褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ホテル・ルワンダ(2004) ルワンダ大虐殺です

2018年11月29日 | 映画(は行)
 近年はICT(もうITなんて言葉は古い?)立国としてアフリカ大陸の中でも目覚ましい経済成長を遂げている国がルワンダ。しかしながら、この国にもかつては忌まわしきルワンダ虐殺が行われた。ルワンダ虐殺とは1994年に起きたフツ族過激派による、フツ族穏健派やツチ族を殺しまくったジェノサイド。フツ族とツチ族の民族対立が背景にあるが、100日間で50万から100万人の人が惨殺されたと言われている。
 そんな恐怖の出来事の真っ最中に、1200人以上のツチ族やフツ族穏健派の人々を匿い、助けたアフリカのシンドラーと呼ばれる男であるポール・ルセサバギナ。彼の良心的な行動が実話を基に描かれているのが今回紹介する映画ホテル・ルワンダ。決してこの男はスーパーヒーローでなければ、戦うための武器を持っている軍人でもない。ただのホテルの支配人に過ぎないごく普通の人。そんな普通の人間が如何にして、ナタを振り回して襲ってくる野蛮な過激フツ族の民兵団から、1200人以上の難民を救うことができたのか?

 この世の中、自己保身のためなら平気で人を売り飛ばすようなことをする卑怯者が存在することに絶望している人も多いはずだが、決して絶望的な状況に陥っても人間の良心を持ち続ける人もいることを知った時、生きる希望が湧いてくるストーリーの紹介を。
 1994年のルワンダ。ようやく多数派のフツ族と少数派のツチ族の内戦が終結に向かう頃。しかしながら当時のフツ族出身の大統領ハビャリマナ大統領が暗殺されたことを切っ掛けに、フツ族過激派が組織した民団兵によるツチ族に対する大虐殺が始まった。ホテルの支配人であるポール・ルセサバギナ(ドン・チードル)は自分がフツ族であるからか事の重大さに気づかなかったが、実際に大虐殺が始まってビックリ。このままでは彼の妻タチアナ(ソフィー・オコネドー)がツチ族であるために、妻子が殺されてしまうことに気づいたポールは国連軍に守られているホテルに逃げるのだが、大虐殺の勢いは止まらず多くのツチ族やフツ族の穏健派たちもホテルで匿うことになってしまうのだが・・・

 フツ族だのツチ族だの民族名が出てくると、小難しい映画のように思われるかもしれないが観ている人にわかり易いように説明してくれるので、ルワンダの歴史を知らなくても苦労せずに観ることできる。ポール(ドン・チードル)が勤めるホテルは一流で国連軍やマスコミが常駐している。当初は安全地帯として機能しており、ポール自身も最初はツチ族の妻を守るためだけに自宅からホテルに逃げてきた。しかし、やがて難民が次から次へとホテルに逃げ込んで来てからが、スリル満点の展開を観ることができる。なんせ相手はツチ族抹殺に執念を異常にむき出しにしているので難民を匿えば匿うほどピンチになるジレンマ。しかし、これだけマスコミが居て世界に向けて発信してくれているし、やがて国連軍が大挙して助けに来てくれるだろうと思っていたら、それは甘すぎる考えだと知らされる現実に観ている人もショックを受けるだろう。
 しかし、この映画から学べることが多くあるが、その一つに絶対に諦めるな!ということ。ポールが今まで築いてきた人脈をフルに駆使して、ダメもとで動き回る姿を見ていると苦境に陥った時の人間の底力に大いに感動する。そして民族対立、ジェノサイドなんて言うのは、ルワンダだけの話ではないということ。実は日本人にも大いに考えさせられる問題でもある。
 ルワンダという国に興味を持った人、良心の呵責に悩まされる極限状態に陥った時の人間ドラマを見たい人、人を助けるとはどういうことかを知りたい人、戦争が起きたら国連が守ってくれると勘違いしている人、本作と同じようなルワンダ虐殺をテーマにしたルワンダの涙を観たことがある人等に今回は映画ホテル・ルワンダをお勧め映画として挙げておこう


ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション [DVD]
ドン・チードル,ソフィー・オコネドー,ニック・ノルティ,ホアキン・フェニックス
ジェネオン エンタテインメント


ホテル・ルワンダ [Blu-ray]
ドン・チードル,ソフィー・オコネドー,ホアキン・フェニックス,ニック・ノルティ
Happinet(SB)(D)



 
 
 
 

 

 

 

 

 
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映画 地獄の黙示録(1979) 戦争映画と言われるが・・・

