この世の中、伝統という言葉に縛られ過ぎてなかなか新しいアイデアが出てこないといった創造力の欠如に陥ってしまっている。特に我が国、ニッポンは旧態依然とした体制がスポーツ、政治、企業に蔓延っており、創造力の無さが嘆かわしいばかりか腐敗まで呼び込んでしまっている始末。新しいアイデアが出てきても、それを恐れる利権にまみれた権力者が圧力を掛かてくるのですぐに潰されてしまう。
そんな頑固、利権、権力という壁によって圧し潰されそうになりながらも、自らの信念を一切曲げない建築設計士を描いた映画が今回紹介する摩天楼。古い様式で同じような建物ばかりが並び、それが好まれる時代において、斬新なデザインでアイデアを持つ新進気鋭の設計士の苦闘が描かれている。
立身出世のためにすぐに権力に擦り寄る愚か者とは真逆の俺と同じようなタイプの主人公が描かれているストーリーの紹介を。
建築設計士であるハワード・ローク(ゲイリー・クーパー)は斬新なデザインと、自分の信念は絶対に曲げようとしない男。しかし、そんな性格が災いして古い建築設計士、建築業界に力を持つ評論家などから相手にされなかった。ロークは事務所を立ち上げるものの彼の設計は時代の先端を行き過ぎていたのか、仕事に恵まれずついには事務所を立ち退きを強いられ、採石場で日雇い労働者として働くことになってしまう。
そこでロークが出会ったのが、大手新聞社ニューヨーク・バーナーで働きコラムニストである麗しき女性ドミニク・フランコン(パトリシア・ニール)。彼女は都会のアスファルト・ジャングルにおける建築業界の実態に疲れ、地元のコネチカットにたまたま帰っていたのだ。ドミニクは現場で汗水垂らして働くロークのことを好きになってしまい、ロークの方も彼女のことを気に入ってしまった。しかしながら、ラッキーなことにロークの設計デザインを気に入ったオーナーから建築のオファーが届いた。ロークは荷物をまとめ、ドミニクにも挨拶をせずにさっさとニューヨークへ戻る。
ロークが設計した斬新なデザインによる高層住宅はたちまち評判になり、オープニングパーティーでは多くの人が集まり、そこでロークとドミニクは再会する。ドミニクは自分のコラムでロークの設計のことを褒めていたのだが、まさか目の前にいる男がロークだったことを今まで知らなかったのである。
ドミニクは改めてロークとの愛を確かめるのだが、古い権威で凝り固まっている建築設計士の世界で生きていくにはロークは人が良過ぎることを心配したドミニクは彼と結婚することを諦め、ニューヨーク・バーナーの社長ゲイル・ワイナンド(レイモンド・マッセイ)と結婚する。
しかしながらワイナンドは新聞の売り上げのためと、ワイナンドの腹心のコラムニストでロークの斬新なデザインが気に入らないトゥーイ(ロバート・ダグラス)によるローク叩きをバーナー新聞で大衆にアピール。そのお陰で瞬く間にロークは建築ラッシュに沸くニューヨークの中で仕事を失ってしまう。
そんなところへワイナンドがロークの所へやってきた。ワイナンドは妻のドミニククと静かに暮らすために郊外に別荘を建てようとしているのだが、その設計をロークに頼みに来たのだ。最愛の人を奪い、自分をどん底に叩き落としたバーナ社の社長であることにロークは少しばかり躊躇するが、彼は思い直し設計に取り掛かることにする。ドミニクはロークが了承したことに驚き、しかもワイナンドとロークには何時しか友情が生まれる。ドミニクはそんな2人の友情を不思議に思いながら、そして嫉妬する。
ある日のこと、ロークのもとへ学生時代からの友人であり、かつては建築設計士として超売れっ子だったキーティング(ケント・スミス)が訪れる。それは多くの建築設計家が熱望する公営住宅地の設計だ。キーティングはその仕事を取りたいためにロークのアイデアを欲しいと言いにきたのだ。ロークは条件を出す。「カネは要らない、設計士として俺の名前は出すな、その代わり俺のアイデアを少しでも変えるな」
