褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 バベットの晩餐会(1987) 美味しそうな料理が出てきます

2021年12月30日 | 映画(は行)
 美味しそうな料理が出てくる映画の名作は多いが、今回紹介する映画バベットの晩餐会も美味しそうなフランス料理がクライマックスで登場する。そういう点で本作はグルメ映画の類に入れてしまう人が多いが、俺にとってはそのことが少しばかり腹立たしい。あ~料理が美味しくて幸せ、なんてレベルの内容ではない。人生の哀歓を感じさせる映画であり、否が応でも過ぎていく時間は時代の変遷、過去に対する後悔を呼び起こす。本作はそんな苦味を味わうことになったりするが、料理を食べつくした後に小さな幸せを感じることができる。そして、多くの人間が身近にある幸せに気づいていないことを教えてくれる。

 それではどんより曇ったデンマークの寒村を舞台にしたストーリーの紹介を。
 美しい姉妹であるマーチ―ネーとフィリパは、敬虔な牧師である父親の助けをしながら慎ましく暮らしており、父親も村の人々を説教を通して尊敬を集めていた。ある日のこと、姉のマーチーネーにだらしない生活を戒めるために叔母さんの家で謹慎中のローレンス士官が彼女に一目ぼれしてせっせと教会に通うが、清廉潔白な生活に耐えられなかったローレンス士官は故郷へ帰ってしまう。そして妹のフィリパにはフランスの有名オペラ歌手アシールが近寄ってくるが、非常に厳格な牧師である父親がアシールをフィリパと会わせなくしたために、仕方なくアシールはフランスに帰ってしまう。
 そして時代は過ぎ、今や父親の牧師は死んでいなくなり、姉妹も結婚せずにそのまま年齢を過ぎてしまい、教会を憩いの場として訪れていた人々も今では信仰も薄らぎ、口喧嘩が絶えなかった。そして雨が降る夜にくたくたになって姉妹の家を訪ねてきたのが中年女性のバベット(ステファーヌ・オードラン)。フランス革命のあおりを受けて家族を亡くしてしまったバベットはオペラ歌手のアシールと知り合いであり、彼から姉妹の事を聞かせれていて、亡命して姉妹の家に身を寄せてきたのだ。
 ただ働き同然でお手伝いさんとして姉妹の家に居候することになったのだが、いつもフランスの知人に宝くじを買ってもらっていたバベットに一万フランの大金が当たったとの嬉し過ぎるニュースが入ってきた。姉妹はついにバベットはフランスへ帰ってしまうのかと思ったのだが・・・

 明るい太陽が見られずに、どんよりとした空模様に寒そうな波打つ海岸。俺がこんな場所にいてたら鬱病になってしまいそうな村を舞台にストーリーが展開される。大したハッピーな話も出てこないが、ユーモアを交えながら淡々とストーリーが進む。古い概念、篤すぎる宗教への信仰、因縁が人々の心を少しばかり暗いものにさせてしまうが、そんな雰囲気を一気に変えてしまうのが、バベットが振る舞うフランス料理。村の人々にとって斬新過ぎるフランス料理とそれを調理するバベットを悪魔のように恐れおののく様子がけっこう笑えたが、次第に村の人々の疑心暗鬼な気持ちが溶けていく感じが見ていて心地良い。
 本作にはキーワードとして芸術というのが挙げられるが、芸術なんてものの価値は金額で決められるものではない。カネは欲しがるが、自分の給与を少しばかりの期間限定でもカットされるのを嫌がる議員が居るのも情けない限りだが、議員の評価は決して議員報酬の高低で決められない。両方とも鑑賞者、住民にどれだけ満足感を与えられるかだろう。そして幸福度なんて決してカネでなんか測ることはできない。
 グルメ映画ではない、なんて書きながら出されるフランス料理はやっぱり美味しそうだし、観終えた後の心地よさはハリウッド映画では味わえない奥深さ。デンマーク映画のレベルの高さを見せつける作品として今回はバベットの晩餐会をお勧めに挙げておこう


 

 

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競馬 有馬記念の予想(2021)

2021年12月26日 | 競馬予想
 今年はまだ2歳戦のGⅠレースがあったりするが、今日で今年の俺の競馬納め。大逃げで湧きそうな見ていて楽しい有馬記念になりそうだ。

