先日、偉大なる政治家でありノーベル平和賞受賞者でもあるネルソン・マンデラ元南ア大統領が亡くなられた。御歳95歳と聞けば大往生であるが、その内の27年間を刑務所暮らしを強いられたことを想うと彼の人生は苦難と戦いの日々。特に反アパルトヘイト運動の急先鋒として戦ってきた闘士から南アフリカ共和国初の黒人大統領にまで登りつめた彼の生き様は、俺のように平々凡々にただ時が過ぎていく人生を送っているだけの人間にとっては想像を絶するような人生だったことは確かだ。
もし彼の存在が無ければアメリカも今頃はまだ黒人の大統領が誕生していない可能性が高いし、南アフリカにおいては未だにアパルトヘイト政策(人種隔離政策)が続いているかもしれない。そういう意味では現在の世界に多大な影響を与えた人物であるともいえるだろう。
そして彼の偉大であるところは決して長生きしたことでもなければ、刑務所生活が長かったことでもない。自分たち黒人を虐げた白人社会との融和を図ったこと。白人に対し復讐する気など毛頭も見せず、決して怨み事も言わない。彼のような人間が世界各国のリーダーになれば戦争など無くなってしまうのではないかと思わせる。ノーベル平和賞を『お前がもらう資格があるの?』なんて思える奴が多く居るが、彼のノーベル平和賞受賞に関しては俺も文句の言いようがない。
過去の出来事についてグタグタ文句を言うような日本のお隣の国に、ネルソン・マンデラの偉大なる思想を誰か教えてやれ
そんなネルソン・マンデラの刑務所生活及び彼の偉大さがよく理解できるのが今回紹介するマンデラの名もなき看守。よ~くタイトルの意味を考えればわかるのだが、実は本作はネルソン・マンデラを主人公にした映画ではない。ネルソン・マンデラの刑務所生活の担当になった白人の名もなき看守が主人公。ネルソン・マンデラと名もなき看守の実話を基にしている交流が描かれた作品というのが本当のところだ。
さてネルソン・マンデラと彼の担当となった看守の感動的秘話とでも言うべき知られざる交流とは如何なるものだったのだろうか。
1968年、アパルトヘイト政策が真っ只中の南アフリカ共和国において。白人の看守であるジェームズ(ジョセフ・ファインズ)は幼い頃に黒人の少年と遊んでいた時に身につけたコーサ語を話せる能力を認められて、反アパルトヘイト政策運動の指導者であり、国家反逆罪で終身刑になっているネルソン・マンデラ(デニス・ヘイスバード)の担当者として、彼が収監されているロベン島の刑務所に妻グロリア(ダイアン・クルーガー)と息子と娘と一緒にやって来た。コーサ語を話せることから、マンデラ(ヘイスバード)や他の黒人の話をスパイすることが目的でジェームズ(ファインズ)にとっては出世街道であり、妻のグロリア(クルーガー)ともども喜んでいた。
しかし、刑務所内でのネルソン・マンデラ(ヘイスバード)の威風堂々たる姿及び人間性に触れていくうちに、いつしかジェームズ(ファインズ)はマンデラ(ヘイスバード)の理想とする南アフリカの将来像に自らも共感を抱くようになって行くのだが・・・
実はこの映画の大きな見どころの一つとして、ジェームズ(ジョセフ・ファインズ)がマンデラ(ヘイスバード)に対して、ほんの少しの思いやりを見せた行動によって自らを危機に陥れることになってしまうところ。白人優遇の人種差別政策と言っても、時にはその政策が白人自身にも刃を向けることがあるということがよくわかる。ジェームズ(ファインズ)が次第にマンデラ(ヘイスバード)に心酔していくと同時に自らの境遇も危なくなっていく場面は非常にサスペンスフルに描かれていて退屈しない。
そしてネルソン・マンデラを演じるデニス・ヘイスバードの演技が存在感が抜群で良い。ネルソン・マンデラを描いたもう一つの映画であるインビクタス/負けざる者たちでマンデラを演じたモーガン・フリーマンの評価がかなり高いが、個人的な見解としてデニス・ヘイスバードの演技の方が勝っているし、マンデラ自身にやや似ている雰囲気が彼の方がある。
そして本作のネルソン・マンデラの台詞や行動は我々日本人にとっても色々と教えられることがたくさんある。特に爆発テロが起きる件で『暴力には暴力で対抗する』なんて台詞があるが、非武装論を唱える日本人のバカ左翼に聞かせてやりたい台詞だ。さらに獄中に居続けていても南アフリカに居る黒人運動家に指示を行うことができて、彼を死刑にできない(彼が獄中で死んだとなると黒人達の暴動を抑えることができないため)白人達の苛立ちを見ていると恐るべきカリスマ性を備えていたことがよくわかる。
