褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ミスティック・リバー(2003) 悲劇の連鎖反応です

2018年12月31日 | 映画(ま行)
 毎日を何の悩みもなく、ノー天気に過ごしている俺でさえ、衝撃を受けた映画が今回紹介するミスティック・リバー。表面上では人殺しの犯人は誰だ?というサスペンス映画のように見えるが、実際は多岐に渡るテーマが内包されている。特に我々の善悪に対する常識的な考えを嘲笑うかのような展開は、観ている者を大いに混乱させ、更なる深い悩みに陥れる。
 それにしても本作の登場人物たちは、どいつもこいつも、やることなすことが全て空回りで、悪い方へ向かって突っ走る。それは、まるでワザと不幸になるために行動しているのかよ、なんて思えたりしたのは俺だけか。にわかには理解しがたいような行動をする奴ばかり出てくるために、夢の中の出来事のように思えたりするが、よく考えたら極めてリアルな世界が描かれている。そして、この世の中はなぜ理不尽な事が次々に起きてしまうのか、そんな疑問が少々理解できるような映画でもある。

 ある忌まわしい出来事によって友情が引き裂かれてしまった3人の少年達。そんな彼らの25年後を描いたストーリーの紹介を簡単にしよう。
 アメリカのボストンの郊外において。道端で遊んでいたジミー、ショーン、ベイブの少年3人は、舗装している歩道の乾きかけているセメントに自分の名前を書き込んでいた。そこへ現れたのが警察らしき2人の人物。彼らは他の2人を残して、ベイブだけ連れ去ってしまう。実は彼らは警察ではなくて、連続少年誘拐犯。4日間監禁されたベイブは自力で脱出するのだが、それ以来ジミー、ショーン、ベイブたち3人の関係は疎遠になっていた。
 そして25年の時を経て、ヤクザ稼業をしていたジミー(ショーン・ペン)は堅気になって小売店で店長をして働いている。しかし、ある日のことジミーの愛娘ケイティ(エミー・ロッサム)の惨殺された死体が発見される。よりによってこの殺人事件を捜査することになったのが、今は殺人課の刑事になっているショーン(ケビン・ベーコン)。そして、あろうことか殺人の容疑者として捜査線上に浮かび上がってきたのがベイブ(ティム・ロビンス)。殺人事件を切っ掛けにして再会した幼馴染みの3人だったのだが、とんでもない運命に導かれてしまい・・・

 25年ぶりに旧友に出会うことを楽しみにしていたプチ同窓会のような気分になる映画、と言うのは嘘。過去のトラウマ、後悔に責められて前進できない大人達がいる。時々、いつまでも過去に囚われてないで前に進め!なんてアドバイスしている人を見かけたりするが、俺に言わせれば余計なアドバイス。一度背負った重い十字架は決して一生消すことができないということを本作を観てたらよく理解できる。この仲良く遊んでいた3人も、子供の頃の起きた忌まわしい過去が消えない限り、再び友情が戻ることはないのと一緒。決してあの頃には戻れないし、一度失敗したら取り返せない人生の厳しさを思い知らされるし、甘い言葉をかけたぐらいでは過去に受けた傷は決して消せない。
 しかし、この映画を観ていたらなぜ犯罪が起きてしまうのかが少しわかった気になる。本作で描かれているのが嘘、疑惑、コミニュケーション不足が招く世界。それは、映画の世界だけではなく、この現実の世界も一緒のこと。俺の身近でも嘘をつきすぎて、自己保身のために更に見苦しい嘘を重ねたり、自分の飲み代を浮かすためにピンハネ、横領をしているために何処からかイカさまをしてカネをパクっているんじゃないかとソイツに対して更に疑惑が深まったり、他人の親切なアドバイスをシャットアウトして自己中で独裁者のごときやりたい放題の馬鹿がいる。こんな人間が偉そうにモラルを語るんだから、そりゃ~犯罪が起きてしまう。住みやすい場所の町づくりを始めるためには、こんな奴を生み出さない環境整備をすることが条件の一つに挙げられるだろう。
 しかし、この映画が凄いのは人間描写が優れていること。あり得ないような偶然の積み重ねは、リアリティゼロの内容に思えたりするが、主要の3人の登場人物は勿論のこと、それ以外の脇役に至るまでキャラクター設定がしっかりしているおかげで重厚な人間ドラマを見ることができる。
 25年前の出来事、25年間に起こっている最中、そして25年後の現在を通して、贖罪、十字架、家族愛、復讐、後悔、怒り、憎悪、裏切り、嘘、時間の経過、犯罪社会を描き切ってしまうクリント・イーストウッド監督の凄さを感じ、そして最も彼の特徴が色濃く出ている映画だろう。そして、後味の悪さがずっと残るがほんの少しの小さな希望が描かれているのが良い。これだから理不尽な出来事に遭っても強く前を向いて行こうと思える。
 単純明快な映画に飽きた人、いつまでも余韻が残る映画が観たい人、しばらく深~い悩みに陥りたい人、人生の厳しさを知りたい人、自分は世界で一番不幸だと思っている人等に、今回はミスティック・リバーをお勧め映画として挙げておこう。

