この世の中は平気で嘘がまかり通ってしまっている。テレビのような印象操作をするような嘘もあれば、どこからの情報かもわからないようなデマを拡散するようなネットを使った嘘や、見栄や私利私欲にまみれた政治家の嘘などは何とも嘆かわしい。しかし、今回紹介する映画スモークに登場する人物達もたくさん嘘をついているが、とりとめのない嘘や、どうでも良いような嘘、人生の苦みを感じさせるような嘘等が多く出てくる。
しかし、人間なんて本作に登場する人物だけでなく誰もが嘘をついて生きている。本作に登場する人物達も心の中に葛藤や苦悩を抱えているが、彼らが吐き出す嘘に嫌味を感じない。そして、そんな嘘を通して人間関係の繋がりの奥深さを知ることになる。
タイトルのスモークが意味するのは煙草の煙のこと。嘘も現実も煙草の煙のごとく一瞬で消えてしまうようなストーリーの紹介を。
ニューヨーク、ブルックリンで小さなタバコ屋を営むオーギー(ハーヴェイ・カイテル)は、毎日朝の8時になると同じ場所で10年以上もの間、写真を撮り続けている。そんなオーギーの店に馴染みの客たちがとりとめもない会話をしている。そこへ常連の客であり、オーギーの友達でもあるポール(ウィリアム・ハート)もやって来る。ボールは売れっ子の小説家だったのだが、数年前に妻が銃撃事故の巻き添えを喰らってしまってからスランプに陥っていたのだ。
ポールがオーギーの店を出てからの帰り道で考え事をしていたら危うく車に轢かれそうになってしまう。そんな彼を間一髪で助けたのが、黒人の少年であるラシード(ハロルド・ペリノー・ジュニア)(ラシードと言うのは偽名)。そのことを切っ掛けにオーギー、ポール、ラシードの3人の交流が始まるのだが・・・
黒人の少年であるラシードだが、やたら嘘をつきまくるし、結構なトラブルメーカー。だいたい名前からして嘘だったことがわかってくる。しかしながら義理堅いポールは何とかラシードを助けてやろうとするのだが、どう見てもポールが損してばかりのように俺には見えた。しかも、この少年はオーギーにもとんでもない迷惑をかけてしまう。しかしだ、ただの嫌な奴に思えるラシードにも苦悩があるのだ。
そして、オーギーをいきなり訪ねてくる片目になっている元恋人の存在。これが結構な嘘をついてやって来るのだが、案外これも見ている最中は許せてしまう。オーギーと元恋人とのやり取りなんかは人情を感じさせてしまう。
実はこのような嘘が絡むようなストーリーがショートストーリーのような形で紡がれていく。けっこうヤバそうな嘘から他愛もないような嘘、真実と嘘が見極めがたいようなのもあるのだが、その後の何気ない会話や行動で、あ~これは嘘なんだな、とわかるものまである。しかし、どの嘘もちょっとではあるが良い方向へ向いていくのが見ていて心地よくなる。
煙草の煙の量と共に、少しばかりのユーモアを交えて淡々と進む印象があるが、最後にクライマックスが訪れる。ポールに大手の新聞から大きな仕事の依頼が来るのだが、スランプでアイデアが浮かばない彼がオーギーに相談するシーン。この時にオーギーがクリスマスに身に起こった過去の話をポールに語る場面がある。また、この話が真実なのか嘘なのか微妙にハッキリしない。そもそもこの事が本当だったとして、良い話だったのか、悪い話だったのか考えさせられる内容。しかし、ここで感動させられる演出がされる。真実と嘘なんか紙一重であり、善と悪の境界線も時には、スモークのようにあやふやなものだと気づかされた時、本作が凄い傑作だと理解できる。更にここで流れるトム・ウェイツの曲が本当に素晴らしい。今回はブルックリンを舞台にした義理人情が描かれる映画スモークを、クリスマスが近いということでお勧めに挙げておこう