有馬記念の予想
 2番のパンサラッサの大逃げ。離れた2番手で大外枠16番のタイトルホルダーが続き、その後に5番のディープボンド、10番のエフフォーリアが続く。好位を占める馬に有力馬が多く、パンサラッサタイトルホルダーもスローペースでは持ち味が発揮できないし、しかも後続馬も15番のキセキ、7番のクロノジェネシスも早めに動きだす。ペースは緩まず、更に最後の直線は根性でしぶとさを発揮できる馬を本命にしたい。長距離戦で好成績を収めていて、タフな馬場もこなすパワーを秘めているキズナ産駒を初GⅠ制覇を有馬記念で達成するとみた。

◎ 5 ディープボンド
〇 7 クロノジェネシス
▲13 アカイイト
▲14 アサマノイタズラ
△10 エフフォーリア
△11 アリストテレス
△16 タイトルホルダー
× 6 ウインキートス
× 9 ステラヴェローチェ

 俺の本命は5番のディープボンド。前走の凱旋門賞は全くこの馬の持ち味を活かせない競馬で度外視。本気を出していないだけに疲労度は殆ど無いと思われる。メンバー的に非常にハイペースのスタミナを要する展開になりそうだ。そんな時にこの馬は長距離戦で好成績を収めているだけにスタミナを持っているのはアピールポイント。中山コースの成績は良くないが距離が短すぎた等敗因は明確。今回は距離、展開、パワーとこの馬のアピールポイントを発揮しやすい設定。ここで悲願のGⅠ初制覇を果たす。

 対抗は7番のクロノジェネシス。ドリームレースを制覇し続けてきた名牝がラストランを迎える。前走の凱旋門賞は残念だったが、決してこの馬の評価を下げることはないだろう。調教の動きから疲れは感じられず、本調子で引退レースを迎えられそうだ。昨年の有馬記念は早めに外を捲って前にいた馬を力づくでねじ伏せる圧巻のパフォーマンスを見せた。今年もそのようなレースを再現できるか。しかし、今年は昨年と違ってハイペースのレースになりそう。エンジンを掛けるタイミングが今年は目標にする馬がたくさんいるので難しい。ルメール騎手の手腕に掛かってくるが、それでも能力に衰えはなく、グランプリレースでの強さは特筆もの。引退レースで有終の美を飾れる可能性は高い。昨年よりはレースの仕方が難しそうなので本命には出来なかったが、それでもこれぐらいの評価はしたい。

 単穴には展開利を活かして一発を期待できる2頭を挙げる。
 まずは13番のアカイイトを挙げる。前走のエリザベス女王杯には驚いた。大外をぶん回してあれだけ差をつけた内容はまぐれでは片づけられない。前走からの300Ⅿの延長ぐらいが心配で中山コースは問題ないだろう。前半は脚を矯めてクロノジェネシスを目標に動いてイチかバチかの勝負をかける。

 次は14番のアサマノイタズラ。前走の菊花賞は逃げた馬が強すぎた。しかし、前々走のセントライト記念でのレースが印象的。中山コースは得意の舞台でハイペースを利して最後の直線勝負に掛けるだろう。この馬もイチかバチかのレースだが、展開利はありそうなだけに勝つチャンスはある。

 10番のエフフォーリアは前走のあのメンバーを封じ込んだ内容はすでに3歳馬ながら王者の風格が漂っている。しかし、今回は今までに経験したことのないようなハイペースになりそうであり、スタミナ勝負になるとこの馬には厳しいと思うのだが。今回は評価を下げた。

買い目 三連単フォーメーション
1着 5
2着 7、10、11、13、14、16
3着 6、7、9、10、11、13、14、16

買い目 三連単フォーメーション
1着 7、13、14
2着 5
3着 6、7、9、10、11、13、14、16

買い目 三連単フォーメーション
1着 7
2着 10、11、13、14、16
3着 5                              合計 68点
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映画 ヒズ・ガール・フライデー(1939) マシンガントークが炸裂

2021年12月20日 | 映画(は行)
 映画がサイレントからトーキーへ変わってきた時代(1930年代)において、スクリューボール・コメディと言われる分野の映画が流行した。サイレントだと動きで笑わすことになるが、トーキーになってくると台詞で笑わそうとする映画が出てくる。男優と女優がもの凄い台詞の量をテンポよく早口でまくし立て、その台詞がまたユーモアに富んでいるような映画のことだ。
 そんな映画の代表作とでも言うべき歴史的作品が今回紹介するヒズ・ガール・フライデー。今の時代において男女平等、ジェンダーフリーなどが叫ばれ、ちょっと昔はまるで女性の社会進出が拒まれていたなんて時代があったようだが、本作は相当古い時代の映画だが主演女優のロザリンド・ラッセル演じる女性の役割を見ていると男性陣を相手に丁々発止のやり取りが見れる。女性が男性に対等以上に渡り合うのもスクリューボール・コメディの魅力としてあり、今の女性なんかは1930年代から1940年代のスクリューボール・コメディの作品なんかは楽しく観れると思う。

