先日シルベスター・スタローンとロバート・デ・ニーロのW主演によるボクシング映画のリベンジ・マッチをアップしたのだが、なぜかロバート・デ・ニーロ主演の映画レイジング・ブルを観たくなった。スタローン主演のロッキーシリーズがどん底から立ち上がるような、非常に心地良くなるようなサクセスストーリーを描いていて多くのファンもいる。一方、今回紹介するレイジング・ブルの方だが、同じボクシング映画でもロッキーシリーズとは真逆のような展開。しかし、数多くあるボクシング映画の中でも傑作との評判の名作だ。
本作の見所として、ボクシング映画ならではのファイトシーンも見応え充分だが、ロバート・デ・ニーロの代名詞とも言われる究極の役作りにこだわったデ・ニーロ・アプローチ。ボクサー時代の研ぎ澄まされた肉体改造だけでなく、引退してからのブヨブヨに太った肥満体を造り上げたように大幅な体重増(およそ20キロ以上)を敢行するなど、狂気さえ感じさせるデ・ニーロ・アプローチを本作で見られる。まあ、今では役作りのために体重を増加させたり、減量するような俳優はいるが、本作が公開された時代にはそんな俳優は滅多に居なかった。本作が後の俳優に与えた影響は大きい。
ちなみに本作のレイジング・ブルのタイトルの由来は『怒れる牡牛』。実在したミドル級世界チャンピオンだったボクシング選手のジェイク・ラモッタのニックネーム。ジェイク・ラモッタの自伝映画だが、彼の栄光を感じさせる部分は少しだけ。むしろ暗い気分になるぐらいの転落っぷりが描かれている。
モノクロの映像に主人公のダメっぷりが、これでもかと描かれているストーリーを紹介しよう。
1941年、デビュー以来無敗をほこっていたジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)は相手から7回もダウンを奪ったのに疑惑の判定で敗れる。そんな怒りを嫁や弟でマネージャーのジョーイ(ジョー・ぺシ)にぶつけてしまう。しかも、市営プールで偶然目にした金髪美女のビッキー(キャシー・モリアーティ )と妻が居るのに関わらず公然とビッキーと付き合い、結婚までしてしまう。
その後、再び連勝街道を突き進むジェイク・ラモッタ。当時は無敵であり、後の宿命のライバルになるシュガー・レイ・ロビンソンに土をつける。しかし、その後にタイトルマッチに挑戦するために八百長に加担し、ミドル級チャンピオンに輝くも次第に家族を省みなくなったラモッタは次第にビッキーが他の男と付き合っているのではないかとの強迫的なまでの猜疑心に襲われ、ついにはビッキーと弟のジョーイの仲まで疑ってしまい・・・
ジェイク・ラモッタがとことん嫌な奴。チャンピオンにまで上り詰めるが、孤独に陥り、破滅に追い込まれる。本作を観れば何時の時も調子に乗り過ぎるなと痛感させられる。そして、ボクシングシーンでは結構な血量がぶっ飛び、監督の演出力を感じさせる暴力的なシーンも多く出てくる。この暴力シーンこそ流石はマーティン・スコセッシ。人間の狂気、破滅、暴力を描かせたらこの監督の独壇場だ。
そして、ボクシングを引退して芸人を生業とするジェイク・ラモッタが、なんだか難しそうな台詞をぶつぶつ呟くシーンがある。自らの人生の過去を振り返る姿に、当時30歳代後半に差し掛かったマーティン・スコセッシ監督の人生を知っている者には非常に興味深く感じられる。この監督もまた大きな挫折を味わっているのだ。
映画には監督と俳優の名コンビというのがあるが、本作のマーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロがまさにソレ。そんなコンビ作品の中でも本作はその頂点を極めているか。そして、弟役のジョーイを演じるジョー・ぺシが良い。彼もまたその後のマーティン・スコセッシ作品やホーム・アローン、リーサル・ウェポンといった人気シリーズでアクの強い演技を見せつける名優ぶりが本作で垣間見えるのが映画ファンには嬉しいところだ。
ボクシング映画に気持ちの良いストーリーを求める人には本作は向かない可能性があるが、監督、俳優のこだわりが見れる映画を好む人、破滅、転落を描いた映画が好きな人、古い映画に興味がある人ならばレイジング・ブルは満足できるだろう