ミスティック・リバー 特別版 〈2枚組〉 [DVD]
ショーン・ペン,ティム・ロビンス,ケビン・ベーコン,ローレンス・フィッシュバーン
ワーナー・ホーム・ビデオ


ミスティック・リバー [Blu-ray]
ショーン・ペン,ティム・ロビンス,ケビン・ベーコン,ローレンス・フィッシュバーン
ワーナー・ホーム・ビデオ


 監督は名匠中の名匠であり今でも積極的映画を撮っているクリント・イーストウッド。お勧め映画が多数。今回は彼にしては余裕綽々のミュージカル映画ジャージー・ボーイズ、比較的最近の作品で今まで何の役に立っていない人生を送ってきたと嘆いている人には勇気づけられる15時17分、パリ行きをお勧め映画として挙げておこう。

 

 
 


 
 

  
 

 

 



 





  
 

 

 

 

 


 

 
  
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映画 サンドラの週末(2014) 労働者の悲劇です 

2018年12月24日 | 映画(さ行)
 社会の底辺に生きる人々を描くベルギーの映画監督であるダルデンヌ兄弟。今回もそのテーマから外れることはないが、彼らにしては珍しく大スターを主演に起用した映画が今回紹介するサンドラの週末。この監督の作風からして美女が登場する内容は似合わないが、なんと今回は世界で最も美しい顔ランキングのトップにも選ばれたことのあるフランス人女優のマリオン・コティヤールを主演に迎えた。今やハリウッドでも引っ張りだこの女優が出演している映画となると華やかな内容の映画かと思いきや、流石は社会派映画の名監督。労働者のクビ切りが本作のテーマだ。きわめてリアルに労働者の現実が描かれているのを見ていると、まるで我がことのように思わせる。しかもこの映画が描かれている国はベルギーなのかフランスなのか説明はないのだが、すっかりアジアのどこかの国の企業に押されて経営状態が苦しい会社の設定。まるでグローバル社会の成れの果てを見ているような気分にもなってしまうような話だ。

 早速だが、まるで他人事とは思えないようなストーリーの紹介を。
 サンドラ(マリオン・コティヤール)は精神的な疾患で会社を休職していたのだが、ようやく仕事に復帰しようと思っていた矢先の金曜日のこと。突然、働いていた会社の上司から解雇の通告を受ける。彼女が解雇を免れる方法はただ一つ。週末の土日を使って同僚たちにボーナスの破棄を認めさせて、彼女の復帰の是非をめぐる月曜日の投票で同僚16人の内の過半数を獲得すること。サンドラは夫の助けを得て、同僚たちを説得するために駆けずり回るのだが・・・

 まずは世界一の美人を解雇しようとする会社があることに、驚かさせられる。しかし、単なる美人であるだけでなくアカデミー主演女優賞に輝いたこともある実力派女優であるマリオン・コティヤールの役作りは流石だ。ノーメークに、ダサいヘアスタイルの出で立ちは、完全に女優オーラを消すことに成功している。これなら、いくら深刻なお願いであり、胸の谷間を見せられたぐらいでは、二つ返事で引き受けたりする男性は居ないのも納得だ。そもそも、彼女だけでなく世の中の労働者たちにとってはボーナスが出る出ないは死活問題にもなってくるし、本作を観ていてもそのことがよくわかる。だいたい『私を復帰させるために、ボーナスを諦めて!』なんて独りよがりのお願いをするようなことは俺にはできない。
 しかし、相変わらずダルデンヌ兄弟監督の弱者に対する視点には感心させられる。本作においても凄い我儘を言っているような主人公であるサンドラだが、実は彼女にもそのようなことを言わざるを得ないほど過酷な状況であることに次第に気付かされる。そして彼女が得られる感動は観ている者にもきっと通じる。人間は決して独りぼっちではないし、無謀な戦いだとわかっていても決して諦めないことの大切さを思い知るだろう。そういう意味では、あのボクシング映画の名作ロッキーと通じる部分があることに我ながら驚いた。
 社会派映画が好きな人、ハリウッド映画のような派手さは無いが渋い映画を観たい人、ジャルデンヌ兄弟監督と聞いて心が震える人、マリオン・コティヤールという美人女優に興味がある人、じわじわと感動する映画を観たい人等に今回はサンドラの週末をお勧め映画として挙げておこう

サンドラの週末 [DVD]
マリオン・コティヤール,ファブリツィオ・ロンジォーネ,オリヴィエ・グルメ
KADOKAWA / 角川書店


 監督は前述したジャルデンヌ兄弟。個人的なお気に入りとして息子のまなざしを今回は挙げておきます。
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 

 

 

 
 
 
 
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競馬 有馬記念予想(2018) 平成最後の有馬記念

2018年12月23日 | 競馬予想
 平成最後の有馬記念。有銘記念の大舞台で数多の名勝負が繰り広げられてきたが、果たして今年はどのようなドラマが待ち受けているのか。今年のこのメンバーを観ると流石に強い馬たちが揃ったのに加えて、障害競走で無敵の強さを見せつけたオジュウチョウサンの出走。まさに夢のドリームレースの趣を感じさせる。
 調教を見た感じではどの馬もさすがは強豪ばかりなのでどの馬も良く見える。このぐらいのレベルになると当然か。例によって展開を考えると、ここはGⅠレースで逃げ戦法で3、2着と好走したキセキが間違いなく行きそうだ。ここ数走の逃げっぷりを見ていると早めの平均ペースで逃げ粘る戦法。自ら流れを作って差の無い2着に粘り込むのだからこれは相当強い。この馬の逃げならスローペースの瞬発力勝負になることはない。スピードの持続力が問われるレースになるだろう。去年のように足を矯めることができた馬が馬群の中から抜け出てくるレースにはならないと思う。特に枠順も気にしなくて良いレースになるだろうし、内枠を引いた穴馬がせこく立ち回って勝つような甘いレースにならないと思う。昨日の中山の芝レースを見ていても外からの差し馬が飛んでくるケースもあった。
 そうなると狙いたいのが、スタミナがあり早めに好位に取り付ける馬。後方からの展開がハマれば一発というような馬は3着ぐらいに印をつけておくか、人気がありそうならノーマークでも良いだろう。しかし、この秋から続くGⅠ戦線は外国人ジョッキーばかりが勝ってしまう。そりゃ~、これだけ外国人ジョッキーがいて、強い馬に乗せてもらっていれば外国人ジョッキーが勝ちまくってしまうのも仕方がないが、今回は日本人ジョッキーの意地を見せて欲しいという俺の願望を込めた予想をしてみた。

