映像の詩人と呼ばれるソ連の映画監督であるアンドレイ・タルコフスキー。よく彼の作品は難解だと言われるが、今回紹介する映画ノスタルジアは、その中でも難解レベルの作品。俺も最初観たときは、この監督の映像表現や独特のリズムや意味不明の会話のシーンに惑わさせられたのかよく理解できなかった。しかし、彼の他の作品を観たり、監督の経歴、そして繰り返して観ると意外にストーリーは単純で言いたいことはわかってきた。しかし、この監督の凄さは映像の詩人と呼ばれるだけあり、ストーリー展開よりも映像表現に目を奪われる。水や火をモチーフに用いたり、犬や馬といった動物が唐突に表れたりする。家の中なのに雨が降っていたりするので、何で?と思ったりする人もいるはずだが、こういう作風だとしか答えようがない。
そんな彼の映像表現が完成の高みに達しているのが本作であり、俺が観たアンドレイ・タルコフスキー監督作品の中では最も好きな映画である。
それではストーリーの紹介を簡単に。
ロシア人の作家であるアンドレイ(オレーグ・ヤンコフスキー)は美人な助手であるエウジュニア(ドミツィアナ・ジョルダーノ)を連れて、モスクワからイタリアを旅していた。目的は昔ロシアの作曲家であり、イタリアを訪れていたがロシアに戻って自殺したサスノフスキーの人生を取材するためであった。
そんな旅行中のこと、彼らは皆から変人扱いされている老人の男ドメニコ(エルランド・ヨセフソン)と出会う。彼のことに興味を持った、アンドレイはドメニコにインタビューを試みるが・・・
ところどころでセピア調の映像が挟まれたりして、過去と現在を行ったり来たりするが、これが何の説明もないために最初観たときは、ややこしく感じる。しかし、このセピア調の映像が美しいのがこの監督ならでは。まさに過去の事を思い出してしまっているかのシーンが本作の題名であるノスタルジア(郷愁)を感じさせる。
そして、ドメニコが変人と呼ばれる理由だが、かつて家族を7日間も幽閉したことにある。その理由がやがて世界に終末が訪れるから。そりゃ、家族も逃げ出すし、変人扱いされて当然だろう。しかし、そんな妄想が激しいドメニコに興味を持ったのがアンドレイ。そして、アンドレイは逆にドメニコから世界を平和にするために、あるミッションを授かってしまう。ミッションと言っても大したことを行うのではないが、そのシーンを見ていて手が火傷しそうで演じている役者さんが大変だっただろうな、と違う意味で可哀想だと思ってしまった。
そして、俺が感動したのはドメニコの演説シーン。半ば本当に気が狂ってしまいローマの広場で演説をするのだが平和に対する熱い想いを感じた。色々な映画で演説シーンなんかは出てくるが、本作の演説シーンはその中でも上位を争うぐらいの感動物。本作のテーマとして平和に対する想いが挙げられる。
映像的にはドメニコの家の壁に『1+1=1』なんて間違った足し算の数式が書かれていたり、家の中なのに雨が降っていたり、唐突に小さな子供が現れたりなど不思議なシーンが多く見られる。そして、映像テクニックだがアンドレイが鏡をみたらドメニコが写っていたり、アンドレイを写しているカメラを左に振るとまたアンドレイが写っていたりなど、何だかSF映画を見せられているようなシーンがあるのも楽しいところ。ラストシーンに至っても、最後は広々とした田舎を撮っているのか思ったら意外な場所だったりと、流石は映像の詩人だと思わさせられた。
本作はアンドレイ・タルコフスキー監督自身が、検閲だらけで自由に映画を撮らさせてくれないソ連に絶望してイタリアで撮影している。そのことを知って本作を観れば主人公の姿に監督自身の想いが投影されていることに気付くだろう。
アンドレイ・タルコフスキー監督作品と聞いて心が躍る人、彼の映画は好きなのに未だ本作を観ていない人、何だかいつも悩んでいる人等に今回はノスタルジアをお勧めに挙げておこう
