長年映画を観ていると5年に1回ぐらいは、これは本当に良く出来た映画だな~と感心することがあるが、その内の1本が今回紹介する映画スリー・ビルボード(3枚の看板の意味)。観ていて最初は不条理に立ち向かう肝っ玉母ちゃんのお話かと思っていたら、そんな単純な映画ではなかった。個性的な登場人物達が巻き起こす行動によってドンドン悪い方向に転がっていく展開は、意外性に溢れ、笑いとバイオレンスの振り幅のギャップに惹きつけれ、観ている最中は着地点が全く想像できない。確かに映画自体もサスペンスなのか、コメディなのか、ヒューマンドラマなのか特定の分野に決めつけるのが不可能な内容。
それでは出来るだけネタバレしない程度でストーリーの紹介を。
アメリカのミズリー州の田舎であるエビングという町が舞台。7カ月前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は深い悲しみから立ち直れずにいた。一向に捜査が進展しないことに苛立ちを覚えた彼女はついに行動を起こす。それは殺害現場近くの三枚の看板を借りてメッセージを目立つようにドカンと載せる。一枚目に『娘はレイプされて焼き殺された』、二枚目に『未だに犯人が捕まらない』、三枚目に『どうして、ウィロビー署長?』。
町中の誰もがミルドレッドに同情するかと思いきや・・・
頑張れ母ちゃんと思っていたら、案外この母ちゃんも少々問題があったりする。また、ウィロビー署長というのは権力まみれの能無しかと思っていたら実は深刻な秘密があったり、ウィロビー署長の部下にディクソン(サム・ロックウェル)という警官がいるのだが、これが人種差別者であり、暴力も厭わず、しかも相当頭が悪くて、このクズっぷりは一生治らない末期の重症レベルだと思っていたら、意外にもオ~なんて感心させてくれる。複雑な人間の内面事情というのを感じさせるキャラクター設定が上手い。
そして、暴力的なシーンの描き方が映像で見せる。特に印象的なシーンはディクソン警官が警察署の向かいにある広告店の二階にガラスを割りながら押し入り、店主を窓から投げ飛ばして、そして降りて行って更に暴行を加えるシーン。この一連のシーンの強烈さもインパクトあり過ぎだが、これをワンカットで撮るように見せるテクニックにも大いに感心させられた。ストーリー展開だけでなく映像的にも魅せる映画だ。
暴力が暴力を呼ぶ負の連鎖が描かれているが、本作ではその断ち切り方が見事。現実の世の中でもなかなか憎しみが切れない関係が続いているのをあちこちで見かけるが、本作が示すように意外に簡単なところに解決の糸口があるのかもと思わせるシーンが散りばめられているのが良い。それにしても急にオレンジジュースが飲みたくなってきたのは何故だろう?
少しばかり凝ったストーリーが好きな人、コーエン兄弟監督の映画が好きな人、クリント・イーストウッド監督の映画が好きな人、暴力と笑いが融合した映画が好きな人等には今回はスリー・ビルボードをお勧め映画として挙げておこう
監督はマーティン・マクドナー。怪作とも言えそうなセブン・サイコパスがお勧めです。
それでは出来るだけネタバレしない程度でストーリーの紹介を。
アメリカのミズリー州の田舎であるエビングという町が舞台。7カ月前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は深い悲しみから立ち直れずにいた。一向に捜査が進展しないことに苛立ちを覚えた彼女はついに行動を起こす。それは殺害現場近くの三枚の看板を借りてメッセージを目立つようにドカンと載せる。一枚目に『娘はレイプされて焼き殺された』、二枚目に『未だに犯人が捕まらない』、三枚目に『どうして、ウィロビー署長?』。
町中の誰もがミルドレッドに同情するかと思いきや・・・
頑張れ母ちゃんと思っていたら、案外この母ちゃんも少々問題があったりする。また、ウィロビー署長というのは権力まみれの能無しかと思っていたら実は深刻な秘密があったり、ウィロビー署長の部下にディクソン(サム・ロックウェル)という警官がいるのだが、これが人種差別者であり、暴力も厭わず、しかも相当頭が悪くて、このクズっぷりは一生治らない末期の重症レベルだと思っていたら、意外にもオ~なんて感心させてくれる。複雑な人間の内面事情というのを感じさせるキャラクター設定が上手い。
そして、暴力的なシーンの描き方が映像で見せる。特に印象的なシーンはディクソン警官が警察署の向かいにある広告店の二階にガラスを割りながら押し入り、店主を窓から投げ飛ばして、そして降りて行って更に暴行を加えるシーン。この一連のシーンの強烈さもインパクトあり過ぎだが、これをワンカットで撮るように見せるテクニックにも大いに感心させられた。ストーリー展開だけでなく映像的にも魅せる映画だ。
暴力が暴力を呼ぶ負の連鎖が描かれているが、本作ではその断ち切り方が見事。現実の世の中でもなかなか憎しみが切れない関係が続いているのをあちこちで見かけるが、本作が示すように意外に簡単なところに解決の糸口があるのかもと思わせるシーンが散りばめられているのが良い。それにしても急にオレンジジュースが飲みたくなってきたのは何故だろう?
少しばかり凝ったストーリーが好きな人、コーエン兄弟監督の映画が好きな人、クリント・イーストウッド監督の映画が好きな人、暴力と笑いが融合した映画が好きな人等には今回はスリー・ビルボードをお勧め映画として挙げておこう
監督はマーティン・マクドナー。怪作とも言えそうなセブン・サイコパスがお勧めです。