◎ 8 ブラストワンピース
〇14 キセキ
▲12 レイデオロ
△ 2 クリンチャー
△ 5 パフォーマープロミス
△10 ミッキースワロー
△11 ミッキーロケット
△15 シュヴァルグラン
× 4 マカヒキ

 俺の本命は8番のブラストワンピース。とにかくレベルが高い今年の3歳の馬たち。この馬も今年のクラシック戦線は上位人気の支持を集めながら結果を出せなかったが、レベルの高い3歳馬の一頭だろう。日本ダービーでは肝心の場面で外から被せられてスムーズなレースが出来なかったし、菊花賞ではスローペースのレースだったが一番人気馬らしく外を回るレース。しかしながら、内で脚を矯めた決め脚のある馬に負けてしまった。しかしながら、両方とも差のないレースであり、乗り方一つで逆転も可能だったレース。そして、今回はキセキのハイラップの逃げなら、菊花賞のような瞬発力勝負は避けられそうだし、底力を求められるレースになればこの馬の能力が発揮できるだろう。そして、今回は菊花賞は一番人気で大事に乗り過ぎたが、今回はそこまで人気が無いのでジョッキーも攻める騎乗が出来そうだ。好位を取りに行くレースをしたり、最後の直線も大外に持ち出してコースロスのをするようなレースをしなくて良いだろう。
 今週は池添騎手の渾身の騎乗で外国人ジョッキーのGⅠレースの連続勝利をストップさせる。

 対抗は14番のキセキ。昨年の菊花賞馬が勝ちきれないが能力を発揮してきた。この秋は4戦目になるが前走ぐらいの調子を維持できれば充分に勝ち負け。天皇賞(秋)3着、ジャパンカップ2着と惜しいレースぶり。決して展開に恵まれての粘り込みではなく、自らハイラップを刻んでの逃げ。それでいて最後は止まらないのだから、非常に内容の濃いレースだ。激戦続きなので流石に上積みはないかもしれないが、東京コースよりも中山コースの方が絶対に良いし、距離延長も良いだろう。舞台設定が変われば天皇賞(秋)で後塵を拝してしまったレイデオロに逆転は可能だ…

 単穴には12番のレイデオロ。前走の天皇賞(秋)で勝った内容は古馬の最強馬だと言って良いし、昨年の強さを見せつけた。能力には疑いが全くないし、東京コースから中山コースへのコース替わりは不安がない。しかし、スタートがそれほど良くないので前半での位置取りが問題。できればレースの道中はキセキを射程圏にとらえて進めたいところだろう。この馬にとってはスタートが非常に重要になりそうだ。ハイラップのスピードの持続力勝負はこの馬の得意とするところ。しかし、あんまり強気に乗り過ぎてキセキだけを目標にレースを進めてしまうと他馬に足元をすくわれる可能性がある。しかし、馬もジョッキーも超一流。予想としてこれ以上は評価は下げられない。

 
△評価の馬については持続力勝負なら望むところの馬。5番のパフォーマープロミスは休養明けの前走であるアルゼンチン共和国杯を圧勝。叩いて更に良化している可能性があるだけに、これぐらいの評価は必要だろう。2番のクリンチャーも枠順は絶好だし、スタミナは豊富なので積極的なレースが出来れば上位争いはできる。

買い目 三連単フォーメーション
 1着 8
 2着 2、5、10、11、12、14、15
 3着 2、4、5、10、11、12、14、15

買い目 三連単フォーメーション
 1着 12、14
 2着 8
 3着 2、4、5、10、11、12、14、15

買い目 三連単フォーメーション
 1着 14
 2着 2、5、10、11、12、15
 3着 8                                  合計 69点

的中です



 
 

 
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映画 フレンチ・コネクション(1971) 刑事映画の最高傑作

2018年12月20日 | 映画(は行)
  仲間を誤って射殺してしまう少々おっちょこちょいの刑事を主人公とする映画が今回紹介するフレンチ・コネクション。ちなみにタイトル名の意味は、フランスを経由してアメリカに密輸される麻薬ルートのことだ。今ではすっかりメキシコ経由で麻薬が大量にアメリカに入ってきていることを思うと、なんだか懐かしい気分にさせてくれる映画。しかし、俺の中では未だに刑事映画の最高峰に君臨しているだけに面白さは抜群だ。
 ジーン・ハックマン演じるドイル刑事こと通称ポパイのキャラクターが良い。ものすごい熱血漢であり、カンに頼って捜査するようなあわてんぼうの刑事だが、仕事ぶりは至って真面目。とにかく麻薬絡みの犯罪者を見つけたら、徹夜も厭わずにあらゆる手段を使ってでもとことん追いかける。この刑事の悪人を追いかける鬼のような形相だけ見れば、どっちが悪役なのかわからないぐらい。しかし、この世の中をのうのうと生きているヤクザまがいの連中を見ていると、このような刑事も絶対に必要だと思わせる。
 この映画のユニークなところがフランス人の悪役。こいつが金持ち風情をしており、ちょっとお洒落なオジサン。傘を小粋に杖の代わりにして歩くなど貴族的雰囲気を漂わせていて、見た目だけなら刑事の方が悪そうに見える。しかし、コイツが麻薬を大量に売りさばくだけでなく、ヒットマンを抱えているのだ。
 そしてこの映画の凄さが、ドキュメンタリータッチのようなロケ撮影。登場人物たちの会話が全く聞こえない場面を多用しているのだが、これが退屈かと思いきや不思議とドキドキさせる。そして普通の刑事映画以上に追跡、見張り、走る場面が多いが、その迫力が画面から伝わってくる。1970年代の映画は大した特撮が使われなくても、リアルに感じさせるスリルを味わえる映画が多い。

