づけを与えられているか。
在職中の貢献度をどう評価するか、勤続か成果か。給与制度との関係はどう
なっているか等など。一つとして同じものはありません。
似ている制度はありますが、従業員の構成や給与制度が全く同じということは
ありえませんので、すっかり同じ退職給付制度は存在しません。

金融機関が行う適年の移行では、その企業の退職給付制度の特徴は、全く無視
されて、移行に関する計算が行われているのが一般的です。
すなわち、「うち(金融機関)の計算はこうだ。」というやり方です。
その企業の退職給付制度に込められている思いなどは、考慮されません。
結果、本来の退職給付制度とはずれた、ちぐはぐな制度となってしまいます。

企業では、金融機関から「こうだ」と言われれば、検証できないので、「そうかな」と
思うほかありません。

金融機関のうち、損害保険会社や証券会社にとって、適年の移行は、企業年金
制度に参入できるチャンスですので、受託が合戦を繰り広げており、とくかく数を
こなすことに精一杯で、細かな制度設計までやっていられないのです。
適年を受託している生命保険会社や信託銀行は、受託分の適年の移行で手一杯
です。やはり相手先の企業の内容を考慮している余裕はありません。

ということで、私たちが行う適年の移行に関する制度設計は、もうお分かりと思いま
すが、企業の退職給付制度の内容にあわせた制度設計をするということです。

保険会社の、特に生命保険は、目的とする金額を決まると、年齢や加入期間から
保険料が決まるということで、保険料率に基づく計算だけすれば済む世界です。
そこからは、退職金・企業年金のコンサルティングの内容が理解できないという
のは、分からなくはありません。
しかし、標題の質問をされる度に、保険会社の傲慢さを感じてしまいます。
せめて、「不勉強で済みませんが、退職金のコンサルティングとは、どういうこと
をされるのですか?」という質問であってほしいと思います。




コメントを投稿