偉大なる政治家の条件として単に頭が良いだけではダメであり、自らの命を投げ出す覚悟、更にはそれ以上に己の家族が犠牲になる事でさえも覚悟しなければならないということがこの映画を観ればよくわかる。そしていかなる困難があってもブレない信念。そして祖国を想う愛国心も必要だ。オッと今気付いたが最近の日本の総理大臣に全く欠けている条件ばかりじゃないか。
ネルソン・マンデラの凄みを多少なりとも理解したい人、人種差別政策の愚かさをもっと知りたい人、いつまで経っても過去の恨みを忘れる事ができない人にはマンデラの名もなき看守は感動的なシーンも多くお勧めだ
監督はデンマーク映画界と言うより世界的有名なビレ・アウグスト。マックス・フォン・シドー主演のペレがお勧め。そしてミュージカルではないリーアム・ニーソン、ジェフリー・ラッシュという本格的実力派同士の熱演が見れるレ・ミゼラブル(1998)、そしてメリル・ストリープ、グレン・クローズ、ジェレミー・アイアンズ、ウィノナ・ライダー、アントニオ・バンデラスなどの超豪華キャストが楽しめる愛憎の大河的ドラマの愛と精霊の家がお勧め。
主演のジェームズ看守を演じるのがジョセフ・ファインズ。この人を有名にした恋に落ちたシェイクスピアがお勧め。他にケイト・ブランシェット主演のエリザベス、チェン・カイコー監督がハリウッドで撮ったキリング・ミー・ソフトリーはへザー・グラハムとのエロシーンが楽しめるだけでお勧め。
ネルソン・マンデラを演じるのがデニス・ヘイスバード。ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド共演のエデンの彼方にがお勧め。
ジェームスの奥さんを演じるのがドイツの美人女優ダイアン・クルーガー。ちょっと渋いドラマから大作に出演する現在ノリノリの女優。第一次世界大戦における感動的な裏話を描いた戦場のマリア、ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム共演の歴史劇トロイ、ニコラス・ケイジ主演のナショナル・トレジャー、ベルギーの奇才ジャコ・ヴァン・ドルマル監督のミスター・ノーバディ、クエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピット主演のイングロリアス・バスターズなどお勧め多数です。
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もし彼の存在が無ければアメリカも今頃はまだ黒人の大統領が誕生していない可能性が高いし、南アフリカにおいては未だにアパルトヘイト政策(人種隔離政策)が続いているかもしれない。そういう意味では現在の世界に多大な影響を与えた人物であるともいえるだろう。
そして彼の偉大であるところは決して長生きしたことでもなければ、刑務所生活が長かったことでもない。自分たち黒人を虐げた白人社会との融和を図ったこと。白人に対し復讐する気など毛頭も見せず、決して怨み事も言わない。彼のような人間が世界各国のリーダーになれば戦争など無くなってしまうのではないかと思わせる。ノーベル平和賞を『お前がもらう資格があるの?』なんて思える奴が多く居るが、彼のノーベル平和賞受賞に関しては俺も文句の言いようがない。
過去の出来事についてグタグタ文句を言うような日本のお隣の国に、ネルソン・マンデラの偉大なる思想を誰か教えてやれ
そんなネルソン・マンデラの刑務所生活及び彼の偉大さがよく理解できるのが今回紹介するマンデラの名もなき看守。よ~くタイトルの意味を考えればわかるのだが、実は本作はネルソン・マンデラを主人公にした映画ではない。ネルソン・マンデラの刑務所生活の担当になった白人の名もなき看守が主人公。ネルソン・マンデラと名もなき看守の実話を基にしている交流が描かれた作品というのが本当のところだ。
さてネルソン・マンデラと彼の担当となった看守の感動的秘話とでも言うべき知られざる交流とは如何なるものだったのだろうか。
1968年、アパルトヘイト政策が真っ只中の南アフリカ共和国において。白人の看守であるジェームズ(ジョセフ・ファインズ)は幼い頃に黒人の少年と遊んでいた時に身につけたコーサ語を話せる能力を認められて、反アパルトヘイト政策運動の指導者であり、国家反逆罪で終身刑になっているネルソン・マンデラ(デニス・ヘイスバード)の担当者として、彼が収監されているロベン島の刑務所に妻グロリア(ダイアン・クルーガー)と息子と娘と一緒にやって来た。コーサ語を話せることから、マンデラ(ヘイスバード)や他の黒人の話をスパイすることが目的でジェームズ(ファインズ)にとっては出世街道であり、妻のグロリア(クルーガー)ともども喜んでいた。