しばらくしてロークは建築現場を見に行く。ところが自分のアイデアが変更されていたのだ。キーティングにそのことを問い詰めるが彼は言い訳ばかり。自分のアイデアが変更されたことに怒ったロークは驚くべき行動に出てしまうのだが・・・
このロークと言う男だが、もう少し世の中を上手く渡れば良いのにと思うのだが、全くブレない。自らのアイデア、創造性に対して一切の疑問を持たない。カネや女を見返りにされても自らの信念を曲げない。それはバーナー社長との付き合いでもわかるように、過去の因縁ですら自らの信念に対する妨げにならない。俺も信念は強い方だと思っていたのだが、この主人公を見ていたら俺なんか足元にも及ばない。俺だったら仕事と女だったら、迷いもなく女の方を選んでしまうだろう。
そんなロークと対照的な存在として学生時代の友人であるキーティングが描かれている。これが他人のアイデアはパクるし、すぐに権力者に擦り寄るし、私利私欲が半端ない。設計士としてのプライドなんかまるで無い。ロークとキーティングの生き方のどちらかを選べと言われたら、苦しくてもロークの方だ。まあ、本作を見ていたら誰もがそうなるように描かれているが、俺の知っている政治家の中にはキーティングみたいな奴がいることを思い出してしまった。
あまりにもロークのキャラクター設定だとか、大げさな表現があったり、ハッピーエンドへ向けての展開が杜撰すぎたりでツッコミどころも多いが、それ故かダイナミックな映像とストーリーが楽しめる。個人崇拝的な面が見られるなどアメリカらしさ満載で楽しい映画だ。最後の法廷でのシーンなんかはツッコミどころすら感動に変えてしまうのだからハリウッド黄金期のパワーを感じさせる。
しかしながら、自分の考えばかり押し付けて、顧客の意見を全く聞き容れない態度はどうなの?なんて疑問も感じるが、古き良き時代を感じさせるアメリカ映画ということで今回は摩天楼をお勧めに挙げておこう
監督はキング・ヴィダー。サイレントの時代から活躍した監督で後半は西部劇のイメージがある。リメイクもされたチャンプがお勧め
そんな頑固、利権、権力という壁によって圧し潰されそうになりながらも、自らの信念を一切曲げない建築設計士を描いた映画が今回紹介する摩天楼。古い様式で同じような建物ばかりが並び、それが好まれる時代において、斬新なデザインでアイデアを持つ新進気鋭の設計士の苦闘が描かれている。
立身出世のためにすぐに権力に擦り寄る愚か者とは真逆の俺と同じようなタイプの主人公が描かれているストーリーの紹介を。
建築設計士であるハワード・ローク(ゲイリー・クーパー)は斬新なデザインと、自分の信念は絶対に曲げようとしない男。しかし、そんな性格が災いして古い建築設計士、建築業界に力を持つ評論家などから相手にされなかった。ロークは事務所を立ち上げるものの彼の設計は時代の先端を行き過ぎていたのか、仕事に恵まれずついには事務所を立ち退きを強いられ、採石場で日雇い労働者として働くことになってしまう。
そこでロークが出会ったのが、大手新聞社ニューヨーク・バーナーで働きコラムニストである麗しき女性ドミニク・フランコン(パトリシア・ニール)。彼女は都会のアスファルト・ジャングルにおける建築業界の実態に疲れ、地元のコネチカットにたまたま帰っていたのだ。ドミニクは現場で汗水垂らして働くロークのことを好きになってしまい、ロークの方も彼女のことを気に入ってしまった。しかしながら、ラッキーなことにロークの設計デザインを気に入ったオーナーから建築のオファーが届いた。ロークは荷物をまとめ、ドミニクにも挨拶をせずにさっさとニューヨークへ戻る。
ロークが設計した斬新なデザインによる高層住宅はたちまち評判になり、オープニングパーティーでは多くの人が集まり、そこでロークとドミニクは再会する。ドミニクは自分のコラムでロークの設計のことを褒めていたのだが、まさか目の前にいる男がロークだったことを今まで知らなかったのである。