 それでは会話だけでなく物語もテンポよく進むストーリーの紹介を。
 女性敏腕記者としてならしたヒルディ(ロザリンド・ラッセル)が婚約者のブルース(ラルフ・ベラミー)を伴って、辞職を願って元旦那で編集長であるウォルター(ケーリー・グラント)の元へ挨拶にきた。ヒルディはブルースと結婚して彼の田舎へ移り住み、今日中に列車で出発するとウォルターに告げる。しかし、ウォルターはヒルディの記者としての才能を買っており、しかも彼女に対してまだ未練があった。ウォルターは彼女の結婚を遅らせるために、あの手この手を使って妨害し、更には彼女に最後の仕事と頼んで、翌朝に執行される死刑囚の取材を命じるのだが・・・

 元夫妻であり上司と部下である間柄のウォルターとヒルディの会話のやり取りが多くを占める。この2人の膨大な台詞の量も凄いが、テンポが良過ぎるぐらいの会話のやり取り。脳みそよりも先に口が勝手に動いてしまうような印象さえあるが、会話の内容も非常にユーモアがある。そしてウォルターの強引過ぎるヒルディの引き留め対策がなかなかの見物。犯罪、トラップ、賄賂など何でもありなのが、腹が立つどころか笑える。
 この主演の男女の会話の応酬も楽しいのだが、その周りのドタバタも非常に楽しいし、場面転換のテンポも良いのでダレずに最後まで見ることができる。女性が活躍する映画というのは、何時の時代も楽しい作品が多い。改めてコメディの分野は現在よりも、この時代の方が洗練されていて面白いと思えた。
 よく耳にするけれどスクリューボール・コメディとは何ぞや?と思っている人、古い映画の名作を見たい人、新聞記者になりたいと思う人、女性が頑張る映画を観たい人・・・等に今回はヒズ・ガール・フライデーをお勧めしておこう。

 監督は名匠ハワード・ホークス。コメディは本作のような洗練された作品を撮るし、西部劇においても名作を連発。コメディでは赤ちゃん教育、ハードボイルド作品では三つ数えろ、パイロット達の友情と恋愛を描いたコンドル、傑作西部劇リオ・ブラボーなど、お勧め映画多数の名匠です。
 


 

 

 


 
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競馬 ターコイズステークスの予想(2021)

2021年12月18日 | 競馬予想
ターコイズステークスの予想
 牝馬限定のハンデ戦。荒れる要素はあるが中山1600Ⅿコースとなると先行馬が有利。俺の本命は12番のスマイルカナだが、最近は成績が悪いが調子自体は良いので昨年の覇者がここで復活する可能性は充分にあると思う。内のイベリスを逃がしても、揉まれなければ2番手でもレースはできる。得意の舞台ならこの馬が本命に最適。
 相手候補は先週のGⅠレースを勝ち調子に乗ってきそうなMデムーロ騎手を鞍上にむかえる2番のミスニューヨーク。前走は休み明けを勝ち、牝馬限定の重賞戦なら能力的にも勝てる力がありそうな3番のドナウデルタ、そしてハンデは課されたが重賞初制覇のチャンス制覇到来の岩田望来騎手鞍上の9番のアンドラステ。この3頭を単穴候補に馬券を組み立てる。

◎ 12 スマイルカナ
▲  2 ミスニューヨーク
▲  3 ドナウデルタ
▲  9 アンドラステ
△  5 イベリス
△  7 スマートリアン
△ 10 ドナアトラエンテ
△ 11 レッドフラヴァ
×  4 フェアリーポルカ

買い目 三連単フォーメーション
1着 12
2着  2、3、5、7、9、10、11
3着  2、3、4、5、7、9、10、11

買い目 三連単フォーメーション
1着 2、3、9
2着 12
3着 2、3、4、5、7、9、10、11               合計 70点
 
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映画 虹を掴む男(1947) 妄想する気持ちがわかる?