 それではニューヨーク市警と麻薬組織の対決を描いたストーリーの紹介を。
 ひと仕事を終えたドイル刑事こと通称ポパイ(ジーン・ハックマン)とクラウディ(ロイ・シャイダー)は二人でナイトクラブに出かける。そこで彼らが見たのはマフィアの大物たち。しかし、その中に見たことのない若夫婦に違和感を持つ。
 さっそく二人は、この若者夫婦が何者かを知るために尾行する。やがて、夫の方はマフィアの大物ワインストックの部下であることがわかり、近々ニューヨークでフランス人と麻薬の取引が行われることを知る。そして捜査線上に黒幕としてフランスのマルセイユからニューヨークにやって来ているシャルニエ(フェルナンド・レイ)の存在が浮かび上がる。
 ポパイとクラウディは麻薬取引の現場を押さえて、フレンチコネクションを一気に叩き潰そうとするのだが・・・
 
 本作は色々と楽しい尾行や追跡のシーンがあるが、ポパイとシャルニエの追跡シーンが挙げられるだろう。この二人の全く会話はないが、駆け引きが面白い。地下鉄のシーンでのお互いに白々し過ぎる様子は笑えるし、シャルニエのポパイを小馬鹿にしたような仕草が、短気なポパイだけでなく俺もムカつかせる。
 そしてポパイ達が外からシャルニエを見張っている場面が印象的。安月給で働かさせられている刑事と麻薬で大儲けしている密売人の経済的格差が描かれているが、刑事の仕事の大変さが理解できるシーンだ。そりゃ~くそ寒い中で熱いコーヒーを飲めても、悪事を働いて儲けた金で優雅に昼飯を食っているところを見せつけられたら俺だって腹が立つ。
 この映画が大いに盛り上がるのが、シャルニエがポパイに対して差し向けたヒットマンを返り討ちにすべく、ポパイがヒットマンを逆に追いかけるシーン。この時のポパイの執念が凄すぎる。高架列車をハイジャックして逃げるヒットマンを、ポパイは高架の下を車で追いかける前代未聞のカーチェイスシーンを見ることができる。
 単なる刑事アクション映画と違って結末は色々な感情を抱かせるし、この映画は脇役も良い。特にポパイの相棒であるクラウディ(ロイ・シャイダー)が良いアクセントになっていたり、ヒットマンや財務省の役人も嫌な奴を演じていたりで、ストーリーに深みを与えている。
 熱血漢が主役の映画を観たい人、面白い刑事映画を観たい人、悪役が面白い映画を観たい人、アメ車が好きな人・・・等に今回はフレンチ・コネクションをお勧め映画として挙げておこう

フレンチ・コネクション(2枚組) [DVD]
ジーン・ハックマン,ロイ・シャイダー,フェルナンド・レイ,マルセル・ボズフィ,フレデリック・ド・パスカル
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はウィリアム・フリードキン。ホラー映画の傑作エクソシストが有名。最近は1977年に公開された恐怖の報酬のオリジナル完全版が日本で公開されています。


 
 


 
 
 
 

 
 
 


 

  
 



 

 

 
 



 
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映画 わが命つきるとも(1966) トマス・モアの生き方に感動です

2018年12月14日 | 映画(わ行)
 最近は人の言うことを聞きすぎて、すっかり自分の信念がブレブレ。自分の情けなさが嫌になる今日この頃。しかし、俺がもっと許せないのがブレまくっている政治家の存在。コロコロと権力のある人の方にばかり引っ付いている政治家を見ていると、どん底まで自分自身を貶めることができる人間性を疑わざるを得ないし、昨日と言っていることが変わるような政治家なんか信用できるはずがない。何の信念も無く、目立ちたいだけで政治家をやっている奴が居るが、本当に税金の無駄。そんな政治家は議員を今すぐ辞めろ。せめて政治家を目指すならば、決して曲げることのない信念を持って欲しいし、いざとなれば自分の命を投げ捨てる覚悟で臨め。
 日本に住んでいると私利私欲、自己保身のために政党をコロコロ変えるような政治家のダメっぷりを見せられる機会が多いが、そんなデタラメな政治家に俺からのアドバイスとして絶対に観ておけ!という映画が今回紹介するわが命つきるともヘンリー八世が英国王だった時に、大法官まで上り詰めたトマス・モアの伝記映画。彼は政治家としてだけでなく、弁護士でもあり、そしてユートピアの著述家としても有名だ。