ドミニクは改めてロークとの愛を確かめるのだが、古い権威で凝り固まっている建築設計士の世界で生きていくにはロークは人が良過ぎることを心配したドミニクは彼と結婚することを諦め、ニューヨーク・バーナーの社長ゲイル・ワイナンド(レイモンド・マッセイ)と結婚する。
しかしながらワイナンドは新聞の売り上げのためと、ワイナンドの腹心のコラムニストでロークの斬新なデザインが気に入らないトゥーイ(ロバート・ダグラス)によるローク叩きをバーナー新聞で大衆にアピール。そのお陰で瞬く間にロークは建築ラッシュに沸くニューヨークの中で仕事を失ってしまう。
そんなところへワイナンドがロークの所へやってきた。ワイナンドは妻のドミニククと静かに暮らすために郊外に別荘を建てようとしているのだが、その設計をロークに頼みに来たのだ。最愛の人を奪い、自分をどん底に叩き落としたバーナ社の社長であることにロークは少しばかり躊躇するが、彼は思い直し設計に取り掛かることにする。ドミニクはロークが了承したことに驚き、しかもワイナンドとロークには何時しか友情が生まれる。ドミニクはそんな2人の友情を不思議に思いながら、そして嫉妬する。
ある日のこと、ロークのもとへ学生時代からの友人であり、かつては建築設計士として超売れっ子だったキーティング(ケント・スミス)が訪れる。それは多くの建築設計家が熱望する公営住宅地の設計だ。キーティングはその仕事を取りたいためにロークのアイデアを欲しいと言いにきたのだ。ロークは条件を出す。「カネは要らない、設計士として俺の名前は出すな、その代わり俺のアイデアを少しでも変えるな」
しばらくしてロークは建築現場を見に行く。ところが自分のアイデアが変更されていたのだ。キーティングにそのことを問い詰めるが彼は言い訳ばかり。自分のアイデアが変更されたことに怒ったロークは驚くべき行動に出てしまうのだが・・・
このロークと言う男だが、もう少し世の中を上手く渡れば良いのにと思うのだが、全くブレない。自らのアイデア、創造性に対して一切の疑問を持たない。カネや女を見返りにされても自らの信念を曲げない。それはバーナー社長との付き合いでもわかるように、過去の因縁ですら自らの信念に対する妨げにならない。俺も信念は強い方だと思っていたのだが、この主人公を見ていたら俺なんか足元にも及ばない。俺だったら仕事と女だったら、迷いもなく女の方を選んでしまうだろう。
そんなロークと対照的な存在として学生時代の友人であるキーティングが描かれている。これが他人のアイデアはパクるし、すぐに権力者に擦り寄るし、私利私欲が半端ない。設計士としてのプライドなんかまるで無い。ロークとキーティングの生き方のどちらかを選べと言われたら、苦しくてもロークの方だ。まあ、本作を見ていたら誰もがそうなるように描かれているが、俺の知っている政治家の中にはキーティングみたいな奴がいることを思い出してしまった。
あまりにもロークのキャラクター設定だとか、大げさな表現があったり、ハッピーエンドへ向けての展開が杜撰すぎたりでツッコミどころも多いが、それ故かダイナミックな映像とストーリーが楽しめる。個人崇拝的な面が見られるなどアメリカらしさ満載で楽しい映画だ。最後の法廷でのシーンなんかはツッコミどころすら感動に変えてしまうのだからハリウッド黄金期のパワーを感じさせる。
しかしながら、自分の考えばかり押し付けて、顧客の意見を全く聞き容れない態度はどうなの?なんて疑問も感じるが、古き良き時代を感じさせるアメリカ映画ということで今回は摩天楼をお勧めに挙げておこう
監督はキング・ヴィダー。サイレントの時代から活躍した監督で後半は西部劇のイメージがある。リメイクもされたチャンプがお勧め