しかし、刑務所内でのネルソン・マンデラ(ヘイスバード)の威風堂々たる姿及び人間性に触れていくうちに、いつしかジェームズ(ファインズ)はマンデラ(ヘイスバード)の理想とする南アフリカの将来像に自らも共感を抱くようになって行くのだが・・・
実はこの映画の大きな見どころの一つとして、ジェームズ(ジョセフ・ファインズ)がマンデラ(ヘイスバード)に対して、ほんの少しの思いやりを見せた行動によって自らを危機に陥れることになってしまうところ。白人優遇の人種差別政策と言っても、時にはその政策が白人自身にも刃を向けることがあるということがよくわかる。ジェームズ(ファインズ)が次第にマンデラ(ヘイスバード)に心酔していくと同時に自らの境遇も危なくなっていく場面は非常にサスペンスフルに描かれていて退屈しない。
そしてネルソン・マンデラを演じるデニス・ヘイスバードの演技が存在感が抜群で良い。ネルソン・マンデラを描いたもう一つの映画であるインビクタス/負けざる者たちでマンデラを演じたモーガン・フリーマンの評価がかなり高いが、個人的な見解としてデニス・ヘイスバードの演技の方が勝っているし、マンデラ自身にやや似ている雰囲気が彼の方がある。
そして本作のネルソン・マンデラの台詞や行動は我々日本人にとっても色々と教えられることがたくさんある。特に爆発テロが起きる件で『暴力には暴力で対抗する』なんて台詞があるが、非武装論を唱える日本人のバカ左翼に聞かせてやりたい台詞だ。さらに獄中に居続けていても南アフリカに居る黒人運動家に指示を行うことができて、彼を死刑にできない(彼が獄中で死んだとなると黒人達の暴動を抑えることができないため)白人達の苛立ちを見ていると恐るべきカリスマ性を備えていたことがよくわかる。
偉大なる政治家の条件として単に頭が良いだけではダメであり、自らの命を投げ出す覚悟、更にはそれ以上に己の家族が犠牲になる事でさえも覚悟しなければならないということがこの映画を観ればよくわかる。そしていかなる困難があってもブレない信念。そして祖国を想う愛国心も必要だ。オッと今気付いたが最近の日本の総理大臣に全く欠けている条件ばかりじゃないか。
ネルソン・マンデラの凄みを多少なりとも理解したい人、人種差別政策の愚かさをもっと知りたい人、いつまで経っても過去の恨みを忘れる事ができない人にはマンデラの名もなき看守は感動的なシーンも多くお勧めだ
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監督はデンマーク映画界と言うより世界的有名なビレ・アウグスト。マックス・フォン・シドー主演のペレがお勧め。そしてミュージカルではないリーアム・ニーソン、ジェフリー・ラッシュという本格的実力派同士の熱演が見れるレ・ミゼラブル(1998)、そしてメリル・ストリープ、グレン・クローズ、ジェレミー・アイアンズ、ウィノナ・ライダー、アントニオ・バンデラスなどの超豪華キャストが楽しめる愛憎の大河的ドラマの愛と精霊の家がお勧め。
主演のジェームズ看守を演じるのがジョセフ・ファインズ。この人を有名にした恋に落ちたシェイクスピアがお勧め。他にケイト・ブランシェット主演のエリザベス、チェン・カイコー監督がハリウッドで撮ったキリング・ミー・ソフトリーはへザー・グラハムとのエロシーンが楽しめるだけでお勧め。
ネルソン・マンデラを演じるのがデニス・ヘイスバード。ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド共演のエデンの彼方にがお勧め。
ジェームスの奥さんを演じるのがドイツの美人女優ダイアン・クルーガー。ちょっと渋いドラマから大作に出演する現在ノリノリの女優。第一次世界大戦における感動的な裏話を描いた戦場のマリア、ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム共演の歴史劇トロイ、ニコラス・ケイジ主演のナショナル・トレジャー、ベルギーの奇才ジャコ・ヴァン・ドルマル監督のミスター・ノーバディ、クエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピット主演のイングロリアス・バスターズなどお勧め多数です。
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