監督は前述したようにマーティン・スコセッシ。お勧め作品多数。本作と同じくロバート・デ・ニーロとジョー・ぺシも共演しているグッド・フェローズ、カジノがお勧め。他にはこのコンビの最高傑作だと思っているキング・オブ・コメディ、そしてブラックコメディなアフター・アワーズをお勧めに挙げておこう
本作の見所として、ボクシング映画ならではのファイトシーンも見応え充分だが、ロバート・デ・ニーロの代名詞とも言われる究極の役作りにこだわったデ・ニーロ・アプローチ。ボクサー時代の研ぎ澄まされた肉体改造だけでなく、引退してからのブヨブヨに太った肥満体を造り上げたように大幅な体重増(およそ20キロ以上)を敢行するなど、狂気さえ感じさせるデ・ニーロ・アプローチを本作で見られる。まあ、今では役作りのために体重を増加させたり、減量するような俳優はいるが、本作が公開された時代にはそんな俳優は滅多に居なかった。本作が後の俳優に与えた影響は大きい。
ちなみに本作のレイジング・ブルのタイトルの由来は『怒れる牡牛』。実在したミドル級世界チャンピオンだったボクシング選手のジェイク・ラモッタのニックネーム。ジェイク・ラモッタの自伝映画だが、彼の栄光を感じさせる部分は少しだけ。むしろ暗い気分になるぐらいの転落っぷりが描かれている。
モノクロの映像に主人公のダメっぷりが、これでもかと描かれているストーリーを紹介しよう。
1941年、デビュー以来無敗をほこっていたジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)は相手から7回もダウンを奪ったのに疑惑の判定で敗れる。そんな怒りを嫁や弟でマネージャーのジョーイ(ジョー・ぺシ)にぶつけてしまう。しかも、市営プールで偶然目にした金髪美女のビッキー(キャシー・モリアーティ )と妻が居るのに関わらず公然とビッキーと付き合い、結婚までしてしまう。
その後、再び連勝街道を突き進むジェイク・ラモッタ。当時は無敵であり、後の宿命のライバルになるシュガー・レイ・ロビンソンに土をつける。しかし、その後にタイトルマッチに挑戦するために八百長に加担し、ミドル級チャンピオンに輝くも次第に家族を省みなくなったラモッタは次第にビッキーが他の男と付き合っているのではないかとの強迫的なまでの猜疑心に襲われ、ついにはビッキーと弟のジョーイの仲まで疑ってしまい・・・
ジェイク・ラモッタがとことん嫌な奴。チャンピオンにまで上り詰めるが、孤独に陥り、破滅に追い込まれる。本作を観れば何時の時も調子に乗り過ぎるなと痛感させられる。そして、ボクシングシーンでは結構な血量がぶっ飛び、監督の演出力を感じさせる暴力的なシーンも多く出てくる。この暴力シーンこそ流石はマーティン・スコセッシ。人間の狂気、破滅、暴力を描かせたらこの監督の独壇場だ。
そして、ボクシングを引退して芸人を生業とするジェイク・ラモッタが、なんだか難しそうな台詞をぶつぶつ呟くシーンがある。自らの人生の過去を振り返る姿に、当時30歳代後半に差し掛かったマーティン・スコセッシ監督の人生を知っている者には非常に興味深く感じられる。この監督もまた大きな挫折を味わっているのだ。
映画には監督と俳優の名コンビというのがあるが、本作のマーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロがまさにソレ。そんなコンビ作品の中でも本作はその頂点を極めているか。そして、弟役のジョーイを演じるジョー・ぺシが良い。彼もまたその後のマーティン・スコセッシ作品やホーム・アローン、リーサル・ウェポンといった人気シリーズでアクの強い演技を見せつける名優ぶりが本作で垣間見えるのが映画ファンには嬉しいところだ。
ボクシング映画に気持ちの良いストーリーを求める人には本作は向かない可能性があるが、監督、俳優のこだわりが見れる映画を好む人、破滅、転落を描いた映画が好きな人、古い映画に興味がある人ならばレイジング・ブルは満足できるだろう
監督は前述したようにマーティン・スコセッシ。お勧め作品多数。本作と同じくロバート・デ・ニーロとジョー・ぺシも共演しているグッド・フェローズ、カジノがお勧め。他にはこのコンビの最高傑作だと思っているキング・オブ・コメディ、そしてブラックコメディなアフター・アワーズをお勧めに挙げておこう