監督はウェイン・ワン。ド派手な映画は撮りませんが、じわ~と良さが込み上げてくるストーリーが得意。アメリカで暮らす中国人のコミュニティを描いたジョイ・ラック・クラブ、ラブコメのメイド・イン・マンハッタン、千年の祈りがお勧め
しかし、人間なんて本作に登場する人物だけでなく誰もが嘘をついて生きている。本作に登場する人物達も心の中に葛藤や苦悩を抱えているが、彼らが吐き出す嘘に嫌味を感じない。そして、そんな嘘を通して人間関係の繋がりの奥深さを知ることになる。
タイトルのスモークが意味するのは煙草の煙のこと。嘘も現実も煙草の煙のごとく一瞬で消えてしまうようなストーリーの紹介を。
ニューヨーク、ブルックリンで小さなタバコ屋を営むオーギー(ハーヴェイ・カイテル)は、毎日朝の8時になると同じ場所で10年以上もの間、写真を撮り続けている。そんなオーギーの店に馴染みの客たちがとりとめもない会話をしている。そこへ常連の客であり、オーギーの友達でもあるポール(ウィリアム・ハート)もやって来る。ボールは売れっ子の小説家だったのだが、数年前に妻が銃撃事故の巻き添えを喰らってしまってからスランプに陥っていたのだ。
ポールがオーギーの店を出てからの帰り道で考え事をしていたら危うく車に轢かれそうになってしまう。そんな彼を間一髪で助けたのが、黒人の少年であるラシード(ハロルド・ペリノー・ジュニア)(ラシードと言うのは偽名)。そのことを切っ掛けにオーギー、ポール、ラシードの3人の交流が始まるのだが・・・
黒人の少年であるラシードだが、やたら嘘をつきまくるし、結構なトラブルメーカー。だいたい名前からして嘘だったことがわかってくる。しかしながら義理堅いポールは何とかラシードを助けてやろうとするのだが、どう見てもポールが損してばかりのように俺には見えた。しかも、この少年はオーギーにもとんでもない迷惑をかけてしまう。しかしだ、ただの嫌な奴に思えるラシードにも苦悩があるのだ。
そして、オーギーをいきなり訪ねてくる片目になっている元恋人の存在。これが結構な嘘をついてやって来るのだが、案外これも見ている最中は許せてしまう。オーギーと元恋人とのやり取りなんかは人情を感じさせてしまう。
実はこのような嘘が絡むようなストーリーがショートストーリーのような形で紡がれていく。けっこうヤバそうな嘘から他愛もないような嘘、真実と嘘が見極めがたいようなのもあるのだが、その後の何気ない会話や行動で、あ~これは嘘なんだな、とわかるものまである。しかし、どの嘘もちょっとではあるが良い方向へ向いていくのが見ていて心地よくなる。
煙草の煙の量と共に、少しばかりのユーモアを交えて淡々と進む印象があるが、最後にクライマックスが訪れる。ポールに大手の新聞から大きな仕事の依頼が来るのだが、スランプでアイデアが浮かばない彼がオーギーに相談するシーン。この時にオーギーがクリスマスに身に起こった過去の話をポールに語る場面がある。また、この話が真実なのか嘘なのか微妙にハッキリしない。そもそもこの事が本当だったとして、良い話だったのか、悪い話だったのか考えさせられる内容。しかし、ここで感動させられる演出がされる。真実と嘘なんか紙一重であり、善と悪の境界線も時には、スモークのようにあやふやなものだと気づかされた時、本作が凄い傑作だと理解できる。更にここで流れるトム・ウェイツの曲が本当に素晴らしい。今回はブルックリンを舞台にした義理人情が描かれる映画スモークを、クリスマスが近いということでお勧めに挙げておこう
監督はウェイン・ワン。ド派手な映画は撮りませんが、じわ~と良さが込み上げてくるストーリーが得意。アメリカで暮らす中国人のコミュニティを描いたジョイ・ラック・クラブ、ラブコメのメイド・イン・マンハッタン、千年の祈りがお勧め