 決して国王の我儘にも屈せず、滅私奉公に徹し、自らの信念を貫いたがために、断頭台の露となって消えってしまった男の中の男であるトマス・モアの生き様を描いたストーリーの紹介を。
 イングランド国王であるヘンリー八世(ロバート・ショウ)は王妃キャサリンが世継ぎの男子を産まないことを理由に離婚して、愛人であるアン・ブーリンヴァネッサ・レッドグレイヴ)との再婚を望んでいた。しかし、カトリックを国教としているために離婚は許されることではなかった。
 そこでヘンリー八世は、ローマ法王に顔が利く大法官であるトマス・モア(ポール・スコフィールド)に離婚調停のためのお願いをする。しかし、敬虔なカトリック信者であり、高潔な人として知られているトマス・モアは国王の要求を断固として拒否。そのことによってトマス・モアは大法官を辞職し、宮廷内での謀略に巻き込まれてしまい・・・

 この映画を観た人は宮廷の内部事情に驚くだろう。賄賂の横行、自らの出世のために人を裏切り、嘘をつく。金ピカの衣装を身にまとった華やかなヨーロッパの宮廷のイメージがぶっ飛んでしまうが、実のところ現在の日本の政治も大して変わらない。俺は自分の地域に住んでいる政治家の私利私欲にまみれている現場を目にしているので、この映画を観ている最中は、デジャヴの感覚に陥ってしまった。
 しかし、トマス・モアの生き様は格好良い。今の時代に置き換えて観ると、確かに信仰の自由の観点からは少し疑問もある。しかしながら、自らの信念を貫き、決して権力にすり寄らず、私利私欲に興味を示さず、嘘をつく人間には激昂して正しき道を示す。まさに政治家の本来のあるべき姿を観ることができる。そして、俺自身が人間として見習うべき点が多々ある。
 とにかくアッチやコッチにウロウロする節操のない政治家は必見だし、これから政治家を志す人、人間の尊厳とは何かを知りたい人、なぜ現在のイギリスの国王はカトリックではないのか知りたい人、時には命よりも守るべき大切なことがあることを知りたい人・・・等に今回はわが命つきるともをお勧め映画として挙げておこう

わが命つきるとも [DVD]
ポール・スコフィールド,ウェンディ・ヒラー,ナイジェル・ダベンポート,ロバート・ショウ
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 監督はフレッド・ジンネマン。本作のように信念ある人間を描く作品が多い。ゲイリー・クーパー主演の西部劇真昼の決闘、反戦映画の傑作地上(ここ)より永遠に、オードリー・ヘプバーンが真面目に演技をしている尼僧物語、見栄えのしない刑事と暗殺者の戦いを描いたジャッカルの日、女同士の友情が切ないジェーン・フォンだ主演のジュリア等、お勧め映画が多数です。 

 
 
 
   
 
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映画 天使と悪魔(2009) 宗教VS科学の戦いが現代に蘇る

2018年12月12日 | 映画(た行)
  やたらマニアックな知識が豊富なハーバード大学の教授であるロバート・ラングドンが名探偵さながらの大活躍する映画ダ・ヴィンチ・コードの続編が今回紹介する天使と悪魔。ちなみに小説の方はこちらの方が時系列的には先になっている。
 前作のダ・ヴィンチ・コードでは最大のミステリーの謎解きとの謳い文句に期待を煽られ過ぎた感もあるが、ルーヴル美術館を上手く活かせなかったことにもガッカリさせられた人も居ると思う。そんな前作の悪かった点を反省したのか、本作はバチカンやローマの遺跡を上手く活かした風光明媚なサスペンス映画になっている。
 しかも、今回は世界で10億の人が居るとされるカトリック最大の儀式であるコンクラーベが描かれている。コンクラーベとはバチカン市国の宮殿で行われるローマ教皇を決める選挙のこと。世界で最も信者の多いカトリックのトップを決める選挙であり、世界中で注目されているので日本人にも馴染みがある。しかし、初めてこの言葉を聞いた時、日本語だと思った自分の馬鹿さを思い出して笑える。
 さて、本作で描かれているメインテーマは宗教と科学の対立。本作も宗教や科学の専門用語が飛び交うが、ロバート・ラングドン教授が懇切丁寧に説明してくれるのでそれほど難解には感じない。しかも、サスペンスを盛り上げるためのタイムリミットが設けられているので、否が応でも盛り上がる。タイムリミットが過ぎてしまうとバチカン市国全部が吹っ飛んでしまうので、さあ大変だ。

 それではバチカン、ローマをちょっと旅行した気分になれるストーリーの紹介を。
 ローマ教皇が死んでしまい、バチカン市国ではコンクラーベが行われようとしている。そんな時にロバート・ラングドン(トム・ハンクス)をバチカンの警察が訪ねてきた。その理由は次期ローマ教皇の有力者である枢機卿である4人が誘拐されて、殺害予告の犯行声明がバチカン警察に届けられたのだ。すっかり困ってしまったバチカン側は前作のダヴィンチ・コードでキリストの謎を解いたラングドンを頼ってやってきたのだ。
 時差ボケの疲れも全く感じさせずにバチカンにやって来たラングドンを更に驚かせる犯行声明を聞かされる。『コンクラーベが行われる今晩の20時から1時間ごとに4人の枢機卿が殺害し、その後にバチカンを吹っ飛ばす』。犯人はスイスの研究所からバチカンを丸ごと吹っ飛ばせる反物質を盗み出し、バチカンの何処かに隠しているのだ。爆発する時間は枢機卿の4人が殺されてから、約1時間後。
 ラングドンは枢機卿たち及びバチカン、そしてコンクラーベでバチカンに集まってきた多くの命を救うために、女性科学者であるヴィットリア・ヴェトラ(アイェレット・ゾラー)、バチカンを守るスイス衛兵隊の隊長であるリヒター(ステラン・スカルスガルド)、バチカン警察のヴィットリア・ヴェトラ(アイェレット・ゾラー)達の協力を得て、限られた時間の中で解決しようとするのだが、・・・

