褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 フォーンブース(2003) 今頃紹介するような映画では無いような気がしますが・・・

2020年07月25日 | 映画(は行)
 今や小学生でも携帯電話を飛び越えてスマートフォンを持っている時代。田舎はもちろん都会においても電話ボックスなんかあっても場所の無駄にしかならない。全編に渡って電話ボックスの中が舞台という今となっては時代遅れ感丸出しの映画が今回紹介するフォーンブース。実は本作が公開された2003年においても既に携帯電話が普及している時代。しかも、折りたたみ式の携帯電話の時代だから、まだ本作を観ていない人にとっては相当なレトロ感を覚えるかもしれない。そんな映画を今さらながら紹介してしまう当ブログはいかにも時代錯誤の批判を受けそうだが、忘れ去られそうで面白い映画をテキトーなタイミングで掘り出してくるのも当ブログの役割だ。

 さて、電話ボックスというワンシチュエーションだけで、スリル満載の映画が作れることに驚けるストーリーの紹介を。
 自称やり手のメディアコンサルタントのスチュー(コリン・ファレル)は、携帯電話を持っているのに今日もニューヨークのブロードウェイの通りの電話ボックスから女優志望のパム(ケイティ・ホームズ)に電話をする。『愛している君を僕が売り出してあげるよ』なんて甘い話をし続けた後に、電話ボックスを出ようとしたその直後、切ったばかりの電話のベルが鳴った。ついつい電話に手をかけてしまったスチュだが、話しかけてきた男は意外なことを言う。『電話を切るとお前を撃つよ』。そこからはスチュにとっては悪夢の始まり。あの手、この手で電話ボックスから脱出しようとするのだが・・・

 主人公は、なぜ俺がこんな目に遭わなければならないんだ!と思うような状況に追い込まれてしまうが、どこからかライフルで主人公に照準を合わしている犯人の目的が次第にわかってくる。中身がスッカラカンなのに偉そうにしている人間の欺瞞、虚栄、出鱈目さが暴き出されていく。観ている我々もサイコスナイパーに狙われる恐怖を感じると同時に、身の丈以上に振る舞う主人公の姿に、自分の周りにもこんな奴が居るよな~と思い当たったりする。
 主人公が殆ど電話ボックスの中に居るだけのアイデアも素晴らしいが、人間の本性をあぶり出していく過程も非常によくできている。そして、犯人の電話を通しての渋い声もなかなか聞きほれてしまいそうになるが、冗談交じりに話している内容が妙に説得力があって良い。そして映画の中と実際の時間経過が一緒というのも昔からある手法だが、本作ではそれが抜群の効果を発揮している。
 異様なスリルがあり、追い込まれた人間の心理が描かれていたりで非常に濃密な内容の81分という短い映画。面白い映画を観たい人、電話ボックスが懐かしいと感じる人、見栄っ張りの人、サスペンス映画が好きな人、ちょっとばかし暇つぶししたい人・・・等に今回は映画フォーンブースをお勧めに挙げておこう

 監督は先日亡くなったジョエル・シュマッカー。バットマンシリーズのバットマン・フォエバーといったヒット作もあるが、若手スターが多く飛び出した青春映画セント・エルモス・ファイアー、現代人の怒りをパワフルに描きだしたフォーリング・ダウン、ジョン・グリシャム原作の映画化依頼人がお勧め。

 
 




 
 
 

 




 
 
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映画 夏の夜は三たび微笑む(1955) ベルイマン監督のラブコメです

2020年07月19日 | 映画(な行)
 スウェーデンが生んだ20世紀を代表する映画監督であるイングマール・ベルイマン。映画史に残る傑作を多く遺した名匠だが、その作品群において人間の奥深くに潜む、葛藤、苦悩、絶望をえぐり出した。そんな彼の作品の中でも今回紹介する夏の夜は三たび微笑むは異色中の異色であるラブコメ。しかも、本作はベルイマンの名を世界に知らしめた記念碑的な作品だ。

 映画界に名を遺すほどの大監督はやっぱりどんな分野においても素晴らしい作品をいとも簡単につくってしまうことを証明するかのようなストーリーの紹介を。
 かつてはプレイボーイだった弁護士のフレデリック(グンナール・ビョルンストランド)は今では成人した息子ヘンリク(ビヨルン・ビェルヴヴェンスタム)の良き父親であり、まだ16歳の若妻のアン(ウラ・ヤコブソン)の良き夫でもある。ところが、ある夏の日の事、舞台女優であるテジレ(エヴァ・ダールベック)の公演があることを知ったフレデリックがアンも一緒に彼女の舞台を観に行く。実はテジレはフレデリックの昔の彼女だった。
 ある日のこと、フレデリックはテジレの母親の別荘へ招かれ、若妻のアン、息子ヘンリク、女中を伴って行くと、そこにはテジレの他に彼女の愛人アマルコム伯爵などもおり、ここから男女の恋の駆け引きの幕が切って落とされるのだが・・・

 フレデリックはかつての愛人テジレに心を動かされたりするも若妻を愛しているし、息子のヘンリクは女中と気があいながら、義理の母親とは年齢が近いこともあり恋心を抱いているし、テジレにしても現在の愛人がアマルコム伯爵だったり、アマルコム伯爵にも妻が居り・・・、なんて具合で登場人物の間で色々と恋愛関係が複雑に絡み合っている。けっこうドロドロの展開なのだが、ちょいちょい笑わしてくれるし、キャラクターも少しばかり共感できる人たちばかりなので楽しんで見れる。もしも、この登場人物の中に、誰もが憧れていたアイドル女優と結婚していながら、多目的トイレの利用方法を間違っているお笑い芸人みたいな奴が居てたら嫌悪感のあるストーリーになっていたかもしれない。キャストのキャラクター設定って本当に大事だなと考えさせられた。
 ベッドや拳銃など道具の使い方はビリー・ワイルダー監督のようなテクニックを感じさせてくれるし、ほど良い下ネタも気持ち良い。そして、くだらないプライドを持っている男、それを利用しようとする女性の策略及び嫉妬心なんかは現在の男女にも通じるところがあったりして納得できる部分も見受けられるのが良い。そして、ベルイマン監督にしては爽やかな気持ちにさせれくれる結末も良い。
 北欧を舞台にしたコメディが観たい人、イングマール・ベルイマン監督の他の作品は観ているが本作は観ていない人、この監督の名前を聞いて心が躍る人・・・等に今回は夏の夜は三たび微笑むをお勧めに挙げておこう。

 監督は前述したように映画史に残る巨匠であるイングマール・ベルイマン。お勧めは死神に取り付かれた男を描く第七の封印、名誉ある老教授が過去を振り返る野いちご、娘を殺された父親の復讐通して神の存在を問いかける処女の泉、名女優イングリッド・バーグマン主演の母娘の不和を描いた秋のソナタ等です。



 









 
 
 
 




 
 
 
 
 
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