2018年11月26日 | 映画(さ行)
 ベトナム戦争を描いた映画は最近では少なくなったが、かつてはウンザリするほどたくさん公開された。常に俺たちは正義の立場なんだと信じていたアメリカ人が、ベトナム戦争での敗戦、戦場であからさまになった残虐行為の数々を知らされ、アメリカ自体が疑心暗鬼に包まれる国になってしまった。アメリカを描くのにベトナム戦争は決して避けられないことに気づいたハリウッドは次々にベトナム戦争を題材にした映画を撮りまくるが、その口火を切ったのが今回紹介する映画地獄の黙示録。何だか今改めて観るとベトナム戦争を描くというよりも現在にも通じる人間の心の闇が描かれているように思える。
 確かに人間なんかは本当にいい加減な生き物。昨日までは良い人だと思っていたら、今日出会ったら実はとんでもない悪人だった!なんてことがよくあるのは多くの人が経験していることだろう。人間なんて100%良い人なんて存在しない。俺だって、いつもニコニコして良い人のように思われているが、実はとてつもなく腹黒い。

 本作のテーマには戦争といったものがいかに人間を狂わせるか!ということが挙げられると思うが、そんなテーマを深読みするのが馬鹿らしくなるストーリーの紹介を。
 ベトナム戦争の末期において。サイゴンのホテルで虚ろな表情をして待っていたウィラード大尉(マーティン・シーン)に指令がくだる。それは元特殊部隊の大佐であるカーツ(マーロン・ブランド)を暗殺すること。カーツはアメリカ軍の命令を無視して、ジャングルの奥地であるカンボジアに自らの王国を作っていたのだ。
 ウィラード大尉は命令を聞かされていない五人の部下を従い、河川哨戒艇に乗って川を上って行くのだが、途中で自分の常識では計り知れない場面に次々と出くわす。次第にウィラード大尉自身が平常心を保てなくなってきて・・・

 こんな奴が居るか?なんて思わせる人物が登場する。趣味がサーフィンである空軍のキルゴア中佐(ロバート・デュバル)。ナパーム弾をワルキューレの騎行の音楽に乗せて、何千発も落としまくって村中を炎で包み込んでしまう。このシーンが前半の大きな見せ場でかなり面白い。
 その後は川を上って行くと、ジャングルの中からいきなり明るいステージが現れ、ちょっとエロいプレイメートが現れたり、指揮官がいないのに戦い続ける部隊に遭遇したり、何だこりゃ!?と思わせる場面を観ることが出来る。そして最後はウィラード大尉とカーツのガチンコの戦いが見れるのかと思いきや、けっこう俺は拍子抜けした。
 俺が観たのは3時間半ぐらいの完全版。公開時は2時間半(それでも長いが)だったのだが、わざわざ未公開シーンを足したのだが果たしてこれは成功したのかどうか微妙なところ。俺なんかは長くなった分だけ怠く感じたのだが。しかし、この映画が本当に面白いのは舞台裏での出来事。
 主役のウィラード大尉役のキャスティングが実は撮影に入ってからも交代になったり、マーロン・ブランドが撮影に参加した時は台詞を全く覚えていなかったり、あまりにも太ってきてしまったためにアクションシーンの予定を変更したり、主役のマーティン・シーンが撮影の途中で心臓マヒで入院したり、カメラマン役のデニス・ホッパーが麻薬中毒のまま撮影に参加していたり、トラブル続き。それにつれて撮影期間が大幅に延長したり、予算も超えてしまったためにコッポラ監督自身が私財を投げうったり等、舞台裏の方がメチャクチャ楽しい映画。そういう裏話を知りながら観れば、何で最後の方がグダグダなのか理解できるかもしれない?
 観る人によって評価が大きく変わる映画だと思うが、巨匠コッポラ監督が自腹を切ってまで完成させた映画として今回は地獄の黙示録をお勧め映画として紹介しておこう。

地獄の黙示録 [DVD]
マーロン・ブランド,マーティン・シーン,ロバート・デュヴァル,ローレンス・フィッシュバーン
KADOKAWA / 角川書店


地獄の黙示録 劇場公開版/特別完全版 [Blu-ray]
マーロン・ブランド,ロバード・デュバル,マーティン・シーン,デニス・ホッパー
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン


 監督は前述したようにフランシス・フォード・コッポラ。名作ゴッドファーザーは俺が一番好きな映画という理由でお勧め。他にはジーン・ハックマン主演のラストが皮肉なサスペンスカンバセーション…盗聴…、今やすっかりベテラン俳優になってしまったオジサン、オバサンたちの若さに驚く青春映画アウトサイダー、ジョン・グリシャム原作、マット・デイモン主演のレインメーカー、コッポラ監督健在を印象づけたコッポラの胡蝶の夢等、お勧め映画多数の巨匠です。
 