 バチカンに来たらとんでもない破壊力を持つ発明品が仕掛けられてビックリ。そんなことを聞かされたら俺なんかは、さっさと逃げることを考える。しかし、何事にも好奇心旺盛なラングドンは決して逃げない。ラングドンだけでなくキリストに仕える枢機卿たちもコンクラーベを放り出して逃げてしまうような無責任なことはしない。とんでもない発明品を作ってしまった科学者も自分の命をかえりみずに必死で捜索する。その他の人間も同様で命を懸けて責任感を見せつける。超適当に生きている俺なんかは本作の登場人物たちを見て大いに考えさせられた。
 ラングドン教授が枢機卿の処刑現場に犯人より先回りするために、秘密科学組織がどうのこうの言ったり、ベルニーニの彫刻がどこそこにあるだの、あの彫刻の指があっちを指している等と言ったりで、理解力の足りない者にもわかり易い説明が非常に有難い気分にさせてくれる。そして時々突っ込みどころ満載のシーンがあったりするが、ラングドンの登場シーンが水泳しているところから始まることを思い出せば納得できる?
 バチカンやローマの美術品を見たい人、宗教も科学も大切であることを理解したい人、コンクラーベの現場を味わいたい人、このシリーズの作家である原作者ダン・ブラウンのファンの人等に今回は天使と悪魔をお勧めに挙げておこう。

天使と悪魔 [AmazonDVDコレクション]
トム・ハンクス,ユアン・マクレガー,アイェレット・ゾラー,ステラン・スカルスガルド
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 監督は前作のダ・ヴィンチ・コードと同じくロン・ハワード。お勧めは前の記事を見てください。

 
 

 

 

 

 

 

 
 
 
 

 

  

 
  
 
  

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映画 ダ・ヴィンチ・コード(2006) 名画の謎を解く? 

2018年12月09日 | 映画(た行)
 ダン・ブラウン原作の世界的ベストセラー小説の映画化作品が今回紹介するダ・ヴィンチ・コード。大学教授であり、宗教、美術にやたら詳しく、幼い頃のトラウマで閉所恐怖症になっているロバート・ラングドンが命からがら名探偵ぶりを発揮して大活躍するシリーズ物の一遍だ。考古学者が大活躍するインディ・ジョーンズシリーズと似ている気もするが、こちらはアクション控え目だが、よりアカデミックに思わせられる作風。
 実は今回は本作の続編の続編にあたる映画インフェルノを観る機会があったのだが、その前に復習の意味で本作を観なおした。よく本作のように小説を原作とする映画を観ると、先に小説を読むか、映画を観るかで悩む時があるが果たして、どっちが良いのか?ちなみに俺の場合は本作を初めて観たのはだいぶ前のことになるが、小説を読んでから映画を観たパターン。
 ちなみに原作はメチャクチャ面白い。謎解きの醍醐味を味わえるし、文庫本で上・中・下とかなりページ数が多いのだが次の展開がどうなるんだろう?と惹きつけられてしまうので寝る間を惜しんで読めてしまう。

 さて、原作の面白さを映画は超えることが出来たのか、否か。それではストーリーの紹介を。
 たまたま講演のためにパリを訪れていたハーバード大学の教授であるロバート・ラングドン(トム・ハンクス)は、フランス警察のファーシュ(ジャン・レノ)に呼ばれてルーヴル美術館に向かう。そこで目にしたのは、奇妙な格好をした館長のソニエールの死体。実はラングドンはソニエールと会う約束をしていたのだが、その場所にソニエールが現れなかったのだ。ソニエールは死ぬ間際に何かを伝えたくてダイイングメッセージを残したようなのだが、彼と大して面識のないラングドンは困惑するばかり。
 そこへ現れたのが暗号解読を専門とする女性捜査官のソフィー・ヌヴー(オドレイ・トトゥ)。彼女はラングドンに驚くことを告げる。それはラングドン自身がソニエール殺しの犯人だと疑われており、ファーシュはラングドン逮捕に異常なまでに執念を燃やしていること。更にソニエールはソフィーのお祖父さんであることを知らされる。
 危機一髪でルーヴル美術館を脱出した2人は、ソニエールが伝えたかったメッセージを探りながら、警察とカトリックの過激派から追われる羽目になってしまい・・・