監督は前述したアンドレイ・タルコフスキー監督。比較的ストーリーがわかりやすく作られている僕の村は戦場だった、SF映画の金字塔である惑星ソラリス、みんなが思っている意味とは違うストーカー、そして核戦争の終末を恐れる本作とよく似たテーマのサクリファイスがお勧め
ポチっと応援お願いします。
映画ランキング
にほんブログ村 映画ブログ
そんな彼の映像表現が完成の高みに達しているのが本作であり、俺が観たアンドレイ・タルコフスキー監督作品の中では最も好きな映画である。
それではストーリーの紹介を簡単に。
ロシア人の作家であるアンドレイ(オレーグ・ヤンコフスキー)は美人な助手であるエウジュニア(ドミツィアナ・ジョルダーノ)を連れて、モスクワからイタリアを旅していた。目的は昔ロシアの作曲家であり、イタリアを訪れていたがロシアに戻って自殺したサスノフスキーの人生を取材するためであった。
そんな旅行中のこと、彼らは皆から変人扱いされている老人の男ドメニコ(エルランド・ヨセフソン)と出会う。彼のことに興味を持った、アンドレイはドメニコにインタビューを試みるが・・・
ところどころでセピア調の映像が挟まれたりして、過去と現在を行ったり来たりするが、これが何の説明もないために最初観たときは、ややこしく感じる。しかし、このセピア調の映像が美しいのがこの監督ならでは。まさに過去の事を思い出してしまっているかのシーンが本作の題名であるノスタルジア(郷愁)を感じさせる。
そして、ドメニコが変人と呼ばれる理由だが、かつて家族を7日間も幽閉したことにある。その理由がやがて世界に終末が訪れるから。そりゃ、家族も逃げ出すし、変人扱いされて当然だろう。しかし、そんな妄想が激しいドメニコに興味を持ったのがアンドレイ。そして、アンドレイは逆にドメニコから世界を平和にするために、あるミッションを授かってしまう。ミッションと言っても大したことを行うのではないが、そのシーンを見ていて手が火傷しそうで演じている役者さんが大変だっただろうな、と違う意味で可哀想だと思ってしまった。
そして、俺が感動したのはドメニコの演説シーン。半ば本当に気が狂ってしまいローマの広場で演説をするのだが平和に対する熱い想いを感じた。色々な映画で演説シーンなんかは出てくるが、本作の演説シーンはその中でも上位を争うぐらいの感動物。本作のテーマとして平和に対する想いが挙げられる。
映像的にはドメニコの家の壁に『1+1=1』なんて間違った足し算の数式が書かれていたり、家の中なのに雨が降っていたり、唐突に小さな子供が現れたりなど不思議なシーンが多く見られる。そして、映像テクニックだがアンドレイが鏡をみたらドメニコが写っていたり、アンドレイを写しているカメラを左に振るとまたアンドレイが写っていたりなど、何だかSF映画を見せられているようなシーンがあるのも楽しいところ。ラストシーンに至っても、最後は広々とした田舎を撮っているのか思ったら意外な場所だったりと、流石は映像の詩人だと思わさせられた。
本作はアンドレイ・タルコフスキー監督自身が、検閲だらけで自由に映画を撮らさせてくれないソ連に絶望してイタリアで撮影している。そのことを知って本作を観れば主人公の姿に監督自身の想いが投影されていることに気付くだろう。
アンドレイ・タルコフスキー監督作品と聞いて心が躍る人、彼の映画は好きなのに未だ本作を観ていない人、何だかいつも悩んでいる人等に今回はノスタルジアをお勧めに挙げておこう
監督は前述したアンドレイ・タルコフスキー監督。比較的ストーリーがわかりやすく作られている僕の村は戦場だった、SF映画の金字塔である惑星ソラリス、みんなが思っている意味とは違うストーカー、そして核戦争の終末を恐れる本作とよく似たテーマのサクリファイスがお勧め
ポチっと応援お願いします。
映画ランキング
にほんブログ村 映画ブログ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます