褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ハムレット(1947) モノクロ映像の素晴らしさに感服

2024年02月17日 | 映画(は行)
 誰もが知っている超有名人のイギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピア。多くの傑作戯曲を遺しているが、現在においても世界の何処かで上演されているだろう。その中でもシェイクスピアの四大悲劇の一つとされ、彼の最も有名な作品はハムレット。今回紹介する映画がそれを原作とする同名タイトル作品。名優ローレンス・オリヴィエが監督、主演を務め、彼はシェイクピア俳優として有名なだけに渾身の作品となっている。
 ちなみに本作はモノクロ映像であり、それを活かした重厚なセットかつ緻密なカメラワークが素晴らしい。またタイトル名は知っているが、内容は全く知らない人も居る思うが、そんな人でも現在においても通じるテーマが本作では描かれているし、比較的登場人物も少ないのでわかり易い。

 それでは全体的に憂いをおびた主人公が印象的なストーリーの紹介を。
 デンマークにおいて。デンマーク国王が死亡、その跡を継いだのが王の弟であるクローディアス(ベイジル・シドニー)。そして彼は前王の王妃であるガートルード(アイリーン・ハーリー)を娶る。父王の死と母である王妃の早すぎる再婚に悩むハムレット(ローレンス・オリヴィエ)は聡明な父とは違い、新しく王に就いた叔父のクローディアスの人間性を嫌っており、彼のやり場のない怒りは深まるばかりだった。
 ある日のこと、ハムレットは親友のホレイショ(ノーマン・ウーランド)から夜の12時に城壁の露台に、亡き国王(ハムレットの父)の幽霊が現れると聞きつける。その話を確認するためにハムレットはホレイショー達と一緒にその場に向かい、父の亡霊と会う。ハムレットは亡霊から、父の意外な死因を聞かされてクローディアスに対して復讐することを誓うのだが・・・

 とにかくハムレットは新しく王となった叔父さんのことが大っ嫌いで、亡き父から復讐をそそのかされるのだが、これがいざ実行になかなか移せない。しかも、ハムレットのとった作戦は正気を失ったような振りをする織田信長と同じ、うつけもの戦法。正直なところそんな作戦必要?なんて俺は思ったのだが、物語を盛り上げるためには効果充分。恋人オフィーリア(ジーン・シモンズ)や王妃である母親を苦しませ、悲劇的結末にも良いスパイスを効かせていた。
 しかし、本作の凄いのは前述したが重厚なお城のセット。こんなセットを作り上げ、またそのセットの奥行きを計算したかのようなカメラワークも抜群。内容だけでなく演出でも惹きつけられる。そして、本作では人間の欲望といったテーマが盛り込まれているが、それも現在までハムレットがなぜ人気があるのか理解できる要因であるだろう。そして、「生きるべきか、死ぬべきか」・・・等、多くの印象的な名台詞も本作の格調の高さを感じさせる。しかしながら、悲しいことに俺の記憶力の悪さが、それらの殆どを忘れさせてしまった。
 シェイクスピアに興味がある人、またはシェイクスピアは敷居が高いと思っている人、格調の高い映画を観たい人、原作の内容を知っている人も知らない人も、モノクロの映像テクニックに浸りたい人・・・等に今回はハムレットをお勧めに挙げておこう

 監督は前述したようにローレンス・オリヴィエ。個人的には俳優としての方が印象が強い。彼のお勧め俳優作品を挙げるとヒッチコック監督作品のレベッカ、ダスティン・ホフマン共演のマラソンマン、脇役ならスパルタカス素晴らしき戦争もお勧め












コメント (2)
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映画 アメリカン・ハッスル(2013) 実在の事件が基ネタ

2024年02月06日 | 映画(あ行)
 現在の日本の政治は裏金、キックバック、政治資金記載漏れなどの言葉が連日賑わしており、史上空前の政治スキャンダルの嵐が吹いている。会計責任者に不手際の責任をなすりつける等、何とも醜いことになっている。そして今回紹介する映画が1970年代にアメリカで実際に起こった政治スキャンダルであるアブスキャム事件にヒントを得たアメリカン・ハッスル。強烈な個性を持った登場人物達がドタバタを繰り広げながら笑わせてくれる。
 一瞬タイトル名だけを見ると「アメリカよ、もうこれ以上ハッスルするな!」なんて思った人も居たかもしれないが、実はこのハッスルには『詐欺』の意味が込められている。そう言えば俺の周りにもハッスルし過ぎて空回り、そして詐欺師みたいな奴が居ることを思い出してしまった。

 早速だが、こんな事件が本当にあったのか⁈なんて思えるストーリーの紹介を。
 体はブヨブヨで、頭は禿げているのだが一九分けのセットが痛々しいアーヴィン(クリスチャン・ベイル)は詐欺師。彼は愛人兼仕事のパートナーのシドニー(エイミー・アダムス)と次々に詐欺を成功させていくのだが、ついにはFBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に逮捕されてしまう。
 しかし、意外なことにリッチーから2人に他の4組の詐欺師グループを摘発するのに協力すれば、罪を見逃してやると提案される。当然の如く断るわけがなくリッチーに協力するのだが、次第にリッチーの野心は詐欺師を摘発するどころか、カジノ利権に群がる政治家達をターゲットにすることになってしまう。アーヴィングとシドニーも嫌々ながらもリッチーに協力するのだが、思いも寄らなかった超大物が捜査線上に現れて・・・

 アーヴィンにはイッチャッテルゥ~嫁ロザリン(ジェニファー・ロレンス)が居るのだが、これがことごとくアーヴィング達の邪魔をしてしまう。ジェニファー・ロレンスの弾けっぷりがなかなか見ものだ。
 しかし、本作で面白いのがFBIと詐欺師がまさかのタッグを組んで、虚々実々の駆け引きをしていること。このように書くと鮮やかな騙しの手口が見れるのかと思いきや、ハッキリ言ってそこに快感は全く得られない。むしろ人間誰しもが完ぺきではないし、弱みを持っていることが描かれていることに興味が惹かれる。
 アーヴィングにしてもサッサとそんな馬鹿な嫁と別れろよと思えるが、そこには親権の問題が絡んでいて簡単に離婚できなかったり、シドニーにしても自らの経歴に大きな傷があったり、アーヴィングと親友になるニュージャージー州の市長であるカーマイン(ジェレミー・レナ)にしても、真剣に市民の事を考えているのだが裏では黒い繋がりに関わっていたり、リッチーは果てしない野心によって自らを追い込んでしまったり。このように本作には多くの悩めるキャラが出てくる。
 裏金を貯えたり、政治資金記載漏れを他人のせいにしている国会議員の連中には腹が立つが、本作の登場人物達はどこか憎めない。俺ってダメ人間だよな~なんて嘆いている人に今回はアメリカン・ハッスルをお勧めに挙げておこう

 監督はデヴィッド・O・ラッセル。外れが少ない優秀な監督。社会派、アドベンチャー、コメディ等色々な要素が含まれているスリー・キングス、異色ボクシング映画ザ・ファイター、何となく生きる気力が湧いてくる世界にひとつのプレイブックがお勧め







 
 

 
 
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