 ストーリー全体のメインは、運命で巡り合わされたかのように出会った男女の逃亡劇、キリスト教に伝わる聖杯は何処に存在するのか?の二本柱。そして、なかなか姿を見せないヒットマンを操る導師の正体は何者なのか?ということにも興味を抱かせる。
 実は映画の方は2時間半もある長丁場なのだが、これが回りくどく猛スピードで謎々を出してくるし、またそれに対する解答が早口で説明されている気分になるので観ている側はジックリと考える余裕が全くない。原作の部分を多く詰めて映画化した割に、謎解きの面白さを映画では表現できてないような気がする。そもそも本当にキリストは存在したのかも怪しいのだが、この映画の話題性が大いに盛り上がったのが更なるデッチ上げ。しかし、大してキリスト教に興味が無い人にはデッチ上げの効果も半減。どんでん返しにしても何回も起きると驚けないし、謎が明らかになっても大して感動できないのが非常に残念。
 そして西洋美術に興味が無い人にとってはレオナルド・ダ・ヴィンチ作のあの名画の説明をされても面倒なだけ。そうかと言って興味がある人にとっても初めて許可が下りたルーヴル美術館のロケ撮影だが、その素材が活かされていないことにがっかりするだろう。だいたいタイトル名からレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画が凄い役割を果たしているのかと想像するかもしれないが、多くの人が観ている途中からレオナルド・ダ・ヴィンチのことなんか忘れてしまった人が殆どだろう。
 本作の出来が良いか、悪いかは各自で判断して頂くとして個人的にはストーリーよりも登場人物のキャラクター設定に惹かれた。ドエムのヒットマンと神父様の師弟愛、キリストおたくのお年寄りは説明上手だし、胡散臭い刑事の馬鹿さには失笑する。そして一緒に逃げてくれる女性がとても可愛い。
 映画は果たして原作を超えることが出来たのか?の問いかけだが、ここまで読んでくれた人には答えはわかるだろう。しかし、どんな映画でも再見すると一度観ただけでは理解できなかったり、気づかなかった点が明確になってスッキリした気分になるのも事実。しっかり原作を読み込んでる人が本作を観たら、製作者のチャレンジ精神に拍手を送りたくなる。
 映画の記事を書くときは、とにかく褒めて褒めて褒めまくり、お勧めの映画しか載せないことをコンセプトにしているのだが今回はその趣旨から少し外れた。まあ、過大な期待をしないで観れば楽しめるか。そして本作を観る気が無くなってしまっても原作である小説は面白いから、ぜひ読んで欲しい。ロバート・ラングドンが活躍する映画化シリーズとして本作は一発目の作品でもあるし、その、続編に当たる天使と悪魔インフェルノの映画化作品は面白いので、とりあえず今回はお勧め小説としてダ・ヴィンチ・コードを挙げておこう。

 今回は原作である小説を載せておきます
ダ・ヴィンチ・コード(上中下合本版) (角川文庫)
ダン・ブラウン,越前 敏弥
KADOKAWA / 角川書店


 監督はヒットメーカーとして知られるロン・ハワード。すっかりトム・ハンクス主演にした映画が多くなりましたが、その中でもスプラッシュがお勧め。他ではメル・ギブソン主演のサスペンス映画身代金、実話を基にした大物と小物の対決が楽しいフロスト×ニクソンをお勧めに挙げておきます。 
 
 
 
 

 
 

 

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映画 息子のまなざし(2002) オッサンと少年の微妙な交流を描く 

2018年12月04日 | 映画(ま行)
 社会のド底辺で暮らす人々を描き続けるベルギーの至宝ダルデンヌ兄弟監督。その作風は台詞は少ない、画面がブレる、ドキュメンタリータッチ、いっさい音楽がない(最近はそうでもないが)等。ハリウッドの超大作を見慣れている人には全く面白くないような映画を撮り続けているが、今や世界を代表する名匠として注目されている存在だ。
 そんな彼らの個性が特に出ている作品が今回紹介する息子のまなざし。ストーリーは静かに進み、殆どのシーンが不細工なオッサンのドアップばかりなので観ていて苦痛に感じる人が多いだろう。前半はオッサンが部屋を出入りしたり、階段を上ったり下りたりするシーンばかりで、しかも説明なんか全く無いので観ていて何が何だかわからない。しかし、このオッサンの一言を切っ掛けにがぜん盛り上がる。それでもストーリーのテンポは変わらないのだが。

 早速だがまるで冴えないオッサンと、訳ありの少年の静かだが奥の深い交流を描いたストーリーの紹介を。
 表情は暗く、ユーモアの欠片も感じさせないオリヴィエ(オリヴィエ・グルメ)は職業訓練学校で大工仕事を教えている。ある日のこと、フランシスという少年が大工仕事を希望して入ってきたのだが、彼の履歴を見たオリヴィエは手一杯であることを理由に断る。
 フランシスは溶接の方に回されるのだが、注意深く彼を見ていたオリヴィエは急に心変わりをしてフランシスを大工仕事の方で引き受けることにした。実はオリヴィエとフランシスの間には驚く因縁があったのだ・・・

 それにしても何でこのオッサンはこんなに暗いのか!その理由を明快に知らされた時に観ている我々をショックのどん底に叩き落とす。そりゃ~、誰だってこんなオッサンの状況になったらニコニコなんかしてられない。そしてこのオッサンと少年が二人きりで車を走らせながら、オッサンが少年に短い会話をしかけるが、大して盛り上がらないのにチョットばかりスリルを感じたのは何故だろう。
 そして観終わった後は、色々なテーマが隠されていることに気づく。人間は他人をどこまで許せるのか、復讐の是非を我々は問いかけられる。更に、大して明るい未来が見えなさそうな社会的な弱者に対して優しさを感じさせるのが良い。この先も大きな悲しみを背負って生きる人間、そしてこの先も罪を背負って生きる人間に少しの希望を感じさせる。
 そして、ダルデンヌ兄弟監督の作品の特徴でもあるのだが、中途半端で終わるようなエンディング。いきなり終わってしまう印象があるが、観ている人に色々な感情を思い起こさせるエンディングだ。そして、何だかド素人が撮ったような映像に見えたりするが、実は大工道具が非常に色々な役割、メタファーを感じさせる映画だったことに気付いたときに、この映画の凄みが多くの人に理解されるだろう。
 ダルデンヌ兄弟監督作品と聞いて心が躍る人、ド派手に感動する映画よりもシミジミと後から感動がくる映画を観たい人、音楽が全く流れない静かな映画を観たい人等に今回は映画息子のまなざしをお勧めとして挙げておこう。