 
 
 
 
 
 
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競馬 ジャパンC予想(2018)

2018年11月25日 | 競馬予想
 すっかり競馬の予想も殆どしなくなり、映画のブログばかり書いているが、元々の趣旨は競馬予想。最近は本当に何だか予想にも気合が入らず、身心ともに絶不調。ようやく体調はそこそこ良くなり、メンタルもマシ。ようやく競馬の予想も再開する気になってきた。
 しかし、最近は本当に外国馬の参戦が少なくった。JRA全般のレースにおいて外国人ばかりが勝っている気がするが、外国の馬がジャパンCなり他のレースなり殆ど出走してこないのは本当に寂しい限り。今年も外国馬が2頭だけと何となく楽しくない。まあ、でも今年は仕方がないっか。なんて言っても天才少女の3歳三冠牝馬のアーモンドアイが出走するとなると、外国馬の陣営も怖気づいてしまうのは当然か。

 それでは俺の予想印を
◎ 1 アーモンドアイ
△ 3 サトノダイヤモンド
△ 4 サトノクラウン
△ 5 ミッキースワロー
△ 9 シュヴァルグラン
△11 スワーヴリチャード
△12 カプリ
× 8 キセキ

 俺の本命は1番のアーモンドアイ。歴代の名牝馬達はジャパンCにおいて好成績を収めているが、そんな過去の名牝達に全く引けをとらないどころか、はるかに凌駕する能力を持っている。ぶっつけ本番で秋華賞を制覇し、今回は叩き2走目で状態は不安なし。関東馬でもあるだけに輸送で体調がおかしくなるなんて心配も全くない。展開はどうやらスローペースになりそうだが、瞬発力勝負はこの馬の望むところ。33秒台前半の末脚が唸りを上げそうだ。能力だけでなく3歳牝馬が強いレースだというデーターまでこの馬に味方する。最内枠スタートになってしまったが内枠が堪えるほど精神力の弱い馬でもない。ここは自信の本命。

 他に気になる馬として△印の中から穴っぽいところを少し挙げてみよう。
 まずは4番のサトノクラウン。使い込むよりも休養明けの方が走る馬。ここ最近の成績は全く振るわないが、休養明けの今回はチャンスはあるだろう。内枠を活かした競馬ができれば侮れない。アーモンドアイが外を強襲するが、しぶとく内から伸びてくるか。

 次に5番のミッキースワローを挙げる。セントライト記念で皐月賞馬アルアインを簡単に差し切った内容からすると中山コース巧者のイメージがあるが、この馬の瞬発力は東京コース向き。東京コースで化ける可能性がある。 スローペースの瞬発力勝負はこの馬に向きそう。父親がトーセンホマレボシという血統は渋すぎ。こういう地味な父親を持った馬が世界の舞台で飛躍するのを期待したくなる。

 外国場については2頭ともに馬券内に突っ込んでくることは無いが、どちらか1頭だけなら可能性はあるか。
 12番のカプリがけっこうな能力がある。世界の名門厩舎であるA・オブライエン調教師が送り込んできただけでも充分に不気味だがライアン・ムーア騎乗となると無視できない。しかも昨年のアイルランドダービー馬だけに実力は申し分ない。この秋は凱旋門賞から更に走っているだけに絶好調だとも思えないが先行して粘り込みを狙ってくれば勝てないまでも3着以内には突っ込んでくるかもしれない。

買い目 三連複フォーメーション
 1行目 1
 2行目 3、4、5、9、11、12
 3行目 3、4、5、8、9、11、12      合計 21点

 今回は俺が病み上りなので確実に三連複にしました。
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映画 グッドモーニング、バビロン!(1987) イタリア人の兄弟愛が伝わってくる

2018年11月22日 | 映画(か行)
1910年頃のハリウッド草創期において、映画を芸術的分野として高めた監督が国民の創生イントレランスなどで知られるD・W・グリフィス。彼の功績が無ければ、今頃は映画というものが存在していなかったに違いない、なんて言いながら実は彼の映画を観たことがない。
 さて、今回紹介する映画は前述したイントレランスの制作に係わったイタリア人兄弟のストーリーを描いたグッドモーニング・バビロン!。この兄弟だが常に一緒に行動し、苦楽を共にする大の仲良し。固すぎる兄弟の結束に感動するだけでなく、イタリア人の誇りが描かれているのがとても素晴らしい。

