褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 マルコヴィッチの穴(1999) 奇抜なストーリーです

2024年10月11日 | 映画(ま行)
 奇抜なアイデアの映画というのは希少価値なだけにそれほど多くないのだが、そんな中でも今回紹介する映画マルコヴィッチの穴は奇抜なストーリー展開が繰り広げられる。『ミクロの決死圏』という映画では人間が人体の中に入り込んでいたが、本作で入り込むのは人体の中でも脳味噌の中。少しばかり他人が何を考えているか想像してみたくなるが、そんな願いを少しばかり叶えてくれる作品だ。しかし、本作のストーリー展開はそれどころではすまない。本作は少しばかり古い映画ではあるが、今観ると現在に通じる問題にも手を延ばして笑わせ、少しばかり考えさせる。

 早速だが奇想天外なストーリーを出来るだけネタバレ無しで。
 人形師であるクレイグ(ジョン・キューザック)はまるで売れない日々をダラダラ過ごし、妻のロッテ(キャメロン・ディアズ)はペットショップ店員であり、家の中にはチンパンジーなど動物で囲まれている。
 クレイグは妻の勧めもあり職探しを始めるが、そこのオフィスはなんとビルの7と1/2階。その階は天井が低くて立ち上がると頭が当たってしまう。クレイグは手先の器用さを活かして就職することになるが、あるオフィスの壁に扉があることを発見する。その扉をこっそり開けて侵入すると、なんとそれは名優ジョン・マルコヴィッチ(本人が演じています)の頭の中に通じる穴だった。
 クレイグは同じ階のオフィスの美女で好意を持ってしまったマキシン(キャサリン・キーナー)と、これを利用して商売を始めることにするのだが、クレイグとロッテの夫妻の関係はとんでもない運命に導かれてしまい・・・

 マルコヴィッチの頭の中に居ることができるのは最初のうちはたったの15分間。15分経った時にどうなるのか?その時のシーンはかなり笑えた。しかし、もっとマルコヴィッチの頭の中に居られる方法を見つけ出してからが、本作の真骨頂。とんでもない人間関係が引き起こされるのだが、ここでネタバレは止めとこう。
 他人の頭の中に入って、その人が何をしているのか、何を考えているのか興味が惹かれる時もあるが、本作ではマルコヴィッチ自身が自分の頭の中に入ってしまうシーンがある。この描写が凄いし、とにかく「マルコヴィッチ、マルコヴィッチ・・・」ばかりで笑える。
 ジョン・キューザックなんかは本作では髪の毛ボウボウ、無精ひげ姿で冴えない身なりで演じているが、キャメロン・ディアズに至ってはスッピンに髪の毛ボサボサ。いつもの超美人を隠して演じている。そしてジョン・マルコヴィッチの演技が凄い。本作においても名演技を見せつける。そして、さらに有名人が他にも実名で登場しているのも楽しい。二枚目俳優がとんでもない姿でカメオ的出演しているのも驚きと笑いを提供している。
 個人的にはオチが不満だったりするが、観る人によっては「なるほどね~」と納得したり、笑える人も居るだろう。ありきたりなストーリーの映画に見飽きた人、奇想天外なストーリーの映画が観たくなった人等に今回はマルコヴィッチの穴をお勧めに挙げておこう

 監督はスパイク・ジョーンズ。監督作品は少ないですが本作のような奇抜なストーリー展開の映画が多い。本作と同じくチャーリー・カウフマン脚本のアダプテーションがお勧め






 


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映画 アニー・ホール(1977) ウディ・アレン監督作品の中でも人気

2024年10月08日 | 映画(あ行)
 もうそろそろ90歳に手が届きそうなウディ・アレン監督だが、それでも彼の映画への情熱は衰えないのか年に1本ぐらいのペースで監督業に乗り出している。あまりにも多くの佳作を次々に発表しているが、その中で現在においても人気の高い作品が今回紹介するアニー・ホール。この時期のウディ・アレン監督は監督のみならず主演もこなすのだが、見た目は非常に冴えない風貌をしており、まるでオーラの無い普通のおっさんの出で立ちをしている。本作はロマンチックコメディの分野に入るのだが、そんな風貌を逆手にとり自虐ネタを繰り出し、大人の苦みを出しているのが結構笑える。
 そして彼の作品の特徴である長いセリフ。本作以前の作品ではドタバタ調のコメディが多かったのだが、そのスタイルは本作で確立したと思えるのだが、そのセリフの内容が非常にアレン監督のインテリっぽさを感じさせる。セリフの中で実在した映画監督、哲学者、作家などの名前がポンポン飛び出したり、政治、宗教などを皮肉っぽく批評するのが個人的には楽しかったりする。しかしながら、そんな人名を知らなかったり、政治や宗教に興味がない人が本作を観るとその面白さが伝わらない可能性もある。そういう意味では観る人を選ぶ作品だと言えるかもしれない。