2021年12月14日 | 映画(な行)
 アメリカの偉大なる俳優でありコメディアンだったダニー・ケイ。もう今どきの若人どころかお年寄りも知らない人が殆どだと思うが、ガチョーンのギャグで有名なコメディアンであった谷敬が、芸名の参考にしたほどの人物だ。なんて偉そうに書いたが谷敬が古過ぎるってか?
 数多くの映画に出演していたダニー・ケイの代表作であり主演映画が今回紹介する虹を掴む男。貴方達の周りにも居ると思うのだが、お人良過ぎてさんざんこき使われて利用されている人がいるだろう。本作のダニー・ケイ演じる主人公がまさにそれ。しかも大した取り柄のない男だが、彼には日常茶飯事に起きる特別な癖があった。

 妄想や夢の中では何をやらしても無双を発揮するが、現実の世界では何かと嫌な思いばかりさせられている男に巻き起こる騒動とは?それでは簡単にストーリーの紹介を。
 出版会社で校正の仕事をしているウォルター(ダニー・ケイ)は、母親、婚約者、婚約者の母親などから無理難題を言われ、会社の上司からも無理難題を言われるだけではなく、自分の小説のアイデアまでもパクられる始末。何かと現実の世界では嫌な思いばかりしているが、日常茶飯事的にぼんやりして空想の世界に浸ることがあった。その空想の中でのウォルターは暴風雨に立ち向かう船長であったり、天才外科医であったり、敵軍を次々に撃ち落とすパイロットの名手であったり・・・とにかく自分自身が英雄である妄想ばかりしている。
 ある日のこと、たまたま電車の中で隣合わせで座っている女性を見てびっくりする。その女性はいつも自分の妄想の世界の中に登場する美女ロザリン(ヴァージニア・メイヨ)だった。しかしながらロザリンとの出会いによって宝石がらみの事件に巻き込まれてしまい、謎の組織に付きまとわれるだけでなく、危うく殺されそうになったりするのだが・・・

 ダニー・ケイ演じる主人公が妄想に入ってしまうタイミングが抜群だし、ふと我に返って現実に引き戻される瞬間がけっこう笑える。俺も時々、大金持ちのハーレム状態の自分を妄想しては、まるで真逆の現実に引き戻されてショックを受けることが多々あるので、何となく他人事のように思えなかった。
 しかし、この男が巻き込まれる現実は想像以上に過酷。これが妄想や夢の世界の出来事ならば簡単に解決できるのだがと思うとなかなかのブラックジョークが炸裂だ。全体的な印象としては笑いあり、ミュージカルあり、ファンタジーありで楽しい映画。サスペンス色も出てくるが、それも笑いに利用されている感じがする。そして、実は他人に良いようにこき使われている主人公の成長物語なのだ。
 俺の知っている奴にも、超大物政治家とツーショットの写真を撮って自分自身を偉そうにアピールしている目立ちたがり屋がいるが、実際は鬱陶しいと思われているのに気づいていない、非常にはた迷惑な妄想家。俺も絵空事のようなことばかり考えてないで、しっかり地に足を付けた生活をしよう、なんてことを考えさせられた。
 なかなか楽しい映画であり、ダニー・ケイの芸達者振りが見れる映画として今回は映画虹を掴む男をお勧めとして挙げると同時に、本作のリメイクである2013年の映画であるベン・スティラーが監督と主演をこなしたLIFE!/ライフも見ることをお勧めしておこう

 監督はノーマン・Z・マクロード。実はこの人のことを全く知らないので、ダニー・ケイの他のお勧め映画として5つの銅貨を挙げておこう。
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映画 自由を我等に(1931) 大量生産時代の到来を皮肉る

2021年12月09日 | 映画(さ行)
 AI(人工知能)の最近の発展は目覚ましく、意外にも早く現在の人間の仕事をロボットが手っ取り早くやってしまう時代が来るかもしれない。今でも昔なら人間が手作業でしていた仕事を機械が効率良くやっているのを多く見受けられるが、そんな時代を予見していたかのような内容の映画が1931年のフランス映画である自由を我等に。社会風刺劇の体を成していながら、人生の哀歓を感じさせるストーリー。この現代社会は労が多い割に、大して報われなかったりすることに嘆きたくなるが、そんな不満を本作は少々でも吹っ飛ばしてくれるのが良い。