 映画イントレランスの舞台裏を描きながら、イタリア人の兄弟愛にきっと多くの人が感動するに違いないストーリーの紹介を。
1913年のイタリアのトスカーナ地方において。ロマネスク大聖堂の修復作業で生計を立てていた棟梁であるボナンノ(オメロ・アントヌッティ)は七人の息子たちや従業員を集めて、不景気のあおりをくらって膨らみ続ける借金を理由に仕事を辞めることを宣言する。七人兄弟の末っ子の二人のアンドレア(ジョアキム・デ・アルメイダ)と二コラ(ヴィンセント・スパーノ)は父親の許しを得て、自らの修行のためにアメリカに渡ることにする。
 当初、2人はアメリカを制覇するぞ!と意気揚々にアメリカにやって来たものの、ロクな仕事にありつけず厳しい現実を思い知らされる。しかし、ひょうんなことからサンフランシスコ万博博覧会のイタリア館建築に向かうイタリア人達と出会い、彼らと一緒にサンフランシスコに向かう。
 その頃、注目を集めていたのが映画監督であるD・W・グリフィスチャールズ・ダンス)。彼は1人で映画館を貸し切りイタリア映画の『カビリア』を観ていた。カビリアに感銘を受け、そしてイタリア館の建造物の素晴らしさに魅了され、構想を練っていた超大作イントレランスの美術セットにイタリア人を加えるように周りに指示をする。
 そのことを聞きつけたアンドレアと二コラは棟梁になりすまし、ハリウッドに行くと彼らはエキストラをしていた美女の二人、メイベル(デジレ・ベッケル)とエドナ(グレッタ・スカッキ)と出会う。アンドレアとメイベル、二コラとエドナはそれぞれ愛し合うようになり、彼女たちの励ましを受けて次第に兄弟たちにも運が向いてきた。D・W・グリフィスから認められイントレランスの美術スタッフとして彼らは参加し、彼らの美術セットの出来栄えは観客たちからも絶賛される。彼らは二人とも彼女たちと結婚し幸せの絶頂を迎えるはずだったのだが・・・

 父親からの言いつけを守り、運命共同体であり、まるで分身のような2人の兄弟。しかも同時期に彼女を作り、ほとんど同じ時期に子供まで生まれる徹底ぶり。絶妙すぎるバランスの上で成り立っていた兄弟だが、運命は二人の境遇を永遠には続かせない。バランスが崩れる瞬間は観る者に大いなるショックを与える。
 さて、この映画の印象的な場面に、兄弟がハリウッドのアメリカ人に馬鹿にされるシーンがある。この時に歴史の浅いアメ公どもにイタリアが芸術の隆盛を極めたルネッサンスの時代を例にだして言い返すシーンがあるが、イタリア人の誇りを大いに感じられる素晴らしい場面だ。なぜか俺も日本人として誇りを感じた。そして兄弟愛や誇りだけでなく、このタイトル名の意図が父と子供の愛情を表し、ラストシーンにおいては映画愛を思いっきり感じさせられる。
 ヨーロッパの建築物が好きな人、イントレランスという映画を観たことがある人またはタイトル名を聞いたことのある人、D・W・グリフィスという名前を聞いて心が躍った人、アメリカが嫌いな人等に、今回は映画グッドモーニング・バビロン!をお勧め映画として挙げておこう。

グッドモーニング・バビロン [DVD]
ヴィンセント・スパーノ,パオロ・タヴィアーニ,ヴィットリオ・タヴィアーニ,グレタ・スカッキ,デジレ・ベッケル
紀伊國屋書店


 監督はイタリアを代表するタヴィアーニ兄弟。もしかしたら本作もこの監督の想いが込められているのかもしれないです。絶対的な父親の支配から自立しようとする父 パードレ・パドローネ、童話的で美しさを感じさせるサン★ロレンツォの夜、ナスターシャ・キンスキーが美しい太陽は夜も輝くがお勧めです。

 
 


 
 
 
 

 

 

 


 
 
 

 

 
 
 
 
 
  
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映画 暴力脱獄(1967) 脱獄映画の傑作です

2018年11月01日 | 映画(は行)
 タイトル名から想像できるように、囚人が暴動を起こして脱獄するストーリー、と言うのは嘘。ポール・ニューマン演じる主人公ルークが脱獄を繰り返すストーリーだが、彼が暴力を振るうようなシーンは全くないし、そもそも暴力的なシーンが殆どない。
 ちなみに原題はCool Hand Luke(クール・ハンド・ルーク)。これはルーク(ポール・ニューマン)の手が冷たいという意味ではない。まあ、俺なんかはよく色々な人から「クールですね!」なんて言われるが、そんなのはもう当たり前すぎて飽きた。このタイトルの意味するところはルークが他の囚人達とポーカーをするシーンがあるが、そのシーンを見ればわかる。
 しかし、この邦題の駄目さは歴代映画の中でもトップクラス。クール・ハンド・ルークのままにした方が格好良いと俺は思うのだが。