 少々インテリっぽさが鼻につくシーンもあるが、どこか大人の恋愛の苦みを感じさせるストーリーの紹介を。
 見た目は頭は薄く、ダサい眼鏡を掛けた40歳ぐらいの年齢のオッサンであるアルビー・シンガー(ウディ・アレン)はコメディアンを職業としている。しかしながら、性格も暗く何かと後ろ向き。今までも恋愛はしてきているのだが、失敗ばかり。そんな彼の前に現れたのが、それほど美人ではないが明るい性格のアニー・ホール(ダイアン・キートン)。彼女は歌手を目指しており、一度は夢を諦めようとするがアルビーの励ましのおかげもあり、彼女はオーディションを受け続ける。2人は恋愛関係になるが、喧嘩や仲直りを繰り返し、結婚までには至らない。
 そして、ついにアニーに対してハリウッドの大物プロデューサーから歌手のスカウトがくる。ニューヨークからハリウッドへアルビーとアニーは渡るのだが、そこで2人の仲は決定的なすれ違いを起こし、アルビーは1人でニューヨークへ帰ることになってしまうのだが・・・

 ストーリーだけなら淡々と進むような印象があったりするが、表現方法は非常にスタイリッシュ。度々主人公が観客側に話しかけてきたり、過去と現実が行き来したり、途中で漫画が挟まれたり、その他にも色々と工夫がされている演出が光る。そして、時々ギャグも入り大爆笑とはいかないが、結構笑わせてくれる。ウディ・アレン監督らしい自虐ネタが多めなのだが、彼の風貌とマッチしていているのが更なる笑いを引き起こしてくれる。
 若者のエネルギーがほとばしる様な恋愛が描かれているのではないが、大人同士の苦みを感じさせる恋愛模様。酸いも甘いも知り尽くしたようで、大人といえども決して完ぺきではなく、どこかに欠点を抱えている。そんなことを観終わった後に感じさせる映画です。
 ウディ・アレン監督が好きなのに本作をまだ見ていない人、文化、政治、宗教など一般教養が非常に高い人、大人同士の恋愛映画を観たい人、ロマンチックコメディが好きな人、気持ちが大人な人に今回は映画アニー・ホールをお勧めに挙げておこう 

 監督は前述したようにウディ・アレン。監督作品がかなり多く時々失敗作品も作ってしまいますが、総じて面白い作品が多い。奇想天外なアイデアが面白いカイロの紫のバラ、本作と同じくダイアン・キートンとの組み合わせのマンハッタン殺人ミステリー、笑いとサスペンスの融合したブロードウェイと銃弾、ウディ・アレン監督のファンでなくても楽しめるタロットカード殺人事件をお勧めに挙げておこう
 


 
 

 
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映画 隠し砦の三悪人(1958) これぞ世界の黒澤

2024年10月06日 | 映画(か行)
 ここ数年において、スポーツの世界で日本人が多く活躍しているが、 日本人で最初に世界の〇〇と言われたのは映画監督の黒澤明だろう。そんな世界の黒澤はヒューマニズム溢れる作品にも名作はあるが、その手腕は娯楽時代劇において最も発揮された。数多ある傑作時代劇作品群の中でも徹底的に娯楽に特化したのが今回紹介する映画隠し砦の三悪人。よく言われることだが、本作はあのSF映画の名作スターウォーズに影響を与えていることで有名。あのショボいロボットコンビは本作に登場するお笑い担当の2人組が基ネタになっている。
 
 早速だがストーリーの紹介を出来るだけ簡単に
 農民の太平(千秋実)と又七(藤原 釜足)は報奨金が目当てで山名家と秋月家の合戦に参加するが、ボロボロになって逃げ伸びたところを、屈強そうな男である真壁六郎太(三船敏郎)と出会う。六郎太は一目ダメダメそうな太平と又七を利用して、御家再興のために世継ぎである雪姫(上原美佐子)と二百貫の金貨を持ち出すために敵中突破を企てるのだが・・・

 ストーリーは前述したように非常にシンプル。しかし、敵陣地の中を強行突破するアイデアの数々は小気味良いし、アクションも楽しい。特に三船が馬に乗って敵を追いかけるシーンは迫力がある。競馬のジョッキーでも出来ないような馬乗りシーンは記憶に残る。
 仲が良いのか悪いのか、よくわからないロボットコンビではなくて農民の二人組は結構笑わせる。多少の危険なミッションも大量の金貨に釣られてしまう強欲さはブラックユーモアを感じさせる。そして、この二人組が、何度も六郎太の足を引っ張るのも笑える。
 アイデアの良さと逆に、ちょっと無理なんじゃねぇ~と思わせるシーンもあったりするのも愛嬌があって楽しいし、上原美佐子さんの凛としたお姫様っぷりも非常に印象的。黒澤明監督の痛快娯楽時代劇作品を観たい人に今回は隠し砦の三悪人をお勧めに挙げておこう。正直なところタイトルの三悪人の意味が観終わった後もわからずモヤモヤした気分です

 監督は前述したように黒澤明。お勧め多数だが、痛快娯楽時代劇の中から選ぶと七人の侍用心棒椿三十郎がお勧め


 


 
 
 

 
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