褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ギャング・オブ・ニューヨーク(2002) ニューヨークに対する熱い気持ちが伝わる? 

2023年10月17日 | 映画(か行)
 各ヨーロッパの国々でロクな目に遭なわかった人々が、心機一転と夢を膨らませて、船に乗ってやって来たのがアメリカであり、だからあの国は移民国家と呼ばれる。今はメキシコ経由でラテンアメリカ系の不法移民が多く、合衆国政府もその対策に頭を悩ませているのはご存知の通り。ちなみに今回紹介する映画ギャング・オブ・ニューヨークは19世紀の半ばのニューヨークを舞台にしており、南北戦争、ジャガイモ飢饉によるアイルランド人移民といった歴史的背景をモチーフにギャングの抗争、そして復讐劇が描かれている。
 最初にイギリスから海を渡ってきたWASP(ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント)と、彼らにとっては後からやってきて何かと鬱陶しいアイルランド系移民の縄張り争いが、冒頭から血みどろのエンジン全開で描かれている。ド派手なシーンを描きながらも、移民国家アメリカの抱える難題も盛り込まれている演出が上手い。アメリカって一攫千金の国だと植え付けられている人が本作を観ると、縄張り争いを繰り広げる意味が理解できないままの可能性があるだろう。
 しかし、そんなことは理解できなくても縄張り争いによってカトリックの神父である父(リーアム・ニーソン)を殺された主演のレオナルド・ディカプリオの復讐劇としてだけとらえると非常に単純な映画。しかし、前述したような歴史的背景、アメリカが建国以来抱える移民問題、そしてあの2001年の9.11事件(アメリカ同時多発テロ)を思うと、観終わってから本作の奥の深さを感じる人も居るだろう。

 かなりブ千切れている男同士の熱い戦いを描いたストーリーを紹介しよう。
 1846年のニューヨーク、ファイブポインツにおいて。アメリカ生まれであることを誇りにするビル(ダニエル・デイ=ルイス)をリーダーとする「ネイティブ・アメリカンズ」と、そのネイティブ・アメリカンズから虐げられていたアイルランド移民をヴァロン神父(リーアム・ニーソン)が束ねる「デッド・ラビッツ」が長年の因縁から抗争が勃発。その結果はビルがヴァロン神父を刺し殺す。その様子を見ていたのが、まだ幼いヴァロン神父の息子であるアムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)。アムステルダムはプロテスタント系の刑務所に入れられる。
 それから16年後にアムステルダムは出所し、ファイブポインツに戻ってくる。目的はビルに対する復讐。彼は運命の女性であるジェニー(キャメロン・ディアズ)と出会い、意気投合。しかし、かつてのデッド・ラビッツの仲間達はビルの手下に陥っており、ファイブ・ポインツ全体がすっかりビルの手中に収まってしまっていることに落胆する。それでも復讐に燃えるアムステルダムは持ち前のガッツと執念でビルの組織に入り込むことに成功し、復讐のチャンスを待つのだが・・・

 19世紀半ばのニューヨークを作り上げたセットが素晴らしいし、その時代の状況が上手く描かれている。毎日の如く、ジャガイモ飢饉に襲われてしまったアイルランド人が港にやって来る様子、南北戦走が起きる前と起きている最中の日々、そしてビルに支配されて貧乏人の巣窟になってしまっているファイブポインツの街、白人、黒人、中国人がごった返している状況など、当時のニューヨークを感じさせるものがある。
 そして、ネイティブ・アメリカンズのリーダーであるビルを演じるダニエル・デイ=ルイスのキャラクター設定が凄い。肉屋を営んでいるせいなのか包丁、ナイフの使い方に長けていて、人殺しにもその特技を活かす。キャメロン・ディアズを包丁投げでビビらすドエスっぷりには見ている俺もビビった。本作の監督であるマーティン・スコセッシは人間の奥底に秘める狂気を炙り出すことに長けているが、本作のダニエル・デイ=ルイスは最初から狂気そのもの。見た目からヤバい。
 一方、父親を殺された復讐に燃えるレオナルド・ディカプリオだが、意外にキャメロン・ディアズと出会うところまではけっこうマトモな人間に見えたのだが、途中から復讐の鬼と化す。本来ならばここの当たりの演出はマーティン・スコセッシ監督の本領発揮といきたかったところだが、まだアイドル路線の最中だったレオナルド・ディカプリオの力量不足なのか、ダニエル・デイ=ルイスのハッスルし放題に完全に押され気味。まだあどけなさが残ってしまったのが残念。
 そして、このようなひたすら狂っている人間を描くのに3時間は長すぎる。キャメロン・ディアズが出演しているシーンをもっと短くしても良かったんじゃないか。他にももっと削れるところがあったように思う。
 最後の2人の対決をニューヨーク徴兵暴動を絡めて描いたところは、なかなかの演出。スコセッシ監督のニューヨークに対する熱い想いが全編に渡って感じられた。ニューヨークが好きな人、3時間の映画でも耐えられる人、狂気に侵された人を見るのが好きな人、マーティン・スコセッシ監督と聞いて心が躍る人等に今回はギャング・オブ・ニューヨークをお勧めしておこう

 監督は前述したとおりマーティン・スコセッシ。ロバート・デ・ニーロとのコンビで傑作多数。その中でも今回はキング・オブ・コメディをお勧めに挙げておこう






 
 
 
 














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3 コメント

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ショック (にゃむばなな)
2010-03-28 20:51:37
この映画で何気にショックだったのは『リトル・ダンサー』のあのパパさんがレオくんとの殴り合いに負けちゃっているシーンなんですよね。

『リトル・ダンサー』でのあの感動を思い出すと、あのパパさんがいとも簡単に殴り倒されている姿に少しショックを受けましたよ。

まぁ本編と何の関係もないシーンなんですけどね。
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Unknown (Unknown)
2011-06-20 17:16:48
この映画でいうネイティブアメリカンとは
もっと前の時代に移住したヨーロッパ人のこと。
すなわちポルトガル、スペイン、フランス、イングランドなど。
彼らが自分たちをネイティブと呼ぶのはいろいろな意味合いがあるのだが。
本当のネイティブ(インディアン)からすれば噴飯ものなのだが・・・。
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おおきに (ディープインパクト)
2011-06-21 13:11:42
この映画のネイティブアメリカンの意味を勘違いしていました。確かにどうしてこの役がダニエル・デイ・ルイスなのかと思いましたが疑問が解けました。また見直します
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