 ちなみに本作は何気に脱獄ムービーを装っているが、実は非常に多くのテーマを内包している映画。刑務所を舞台に所長や看守に対し、囚人でありながら反抗的な態度を取り続けるルーク(ポール・ニューマン)。彼の刑期はたったの2年なのに、なぜ無意味に思えるような行動をするのか?それではストーリーの紹介を簡単に。
 戦場において多くの勲章を手にしていたルーク(ポール・ニューマン)は夜中に酔った勢いで、パーキングメーターを次々に壊していく。もちろん警察に捕まり、器物損害の罪でアメリカ南部フロリダ州の刑務所に収監される。何かと反抗的な彼の態度は囚人達の中のボス的な存在である大男のドラグライン(ジョージ・ケネディ)から目をつけられ、そして刑務所長(ストローザ・マーティン)や看守達からの過酷な労働、体罰にも遭うが、彼はいつも笑顔を浮かべて決して屈しなかった。そんなルークのキャラクターは次第に他の囚人達の尊敬を集め、ドラグラインですらルークの虜になってしまう。
 しかし、ルークに母親の悲報を知らされる。そのことを切っ掛けに彼は脱獄をしては、捕まりの繰り返し。二度目の脱獄に失敗しての拷問に近い体罰には心が折れそうになったルークだったのだが・・・

 冒頭からのパーキングメーターを壊していくシーンからして、もうこれは単純な映画ではないと観ている者は思う。刑務所内での反抗的な態度、脱獄を繰り返すのは、どうでも良いような規則にたいしての彼なりの反乱であり、悪しき権力への抵抗の表れ。それを笑顔を見せながら実行していくポール・ニューマンが格好良いし、本当にクール。刑期がたったの2年なのに脱獄を繰り返すなんて、ただの馬鹿のように思えたりするが、あえて茨の道を進んで自らの手で自由を勝ち取る信念を感じさせる。
 しかし、この映画ほど印象的なシーンが多い映画も珍しい。例えばルーク(ポール・ニューマン)とドラグライン(ジョージ・ケネディ)の殴り合いのシーン。とにかくルークが殴られっぱなし。しかし、どれだけ殴られても立ち上がり、最後はドラグラインが根負けしてしまう。
 そして、ゆで卵を50個も食べるシーン。女性から見たらくだらないシーンに思われるかもしれないが、俺から見ればけっこう熱くなるシーン。男は時にこういうくだらないことにプライドをかけるのだ。
 他にも炎天下で道路の舗装をさせられるのだが、これが重労働。他の囚人たちはやる気がなくダラダラしているのだが、ルークの一声でみんなが楽しそうにやり出して、看守達がビックリするぐらいに早く終わらせてしまったり等など見せ場がたくさんある。
 そして、この映画は宗教的示唆に満ちているのも特徴。ゆで卵を50個食べきった後の倒れ込むシーン、脱獄中に教会に入って神に問いかけるシーン、ドラグラインが『ルークは常に笑っていたよな』なんて言っているのはキリストの弟子たちによる福音書を思わせるし、ラストシーンなんかイエス・キリストの有名なシーンそのもの。他にも色々と宗教的な暗示を示すシーンがたくさんある。
 そして主演のポール・ニューマンだけでなく脇役も良い。常にグラサンを掛けていて片手でライフルを持ち全く喋らない看守がいるがコイツがちょっと怖い。
 反骨精神にあふれる男の映画を観たい人、現実の社会に不満を持っている人、自分の名前を永遠に残したい人、権力を握りたいと妄想している人、偉いさんの無謀な要求に従ってばかりの人、そして笑顔が素敵な人間になりたい人・・・等に今回は映画暴力脱獄をお勧め映画として挙げておこう。

暴力脱獄 特別版 [DVD]
ポール・ニューマン,ジョージ・ケネディ,ハリー・ディーン・スタントン
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント


暴力脱獄 [Blu-ray]
ポール・ニューマン,ジョージ・ケネディ,ハリー・ディーン・スタントン
ワーナー・ホーム・ビデオ


 




 



 

 
 

 
 
 

 
 

 
 

 

 
 

 
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