 人生なんて良いことも悪いこともあるんだと改めて気づかせてくれるストーリーの紹介を。
 刑務所に入れられているルイ(レイモン・コルディ)とエミール(アンリ・マルシャン)は昼間は長い台を挟んで向き合って仕事をしている。ある日のこと2人は刑務所の脱獄を企てる。しかしながら、看守の目に留まってしまい、エミールはルイを逃がしてやり、自らはそのまま刑務所での生活が続いてしまう。
 脱獄したルイはそれからはトントン拍子で人生を過ごし、蓄音機の製造会社の社長にまで登りつめる。一方、エミールの方は刑務所暮らしから抜け出すものの、浮浪者と間違えられて再び刑務所暮らし。すっかり人生に絶望したエミールは独房で首つり自殺を企てるのだが、何とロープを括り付けた鉄格子が外れて、そのまま脱獄して逃亡。そして偶然にも求職者の列に紛れ込むのだが、何とそこはルイの会社だった。さて、思わぬ形で再会することになった2人だったのだが・・・

 この再会のシーンが非常に印象的。犯罪者でありながら社長にまで登りつめ、その地位を守るための口封じ代としてルイは札束をどんどんエミールに与えようする。しかし、エミールは純粋にルイとの再会を喜んでいたのだ。この2人の友情が良い。何をやっても上手くいかないエミールだが、これがなかなかの愛されキャラ。綺麗な嫁さんとたくさんの札束に囲まれた社長のルイよりも、少しばかりぶきっちょなエミールの方が、一瞬だが羨ましく感じた。
 この感動的な2人の再会だが、ハッピーには向かっていかない。ようやく運が向いてきたかと思われたエミールにしても、ほろ苦いことが起きたりする。ルイにしてもオートメーション化された新工場を立ち上げようとするが、過去のキズが襲い掛かってくる。そしてラストシーンでは2人ともが、みすぼらしい姿に落ちぶれてしまう。最後に高級車を羨ましそうに見つめるルイのケツをエミールが蹴り飛ばすシーンが出てくるが、そんなエンディングを見て俺なんかは人生に何が一番大切なのかを教えられた。
 1931年の作品だから映画自体がサイレントからトーキーに変わっていく頃。本作もどことなくサイレント映画の影響がまだ色濃く残っていて、古さを感じさせる。オートメーション化された大量生産の時代の社会風刺劇ではあるのだが、ミュージカル風でもあり、ドタバタ喜劇を基調としているので、わざわざ深読みしなくても純粋に楽しめる映画。個人的にはけっこう笑いのツボがハマったし、人生ってこんなものだよねって思えるのが逆に勇気づけられた。
 戦前のフランス映画と聞くと全く観る気が失せる人が多いと思うが、個人的には1930年代のフランス映画は最強だと思っている。喜怒哀楽が全てを感じることができる映画として今回は自由を我等にをお勧め映画として挙げておこう。

 監督はフランス映画史のみならず世界的にも名監督と言われる部類に入るルネ・クレール。同時代のフランスの映画監督には名監督が多いが、特にこの人の作品は人生の哀歓を感じさせるのが良い。お勧めとして巴里の屋根の下巴里祭リラの門を挙げておこう。


 

 

 

 
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競馬 チャンピオンズC(2021)

2021年12月05日 | 競馬予想
チャンピオンズCの予想
 冬のダート王を決める一戦。なかなか難解な一戦でが、枠順もよくレースでの立ち回りが上手い5番のテーオーケインズが本命。前走はスタートが悪かったし参考外、マトモに力を出し切れば勝てる。対抗は鞍上に川田騎手を持ってきてGⅠ制覇への期待が膨らむ12番のクリンチャー。単穴には中京コースの相性がバッチリで好位で立ち回れるオーヴェルニュソダシは初ダートで砂を被りそうな枠が痛いので馬券対象から外します。

◎ 6 テーオーケインズ
〇12 クリンチャー
▲ 9 オーヴェルニュ
△ 2 カジノフォンテン
△ 4 インティ
△ 5 エアスピネル
△ 7 サンライズホープ
△13 チュウワウィザード
×16 カフェファラオ