息子のまなざし [DVD]
オリヴィエ・グルメ,モルガン・マリンヌ,イザベラ・スパール,レミー・ルノー
角川書店


 監督は前述したように今や世界的に名匠として知られるジャルデンヌ兄弟。個人的に非常にお気に入りの監督さんで、社会派作品の映画が好きは人はハマる人もいるだろう。父親の駄目っぷりが描かれているある子供、国籍売買が描かれているロルナの祈り、どうしようもなさそうな少年を描いた少年と自転車がお勧めです。

 
 

 
 
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競馬 チャンピオンズC(2018)の予想

2018年12月02日 | 競馬予想
 今年のダートのチャンピオンホースを決めるレースであるチャンピオンズⅭ。今年の秋のGⅠレースを振り返ると外国人ジョッキーばかりが勝っている。短期免許で来ている外国人ジョッキーにもあっさり勝たれている始末。今回も外国人ジョッキーが有力馬に騎乗している。そしてゴールドドリームが出走を回避してⅯ・デムーロ騎乗のルヴァンスレーヴの1強ムードが漂っているが、ここは日本人ジョッキーに意地を見せて欲しい。
 メンバー構成から見ると有力馬は殆どが差し馬。ここはスローペース濃厚で先行タイプの馬が有利。しかし、一番人気を背負うルヴァンスレーヴが3コーナー過ぎから早めに動き出す展開になると差し馬の台頭もあり得るか。しかし、ルヴァンスレーヴは内枠に入ったしまった。この馬はそれほどスタートが良くないし、当然ながらマークも厳しくなりそうなので揉まれて力を発揮できない可能性があると思う。この秋から続くM・デムーロのGⅠレースでの勝負強さが見られないのも不安だ。
 そんなわけで先行馬でそして日本人ジョッキーの馬を本命にしたいのだが、お~良い馬がいた。

 ◎ 8 ケイティブレイブ
 ▲ 2 ルヴァンスレーヴ
 ▲11 オメガパフューム
 △ 3 パヴェル
 △ 7 サンライズノヴァ
 △ 9 サンライズソア
 △12 ウェスタールンド
 × 1 アンジュデジール
 × 5 ノンコノユメ

 本命は8番のケイティブレイブ。毎週外国人ジョッキーばかり勝つGⅠレースを終止符を打つのは、やはり今年のダービージョッキーである福永祐一だろう。そしてケイティブレイブの充実ぶりも凄い。以前は逃げるか追い込むかの極端なレース振りに本命にはしにくい馬だが、ここに来てどんなレースでもできるレース巧者として安定感のある戦いぶりを見せている。前走の京都コースで行われたJBCクラシックレースでの勝ちっぷりも非常にレースセンスを感じさせる勝ちっぷり。4コーナーを回って来た時に後ろにいたオメガパフュームがもたついていたのと大違い。今回はよりカーブがきつくなる中京の4コーナーを考えるとこの馬のレースセンスが更に活きるだろう。内隣の枠にスタートが悪いサンライズノヴァがいる枠順も良い。労せずして良いポジションが取れそうだ。三連複の軸として一番信頼できるし、展開が向きそうなこのメンバー構成なら本命。

 この馬を逆転できるとすれば▲の2頭の馬を挙げておこう
 まずは2番のルヴァンスレーヴ。前走のマイルⅭhS南部杯でゴールドドリームをアッサリ突きっ放した内容は、今やダート界のナンバーワンと言える凄みを感じさせる。しかし、そうは言ってもショボい地方馬も多く出走していた楽な面々のレース。流石に今回は歴戦の雄がそろうだけに、あんなに楽なレースはできない。しかも内枠というのが非常に不安。それほどスタートが良い馬では無いので馬群に包まれたり、砂を被るのを嫌がると能力が発揮できるか心配だ。特に両隣の枠の馬(アメリカのパヴェルもスタートが良いらしい。)がスタートが良いので中団の揉まれる位置でレースをするとなると、脆さが出てしまう可能性がある。好スタートを決めて絶好のポジションでレースができるか、それとも道中で外の位置にスムーズに出すことが出来れば圧倒的なパフォーマンスを見せることが出来そうだが。しかし、このレース自体が3歳には厳しいレース。歴戦の古馬の強さに過去の名馬が苦戦している。アッサリ勝ってしまう可能性はあるが、本命にはしにくいのも事実だ。

 次に11番のオメガパフュームを挙げる。3歳馬のナンバーワンがルヴァンスレーヴなら2番手はこの馬。シリウスSでの早めスパートから押し切った破壊力はGⅠ級のレベルを感じさせるし、実際に前走のJBCクラシックで最後に詰め寄って2着の内容は能力を感じさせる。その前走は4コーナーで勝ち馬のケイティブレイブにコーナーワークで差を付けられたのが痛すぎる。今回はCデムーロが騎乗するので、このジョッキー交代でその弱点を補えることが出来れば、前走からの逆転はあり得る。しかし、ルヴァンスレーヴのところでも述べたが3歳馬には厳しいレースだが、前走の経験が活きれば今回はチャンスがある。

 △、×は能力を重視。外国馬の3番のパヴェルはダート競馬の本場であるアメリカからやって来た。当然勝つ可能性があると思っているからの来日。ここはマークは外せない。

 買い目 三連複フォーメーション
 1行目 8
 2行目 2、3、7、9、11、12
 3行目 1、2、3、5、7、9、11、12           合計 27点
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