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褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ノーカントリー(2007) コーエン兄弟によるクライムサスペンス

2016年07月02日 | 映画(な行)
コーエン兄弟監督にアカデミー作品賞と監督賞をもたらした映画が今回紹介するノーカントリー。現代アメリカを代表する小説家コーマック・マッカーシーの原作の血と暴力の国の映画化作品だ。ちなみに映画の原題はNO COUNTRY FOR OLD MEN。直訳すると『お年寄りのための国はない』ぐらいの意味だと思うが、それにしても、なぜ邦題はFOR OLD MENの部分を削除してしまったのか、実は俺にもわからない。この削除してしまった部分が非常にこの映画の肝のような気もするのだが。

 さて、アカデミー作品賞に輝いた作品にしてはストーリーは非常にシンプル。それでいて色々と深読みさせ、何かと想像を掻き立てるシーンが連発するストーリーの紹介を。
 1980年のアメリカ、テキサス州西部が舞台。ベトナム帰還兵のモス(ジョシュ・ブローリン)は狩りの最中に荒野のど真ん中で、銃撃戦の跡らしく死体が溢れかえっている場所に遭遇。そこで麻薬と200万ドルの現金を発見、ついつい欲に目が眩んでしまったモスは200万ドルを持ち逃げしようとする。しかし、200万ドルを取り返そうとする追っ手が送り込んできたのがオカッパ頭をした殺し屋のシガー(バビエル・バルデム)。モスとシガーは激しい追走劇を繰り広げるが、更に彼らを追うのが昔気質の老保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)。そんなベルが目の当たりにした意外な結末とは・・・

 見た目からして強烈な印象を与えるのはバビエル・バルデム演じるオカッパ頭の殺し屋シガー。しょっぱなから電話をしていた保安官の後からチョーク攻撃で絞め殺すシーンがけっこう凄い。個人的には保安官の無防備ぶりに笑ってしまったが、この残忍性によって一気に緊迫感が高まる。その後も用のエアガンで次々と出会った人間の頭を撃ちまくり、またはコインの裏表で殺すかどうか決めるなど、決して感情を表に出さず自らが勝手に決めたルールに従って目的(人殺し)に向かって邁進するストイックな姿勢は、まるで仕事のできる男の見本のよう。何かと優柔不断な俺から見ると非常に羨ましい限り。って馬鹿か俺は!

 一見したところ、大金を持ち逃げしようとしたベトナム帰還兵とそれを追いかける暗殺者という追走劇の単純なサスペンスのように見えるが、何かとボヤキまくる老保安官ベルがいちいち語り出す話が何かと観ている我々を非常に悩ませる。深読みするタイプの映画ファンには何時までも余韻に浸れるが、一方では結局この映画は何が言いたいのかわからんと感じる人も居るだろう。そういう意味ではコーエン兄弟のファンにはお勧めできるが、単純明快な作品を好む映画好きにはちょっとお勧めし難い。しかしながら、不穏なムードを漂わせる演出、それとチョッと肩の力を抜いたような笑い等コーエン兄弟らしいセンスの良さを堪能できる傑作として、今回はノーカントリーをお勧め映画として挙げておこう

ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
トミー・リー・ジョーンズ,ハビエル・バルデム,ジョシュ・ブローリン,ウディ・ハレルソン,ケリー・マクドナルド
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


 監督は前述しているようにコーエン兄弟。彼のお勧め作品としてコメディ色の強いビッグ・リボウスキ、事態がどんどんエスカレートしていくファーゴ、ギャングムービーミラーズ・クロッシング、ゆるゆる脱獄映画オー・ブラザー!が良いです。


 

 

  

 
  
 





 

 
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