買い目 三連単フォーメーション
1着 6
2着 2、4、5、7、9、12、13
3着 2、4、5、7、9、12、13、16

買い目 三連単フォーメーション
1着 9、12
2着 6
3着 2、4、5、7、9、12、13、16

買い目 三連単フォーメーション
1着 12
2着 2、4、5、7、9、13
3着 6                                合計 69点

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映画 ロベレ将軍(1959) 詐欺師から英雄へ

2021年12月02日 | 映画(ら行)
 俺の知っている地方議員の中にはピンハネをしたり、騙しの手口もどきでカネを出させて返さなかったり、大物議員に媚びを売ったり、または人を裏切ったりするような政治家の悪いところばかりを身に付けてしまったような奴がいる。そいつの口癖が『市民の財産と命を守る』。お前は詐欺師か。そしてやたら愛国心を持っていることを強調するのも特徴としてあるのだが、なぜか多くの人が美辞麗句の言葉にだまされてしまうのだが、俺は騙されない。まあ、こいつに限らず自分がピンチになると自らが助かるために仲間を背後から撃つような奴が多い。
 さて、今回紹介する映画ロベレ将軍だが、ちんけな詐欺師が主人公のドラマ。俺の知っている詐欺師まがいの地方議員は言っていることとは大違いで臆病者なのだが、本作の主人公の詐欺師のクズっぷりもなかなか凄い。映画の前半はこの主人公の人の弱みに付け込んでの詐欺師っぷりに時間がかけられているのだが・・・。

 それでは第二次世界大戦末期のナチスドイツに蹂躙されたイタリアを舞台にしたストーリーの紹介を。
 イタリアのジェノヴァを支配するナチスのミュラー大佐(ハンネス・メッセマー)はナチスに対抗するパルチザンのリーダーであるファブリッツィオの存在に悩まされていた。そこへイタリアの英雄ロベレ将軍が更なる連携を図るためにファブリッツィオに密会するとの情報をミュラー大佐は得るのだが、部下が上陸したロベレ将軍を射殺してしまう。
 その頃エマニュエーレ(ヴィットリオ・デ・シーカー)は相手の弱みに付け込んでいたいけな人からカネを巻き上げ、そしてギャンブルで更にカネを増やそうと目論むがいつも賭博で全財産がパー。今日もせっせと詐欺をしているエマニュエルだったが、ついに警察に逮捕される。
 少し前にエマニュエルと知り合ったミュラー大佐はある案を思いつく。一生刑務所暮らしをしなければいけないぐらいの詐欺をやらかしていたエマニュエルに自由と引き換えに、彼にロベレ将軍を演じさせてスパイの役割をさせること。イタリアの政治犯ばかりいる刑務所にエマニュエルをロベレ将軍として送り込むのだが・・・

 前半はエマニュエルが敵方のドイツの将校と手を組んで、イカサマを仕掛けるのだが、これがなかなかのクズっぷりを発揮する。戦争中を上手く渡り歩くために祖国の人間を利用するなど愛国者から見れば非常に腹の立つ奴だ。そして、この詐欺師が英雄ロベレ将軍を演じるも自分とは真逆のタイプの人間を演じるには荷が重い場面が多々出てくる。しかし、日頃は庶民を騙すことに忙しい男も、次第に戦争の現実を否が応でも感じさせられることになる。その結果、愛国心に目覚め、拷問にも耐え抜き、仲間を売るような卑怯なことはせずに、英雄ロベレ将軍として最後まで振る舞うのだ。詐欺師から英雄へ変わっていく過程は非常に上手くできており、これが感動させる。
 前述したモラルの欠けた地方議員だが詐欺師から英雄になろうとしても、口先だけの愛国心では自らを命を祖国のために投げ出すことはできない。だいたい先日、衆議院議員選挙が終わったばかりだが、果たし本当に我が国の同胞のために自らの命を捨てれる覚悟の議員は何人いる?国会議員ならば自らの命、家族を犠牲にしてでも日本人を助ける覚悟が必要だ。それでなきゃ国民の命も財産も守れない。
 しかし、ストーリーも見事だが、もっと興味深いのが監督がロベルト・ロッセリーニ、主演がヴィットリオ・デ・シーカという組み合わせ。ちなみにヴィットリオ・デ・シーカだが、この人は本業は映画監督であり多くの名作を世に遺している。このイタリアのネオリアリズモを代表する2人の大監督がタッグを組んでいることに、大きな驚きを感じるし、ヴィットリオ・デ・シーカってなかなか格好良いオジサンであることに少しばかり驚いた。
 英雄であることが如何に大変かわかるし、自分の地位が転げ落ちることを恐れて愛国心を持っているように見せかける詐欺師みたいな奴の見抜き方もちょっとだけ理解できる。そして戦時中に限らず何を信じたら良いのかわからない時にでも良心を持ち続けることの大切さを感じることが出来る映画として今回はロベレ将軍をお勧めに挙げておこう。

 監督はロベルト・ロッセリーニ。世界の映画に影響を与えたイタリアのネオリアリズモの先駆け作品として無防備都市、戦争の悲しさをオムニバス形式で撮った戦火のかなたがお勧め。

 

 

 
 
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